できたての味を楽しめる、『竹徳かまぼこ』の新潟おでん

古き伝統と最新の流行が交差する中央区日本橋。外国人観光客にも人気のスポットであり、多くの人でにぎわっている。

『日本橋三越本店』は日本橋を代表する店舗のひとつであり、日本初の百貨店でもある。創業は延宝元年(1673)だが、明治37年(1904)に百貨店として営業していくことを宣言した。

『竹徳かまぼこ』は2018年に『日本橋三越本店』の地下1階惣菜フロアに東京支店をオープンし、7年経った2025年現在では多くの常連客に親しまれている。

『竹徳かまぼこ』は、魚のすり身をフィルムで包装した後に型枠に入れて加熱するリテーナ成形かまぼこを開発したことで有名だが、最近は半熟卵が入った「煮玉子しんじょう」が話題となっている。

蒲鉾やしんじょうのほかに、『竹徳かまぼこ』では「新潟おでん」というおでん商品も販売している。焼きアゴの出汁や車麩をおでん種に用い、新潟のご当地おでんの味を生み出している。余談だが、2月22日の「おでんの日」はおでんを新潟の名物にするために活動している越乃おでん会が制定した。

『日本橋三越本店』ではパック詰めの商品と一緒に店頭に設置した鍋で調理したおでんを販売している。盛り合わせは1人前と2人前が選べるだけでなく、おでん種単体でも注文が可能だ。

今回はその中から2人前の盛り合わせを購入した。おでんは封を圧着して二重にポリ袋に包んでくれるので、こぼれたり匂いが漏れる心配は皆無だ。おでん好きにはおなじみのチヨダのからしをつけてくれる。

車麩や栃尾揚げなど、新潟のご当地の味が魅力

盛り合わせの内容は時期によって変わるが、購入した際は次のような組み合わせだった。

時計回りに12時から、名月がんも、練り天、牡丹竹輪、ちくわぶ、車麩、竹の子、結び昆布、玉子、三角こんにゃく、大根、ロールキャベツ(中央上)、栃尾揚げ(中央下)。

おでん汁はたっぷり入っている。焼きアゴの出汁がしっかりしていながら、澄んだ上品な喉越しが印象的だ。

食卓に並べる直前で封を開けて鍋に移し、弱火で温めれば完成だ。煮崩れする恐れがあるので強火でぐらぐら煮るのは厳禁だ。

それでは早速、一品ずつ味わってみよう。大根は中心から端までしっかり染みていて、箸がすっと入るくらい柔らかい。出汁の旨味を存分に楽しめる仕上がりだ。

玉子はぷりっとした食感を残しつつ味わい深い。これぞおでんの玉子といった風格を漂わせている。

車麩は新潟県や石川県金沢市で親しまれており、おでん種としても利用されている。口に含むとおでん汁がじゅわっとあふれてくる。柔らかいので丁寧に扱わないと切れてしまいそうだが、意外と煮崩れしにくい。

栃尾揚げも新潟県を代表する食材で、長岡市栃尾地方の名物だ。こちらもたっぷりとおでん汁を抱き込んでいるが、ふっくらとしながらしっかりとした食感を楽しめる。

春の季節を感じさせる竹の子は食べ応えのある大きさになっている。独特の食感を楽しめる厚さに切られており、ほのかな苦みも非常に美味だ。

練り天は人気のしんじょうを想起させるソフトな食感となっている。魚のすり身のおいしさをじっくり楽しめるシンプルな揚げ蒲鉾だ。

ロールキャベツは小ぶりなつくりとなっているが、旨味がぎゅっと詰め込まれている。キャベツの甘みとひき肉のほどよい旨味が溶け合っている。

名月がんもと呼ばれるがんもどきは均整のとれた形状が美しい。中身もしっかりとしていながらふっくらジューシーで、味わいはとても上品だ。

日本橋で販売しているためか、東京ローカルのおでん種であるちくわぶもラインアップに加わっている。斜めに切られているため中まできちんと染みていて、食感はふわふわとしていて完璧な仕上がりとなっている。

焼きちくわは牡丹(ぼたん)焼きと呼ばれる東北地方や青森県の特産として知られているものだ。牡丹の花びらのような焦げ目が特徴で、ぷりっとした肉厚の食感が素晴らしい。

三角こんにゃくと結び昆布はおでんに欠かせない種だ。少々小ぶりながら、これらの定番ものをきちんと押さえているのはうれしいところ。それぞれの持ち味が生かされており、おでんの味に広がりを持たせている。

東京にいながら新潟のおでんができたての状態で購入できるなんて、なんて贅沢なことだろう。『日本橋三越本店』の竹徳かまぼこでは、さまざまな種類のしんじょうやお総菜、板付蒲鉾から揚げ蒲鉾にいたるまで、幅広い商品が揃っている。興味のある方はぜひ足を運んでいただきたい。

『竹徳かまぼこ』の基本情報

竹徳かまぼこ 日本橋三越本店
東京都中央区日本橋室町1-4-1 B1食品フロア
03-3274-8884
定休日:無
営業時間:10:00~19:30

取材・文・撮影=東京おでんだね