チェアリングとは

そんなチェアリングのやりかたは、いたってシンプル。大前提は、以下のような感じでしょうか。

・チェアリングとは、椅子を持って屋外に出て、好きな場所に置き、好きなようにすごす行為。
・装備が多すぎるとキャンプやバーベキューに近づいてしまうので、なるべく手軽に。
・なので、コンビニやトイレが近くにあると便利。
・そのお手軽さゆえ、気分次第で次々場所を変えてゆけるのも魅力。
・騒がない、汚さないはもちろん、例えば街には、お酒を飲んでいる人間を見るのが嫌な人もいる。「周囲の人々に威圧感を与えない」をモットーとした場所選びを。

僕はお酒が大好きで、チェアリングしながら飲むことも多いのですが、酔って騒ぐためというよりも、あくまでひとり、もしくは家族や友達2~3人と静かに楽しむのに向いているアクティビティというわけです。

↓ご興味があればこちらの入門書もどうぞ。

parikko
『椅子さえあればどこでも酒場 チェアリング入門』(ele-king books)

自慢の椅子たちをどーんとご紹介

ところで、ひと言に「アウトドアチェア」といっても、世の中には本当にさまざまタイプの椅子が存在します。アウトドアショップへ行ったり、通販サイトなどを眺めていると、ついあれもこれもと欲しくなってしまう。もちろん大豪邸に住んでいるわけじゃないので、なるべく増やさないようにはしているんですが、それでも我が家には、3人家族にしてはあきらかに多すぎる数の椅子があります。

そこで今日は、近所の公園にそれらを持ちだしてみて、座り比べたり、うっとりと眺めたりしながら、あらためてその良さを堪能してみようと思います。

まずは大きめのタイプから。
まずは大きめのタイプから。

どうです? もはやチェアというより「ファニチャー」という佇まいじゃないですか? 実際、クッション性のある座面に身を預ければ、その座り心地は高級ソファーのよう。ですが、実はこれも折りたたみ式チェアなんですね。

骨組みはこんな感じ。
骨組みはこんな感じ。

ここに座面となるカバーをかけるだけというシンプル構造で、骨組みも、たたんでしまえば1本の棒状になるので、専用のバッグに入れて背負い、街に持ちだすことはぜんぜん可能。まぁ、けっこう重いのであんまり遠出には向いていませんが。

オーソドックスなラウンジチェア。
オーソドックスなラウンジチェア。

これ、僕が生まれて初めてチェアリングをした時に使った、まさにその椅子です。ホームセンターなどで1000円程度で売られていて、折りたたみも簡単。適度に軽く、まず試しに始めてみたいなら、間違いなくこれでしょう。

もっとシンプルなタイプ。
もっとシンプルなタイプ。

アームレストがなく、ゆえにドリンクホルダーもないのでちょっと心もとなく見えますが、ラウンジチェアよりだいぶん軽い。しかも、座り心地はかなりのもの。

個人的にかなり使用頻度の高い、お気に入りチェアです。

座面の低いタイプ。
座面の低いタイプ。

これ、最近衝動買いしてしまった椅子。形はオーソドックスなラウンジチェアと似ていますが、座面がかなり低くなっていて、足を投げだしたり、あぐらのように座ったりすることが可能。さらに、足が短いぶんコンパクトで軽い。

抑えられませんでしたね~……欲しいという衝動を。

これまたちょっと違ったタイプ。
これまたちょっと違ったタイプ。

いわゆる「ヘリノックス」タイプといわれるものですね。本家はヘリノックスというメーカーが作った、アウトドアチェアでは高級な部類に入る椅子ですが、近年、他社からも同タイプのものがいろいろと出ています。

特徴は、とにかく軽い!

椅子を積んできたキャリーカート。
椅子を積んできたキャリーカート。

手前の白いのが最初に紹介した椅子で、その左の緑がオーソドックスタイプ。そして黒×オレンジのケースがこの椅子なんですが、ずいぶんコンパクトに収納されていることがわかってもらえると思います。適度な大きさのあるバックパックやトートバッグなんかになら、余裕で入る。

ちょっとした遠出に持っていっても苦になりません。
ちょっとした遠出に持っていっても苦になりません。

ただ、椅子にはもちろん一長一短があり、こちらは軽くて座り心地も抜群なんですが、組み立てるのにちょっと手間と力がいります。よって、チェアリングの醍醐味のひとつである、パッとたたんで次の場所に移動するというのには若干向いてない。

まぁ、だからこそおもしろいんですけどね、椅子の世界は!

