クロスバイクをざくっと解説すると

ずばり、「クロスバイク」というのは、舗装路での高速走行に特化したロードバイクと、未舗装路走行に特化したMTB(マウンテンバイク)の中間の特性を狙って作られた自転車です。一般的なクロスバイクの特徴はおよそ次のようなものになります。

①上体の起きたリラックスしたポジションが可能なフレームジオメトリー(ジオメトリーとは、フレームの形状のこと)
②低速走行時にコントロール性の良いフラットバーハンドル
③衝撃吸収性が高く、耐パンク性にも優れるやや太めのタイヤ
④ロードバイクよりも軽めのギア比設定

クロスバイクは一見するとロードバイクと良く似ていますが、コンセプトは大きく異なります。ロードバイクというのは元々ロードレースのために登場して発展した自転車なので、その真価を発揮できるシチュエーションは非常に限定的です。大雑把に言えば「アップダウンのある100㎞以上の長距離をノンストップかつ、ハイスピードで走行する」ための自転車なのです。
操作性がシビアで乗りこなすのにある程度以上のテクニックが求められるほか、タイヤの空気圧など、定期的なメンテナンスが必須です。もっとも、競技者以外にも広く普及している現在では、ビギナーでも扱いやすい仕様のロードバイクも多く販売されています。

ロードバイクに対して、クロスバイクの大きなアドバンテージは「汎用性」の高さです。通勤や通学、週末のサイクリングのほか、河川敷などのちょっとしたダート(砂利道)走行までこれ1台で対応でき、価格も安価に設定されています。そのためスポーツサイクルの入門用として人気のカテゴリーになっています。

どうやってクロスバイクを選んだらよい?

さて、そんなクロスバイクもニーズに応じて様々なカタチへと派生しています。例えば以前はMTBのようにサスペンション付きフロントフォークを装備したモデルも多かったのですが、現在ではサスペンションのないリジットフォークを採用するものが主流になりました。路面の整った日本の道では、重くてパワーをロスするサスペンションフォークはあまり意味がないからです。

一方で、リジットフォークを採用するクロスバイクの中でも、よりスポーツ性を高めたモデルが多く登場しています。例えば世界最大の自転車メーカー、ジャイアントはスタンダードモデル「エスケープR」をラインナップする傍ら、「エスケープRX」を“スポーツクロスバイク”として別シリーズで展開しています。後者はロードバイク譲りの軽量アルミフレームを採用することで、ロードバイクのように俊敏かつ軽快な走行性能を実現したものです。少し価格はアップしますが、実用だけではなく、長距離のサイクリングやフィットネスといったスポーツライドを多く楽しむならば、こうしたモデルを選ぶのが良いと思います。

また近年はディスクブレーキを採用した普及しています。ディスクブレーキは繊細なコントロールがしやすく、雨天でも効きが安定しているなど、メリットの多いパーツなのでおすすめです。

初心者向けおすすめクロスバイク4選

エスケープRディスク【ジャイアント】

クロスバイクにおいての不動のベストセラーがこのエスケープRシリーズです。人気の理由は高いクオリティと圧倒的なコストパフォーマンス。エントリーモデルでありながら車体重量が11.5㎏と軽量でスポーツサイクルらしい軽快な走行性能を実現しています。幅30㎜の太めのタイヤとクッション性の高いサドル、手に負担がかかりにくいエルゴグリップを採用するなど、快適性を重視したパーツチョイスなので、これからスポーツサイクル始める初心者や、年配の方にも扱いやすいでしょう。写真は小さな握力でもしっかり制動力を発揮できる油圧式ディスクブレーキを搭載した仕様です。24段変速。6万1000円(税別)。

エスケープRXディスク【ジャイアント】

エスケープR3よりもさらにスポーツ性を高めたクロスバイクがこのエスケープRXシリーズです。ロードバイク譲りの軽量かつ高剛性なアルミフレームに転がり抵抗の低い細身のタイヤなどを組み合わせることで、さらにシャープな操縦性を実現しています。ハイペースで走りたい人はこちらがおすすめ。18段変速。7万8000円(税別)。

FX2 DISC【トレック】

アメリカを代表する自転車メーカー、トレックの「FX」シリーズはクロスバイクの定番モデル。軽量なアルミフレームに油圧ディスクブレーキを装備して7万円以下のというプライスはかなりお値打ちです。タイヤは幅35㎜とかなり太め。エアボリュームの大きい太めのタイヤは路面からのショックを吸収しやすいほか、パンクにも強いのが特徴です。リアキャリアや泥除けを取り付けできる台座が備わっているので、通勤やツーリング仕様にカスタマイズすることも容易です。24段変速。6万6000円(税別)。

シラス2.0【スペシャライズド】

スペシャライズド「シラス」シリーズも2000年代初頭からラインナップされる人気のクロスバイク。シラス2.0はアルミフレームにタフなスチール製フロントフォークを組み合わせたエントリーグレードですが、制動力の高い油圧ディスクブレーキを採用しています。タイヤサイズは32㎜幅のやや太めのもの。通勤からスポーツライドまでバランスよく対応できます。6万2000円(税別)。

文=佐藤旅宇

クロスバイクとは、マウンテンバイクとロードバイクを足して2で割ったようなスタイルの自転車のこと。フラットバー仕様のハンドルで、ラクな姿勢を取りやすくスポーツバイク初心者にうってつけ。通勤・通学がぐんと快適になるのはもちろんのこと、サイクリングやロングライドにも最適。タイヤの太さや大きさは車種によってさまざま。身長に合わせてフレームサイズが細かく刻まれているので、店員さんによく相談して車種を選ぼう。
いわゆるママチャリとスポーツバイクの大きな違いは走りの「軽さ」。ひとこぎでグングン進み、ひらひら切り返すことができるのだ。そんなスポーツバイクの中から、「クロスバイク」「ミニベロ(小径車)」「フォールディングバイク(折りたたみ自転車)」に分けて、“さんぽ”に適したモデルをピックアップしました。
ミニベロとは、ホイールサイズが20インチ以下の大人用自転車。18〜20インチが主流だが、小さいものだと16インチや12インチの車種も。漕ぎだしはバツグンに軽く、小回りがきくのが特徴でストップ&ゴーが多い東京の街にはピッタリ。ハンドル周りの位置やサドルの高さを調整をすれば、乗り手の体に合わせられるのはメリットだが、車輪が小さいがゆえにハンドリングが不安定になる傾向があるので、慣れるまで気をつけて運転しよう。
フォールディングバイクとは、工具を使わずにレバー操作などで簡単に折りたためる自転車のこと。独自の折りたたみ機構を採用するメーカーも多々あり、その機能ゆえに個性的なフレームデザインが目立つ。専用のバッグに入れると電車や車でも簡単に持ち運ぶことができ、お出かけ先や旅先などで一台あるとグンと行動範囲が広がる。折りたたむと室内や玄関先にも置けるサイズになるので、2台目の自転車としても最適。おすすめのモデルを厳選して紹介します。