非日常を体験できる“ハレ”を生む劇場=“座”になればという思いで造られた本施設には、なんと8つの劇場が。まず、ホール棟には1300席を有する「東京建物Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)」をはじめ、ライブ劇場「harevutai」、バーチャルとリアルが融合した新しい体験型スタジオ「ハレスタ」、そして真っ赤な大理石が輝く大階段の「パークプラザ」。「としま区民センター」は、さまざまな用途で利用可能な多目的ホールと小ホールが完備され、「Hareza Tower」には、約1700席のシネマコンプレックスと、玄関の開放的な空間を生かしたシネマプラザが誕生する。
印象的なのは、この空間の一体感。全ての建物のメイン玄関は中池袋公園側に設置され、高さ10mにもなるという大きなガラス窓越しに、外も中も、どちらの方向からも見渡せる。よくよく見たら、歩道も車道もまるで中池袋公園の延長かのように整備されているではないか。仕切り・隔てるものがないだけに、目線は360度あちこちへ。観る/観られるという一方通行の関係を見事に乗り越えた新時代の“座”の数々に、多くの劇場を有しにぎわってきた池袋の、文化の街としての矜持を感じる。
予約必須の人気ミュージカルから、気軽にふらりと立ち寄れるコンサートまで、公演やイベント内容は実に多種多様なので、HPのチェックを抜かりなく。なお、このオープンに伴い、最寄りバス停の名称もHareza池袋に変更に。アルファベットを使った停車所名は、実はこれが都バスで初めてだそう。知ってました?
取材・文・撮影=町田紗季子(編集部) 写真提供=豊島区
『散歩の達人』2020年5月号より