東京ではなかなか味わえない! 透き通ったまろやかなスープ
『資さんうどん』は本店は北九州市小倉南区に構え、2024年8月現在、71店舗を有する福岡人のソウルフード。
1番人気の「肉ごぼ天うどん」を食べながらその魅力をお伝えしていきましょう。
まず、うどんの真髄ともいえるのはスープです。
東京のそば・うどんは、カツオの出汁に黒っぽい醤油が際立つスープが特徴ですが、関西から西の地域では、出汁がメインの透き通ったスープが主流。
『資さんうどん』の出汁は、鯖・うるめ・昆布・椎茸などから取られており、まろやかさと甘みが口に残るのが特徴です。
黒っぽいスープに慣れている関東の方は、見た目から薄味のイメージを持つかもしれませんが、折り重なる出汁の滋味が口の中に広がって、全く物足りなさはありません!
いまは福岡在住ながら、東京にも16年暮らした筆者が保証します!
ちなみに『資さんうどん』は2023年11月に大阪府の鶴見区にも進出しており、こちらも大人気。出汁文化の根強い関西人の舌をうならせていることからも、そのおいしさが折り紙つきであることがうかがえるでしょう。
麺はコシが命? その価値観が変わる!
そして、スープと並んでうどんの主役である麺。
『はなまるうどん』『丸亀製麺』など、讃岐うどんを提供するお店が関東・東京に多く出店していますが、讃岐うどんの特徴といえば、歯ごたえとコシのしっかりした麺ですね。
一方で、福岡県(特に博多)のうどんは、やわらかい麺がポピュラー。
硬くしすぎないことでスープが麺にしっかりと絡みつき、すする度に麺とスープが調和した“うどん全体の旨味”が飛び込んでくるのです!
そうなると、麺自体にもスープに負けないおいしさがないといけませんよね。
『資さんうどん』の麺は素材を厳選し、自社工場で製造した「資さんうどん専用粉」のみを使うという徹底した管理で作られたもの。豊かな小麦の香りとその存在感をガッツリ味わうことができます。
ちなみに筆者は、福岡3大うどんチェーン(『資さんうどん』『牧のうどん』『ウエスト』)の中では、『資さんうどん』がもっともコシを感じることから、「コシのある讃岐うどんに慣れた東京の人が博多うどんを食べるなら、まず『資さんうどん』」と思っています。
福岡文化を味わうトッピング
そしてトッピングで目を引くのは、丼からはみ出すほどに大きな「ごぼ天」。
「ごぼ天」とは、ごぼうの天ぷらのこと。明治時代、福岡市の店がうどんにトッピングをしたことが発祥とされ、現在では福岡県のどのお店でも定番のトッピングとなっています。
太いごぼうを豪快に切って揚げてあるため、歯ごたえが楽しく、香り高い風味が口に広がります。サクッとした衣も箸が進みますが、スープにひたってクタクタになった衣も、個人的にはオススメです!
そしてお肉。
玉ねぎとともに煮込んだ牛肉を甘めに味付けするのは、福岡のうどんの特徴。
この味わいがスープに染み出し、新たな風味を生み出します。
お肉から遠い場所と近い場所で、スープの味の違いも楽しんでみてください!
無料トッピングでカスタマイズ!
関東のうどん・そば店では、七味唐辛子が卓上に置いてあるのが一般的。しかし、福岡県のうどん店の多くは、一味唐辛子がデフォルトになっています。
さまざまな香りを楽しめる七味もおいしいのですが、辛さのみがビビットに加わる一味は、出汁の複雑な香りを邪魔することがありません。
そして天かすが無料なのもうれしいですね!パンチが出ますのでガッツリいきたい方も満足できるはず。
さらに、全国はもちろん福岡3大うどんチェーンでも、ここだけではないかと思われる無料トッピングはとろろ昆布。
筆者はたっぷりとのせます!
これによって、出汁の旨味がグッと持ち上がるうえに、とろろ昆布特有の酸味が、味わいにキレをもたらしてくれるのです!
名物のデザートぼた餅も。まるでゆりかごから墓場まで
普通のうどん店であれば、「うどんでおなかいっぱいになれば終了」が普通ですが、『資さんうどん』には名物のデザート(甘味)として「ぼた餅」があります。
まさに食の“ゆりかごから墓場まで”ですね。
持ち上げてみると、ずっじりと重みを感じます。
実は筆者、甘いものをほとんど食べないので、同店の「ぼた餅」は今回が初体験でした。個人的に甘いものは、一口目だけはおいしく感じられるのですが、あとが続かない印象。カップアイスなども、途中で食べきれずに、家族にあげてしまう始末です。
しかし、この「ぼた餅」は、なんと1個をペロッと平らげてしまいました!
というのも、甘みが抑えられた上品な味わいだったのです。そこに隠れた塩気が、食欲を掻き立ててくれました!
甘党の方はもちろん、そうでない方も一度、お試しあれ!
食にこだわりのあるタモリさん(福岡県出身)も、ことあるごとに福岡県のうどんの魅力について話しています。そんなうどんが、東京で手軽に食べられるチャンス、ぜひその手につかんでください!
写真・文=Mr.tsubaking