月に500匹以上のペット撮影を手がける。
七色の声を使い分けてわんちゃんの気を引き、猫じゃらしで猫を操りながら撮影するペトグラファー。
その巧みな猫じゃらしさばきから「猫じゃらしの魔術師」の異名を持つ。
写真教室講師、原稿執筆、テレビ出演、レンタルフォト撮影など多岐にわたる活動をしている。著書多数。
その① 元気な愛犬を撮るときのコツ
わんちゃんの場合はまずは“おすわり”や“まて”が出来るように訓練しましょう。ある程度できるようになったら“おすわり”をさせたままカメラで写真を撮ってください(綺麗な写真を撮ろうと思わずただカメラを向けてシャッターをきる)。うまく出来たらご褒美のおやつをあげたり、たくさん褒めてあげます。飼い主さんに褒めてもらう事でわんちゃんも嬉しくなり、写真を撮られることが嫌ではなくなります。
元気のいい子や遊びたくてテンションが上がっている子は少し高い台の上やカゴの中に入れます。床の上に比べて動きが制限され少し落ち着いてくれます。
<point>使用する台
誤って飛び降りた時に怪我をしてしまう可能性があるのであまり高い台は使わないようにしましょう。写真に写り込むので見栄えのいいものを台の代わりに使いましょう。
二人一組で撮影すると成功率が上がります。撮影補助の人は犬を撫でながら“おすわり”をさせましょう。難しい場合は立ったままの状態で撫でて、気持ちを落ち着かせます。カメラマンが声や音を出して、犬がこちらを向いたら補助の人は撫でていた手を素早く離し、その瞬間に連写で撮影。そしてまたすぐに撫でてあげましょう。これを繰り返していくと徐々に慣れて落ち着いてくる子もいます。逆にテンションが上がってしまう子は、無理をせず撮影を終了しましょう。二人一組で撮影するときは二人の息が合っていないと成功しません。お餅つきのように息を合わせ、テンポ良く撮影するとワンコが撮られていると認識する前に撮影を終えることができます。
その② 臆病な猫ちゃんを撮るときのコツ
猫を撮影するときに使うのは猫じゃらし。これに反応してくれる子は様々なバリエーションの写真を撮ることが可能です。「猫じゃらしの魔術師」である私が最も得意とする撮影方法です。ですが中には臆病な子もいます。猫じゃらしのカシャカシャした音を怖がる子には魔術も通用しません。そんなときは猫ちゃんの習性を利用して撮影します。
よく使うのが箱や袋といった猫が中に入れるものです。猫は箱などの狭い場所を好む習性があります。
臆病な子も箱などに入れてあげると少し落ち着いてくれます。しばらくそっとしておくと次第に環境に慣れてさっきまでは怖がっていた猫じゃらしにじゃれてくれる事もあります。
<point>
猫によって好きな猫じゃらしの種類は異なります。怖がりな子でも興味を示す猫じゃらしもあるのでたくさんの種類の猫じゃらしを用意して撮影するといいでしょう。
猫じゃらしにじゃれるようになったら遊びながら撮影しましょう。いまいち反応が薄い場合は少し様子を見て自然な姿を撮るようにしましょう。無理をして撮ろうとするとカメラを怖がるようになるので気をつけましょう。
そのほかによく使うのがふわふわのクッションや人間用のマフラー、ネックウォーマー、膝掛けなどです。例えば猫ちゃんを隠すように膝掛けをかけて入り口を作るようにしておきます。
猫の場合は躾けるというよりも遊びながら近くで撮るか遠くから自然な姿をそっと撮るようにすると良いでしょう。
犬や猫にかかわらずどの子を撮る時も無理やりや長時間撮影は厳禁です。ペットにとって撮影している時が楽しい時間になるように人間側が工夫してあげましょう。
文・写真=湯沢祐介