もっとお手軽に楽しむなら

お次はこんな椅子。
お次はこんな椅子。

ここから突然チープ感が出てきてしまいますが、これ、100均で、たったの300円で購入した椅子。たためば平らになってめちゃ軽ですし、その割に、しっかりとした座り心地はある。「よし、チェアリングに行くぞ!」じゃなくて、散歩のついでに持っていくくらいのライトな使いかたをするには、実はかなり優秀なチェアだと思います。

さらに簡素に。
さらに簡素に。

昔からありますよね。このタイプの折りたたみチェア。

パッケージがかわいらしい
パッケージがかわいらしい

リサイクルショップで見つけ、そのレトロなパッケージのあまりのかわいさに買ってしまったもの。僕のなかでは、座る用ではなく観賞用ですね。

まだまだ軽くなる。
まだまだ軽くなる。
たたむともはや、ちょっとした棒。
たたむともはや、ちょっとした棒。

これも、散歩や旅行のときにかばんに忍ばせておき、思いたった場所でほんの一瞬座ってみる、みたいな用途にはばっちりです。

軽量化の究極がこちら。
軽量化の究極がこちら。

もはや畳んだ状態では椅子に見えませんね。

キャプテンスタッグの「マイクロFDチェア」という商品で、重量なんと320g! かばんに入れておいたことを忘れてしまうほどの軽さです。

ちんまり。
ちんまり。

もちろん前半に紹介してきた椅子のようなリラックス感はありませんが、地面に直接座るのとはぜんぜん違う。お花見やピクニックなんかでも重宝する、ひとりにひとつ持っておきたい椅子ですね。

座面の低さもかわいさのうち。
座面の低さもかわいさのうち。
いや~それにしても
いや~それにしても
どいつもこいつも愛おしいな~
どいつもこいつも愛おしいな~
壮観だな~!
壮観だな~!

さて、椅子について書いていたら熱くなりすぎ、原稿がどんどん長くなってしまったのですが、実はまだまだ語りたいことがあります。

そこで前編はここでいったん終了。続く後編では、今の時代にぜひおすすめしたいシチュエーションと、それに合わせたちょっとパターンの違う椅子もご紹介。さらに、個人的チェアリング用「ベストチェア」も発表したいと思います!

撮影・文=パリッコ

散歩に折りたためる椅子を持っていってみよう。気持ちのよいスポットを見つけて座ってみよう。それはキャンプともピクニックとも、ちょっぴり違う「チェアリング」。創始者のお二人にその魅力を語ってもらいました!
前編では僕の持っている屋外チェアリング向きの椅子あれこれをご紹介させてももらいました。が、ここらでちょっと趣向の違う椅子&シチュエーションをご紹介。前編の冒頭で「椅子を持って屋外にでるのがチェアリング」と言いましたが、いちばん身近な屋外といえば? そう、ベランダですよね。おうちにベランダがある場合、そこでするチェアリングっていうのも、これまたオツなものなんです。
アウトドア用の椅子だけを持って街に出かけ、公園や水辺などの好きな場所に座り、ひとときリラックスして過ごすという、もっとも敷居の低いアウトドアアクティビティ「チェアリング」。ライターのスズキナオさんと僕とで考え、始めた遊びで、当サイトでも何度か記事として紹介させてもらいました。ただ椅子に座ってぼーっとしているだけでも最高なチェアリングなのですが、酒飲みの僕は、お酒やつまみを合わせて楽しむのが定番スタイル。となると、「ここにちょっとしたテーブルがあったらいいのにな……」なんて感じることも少なくありません。これまでにも、食器棚用の折りたたみ式ラックを簡易テーブルとして使うなど、100均グッズを本来の目的とは視点を変えてチェアリングに利用してみる、というようなことは積極的にやってきた僕。そこでふと思いました。「100均に売っている商品で、どこまで椅子およびその周囲を便利にカスタムできるか、検証してみたいな」と。というわけで今回は、「100均グッズだけでチェアリングはどこまで快適になるか? チェアカスタム大検証!」と題した、試行錯誤の様子をご覧ください。