何平米かしら?
今日は亀戸駅で待ち合わせだ。
まずは2022年4月にオープンした『カメイドクロック(KAMEIDO CLOCK)』に行ってみよう。
せっかくだから大通りじゃなくて裏の道を歩いてみる。
あら空き地。何平米かしら?
エルボーが平方メートルじゃなくて、「へいべい」って言っている。
おっさん用語。
そんなおっさん用語を使うエルボー、かわいい。
……と思うオレもどうかと思うが(笑)
こんな小規模の土地であっても、台風とかで向こう側の線路沿いの土砂が崩れると面倒くさいことになるんだろうなー。
お、これはなんだなんだ。
たまたま通った小道に前にインスタ映え女子に流行った天使の羽が。
亀戸にも天使の羽があったんだ。知らなかった。
「やだ〜。恥ずかしい〜。」
とか言いながら人があまり人通りがない場所なので、せっかくなので写真を撮る。
が、あれ、なぜか撮れてない(汗)
文章だけだとアレかもしれませんが、お近くにいく用事があったら立ち寄ってみてください。
「え、なにこれ」的な感じで、まぁまぁびっくりしますよ。
総合設計制度ってなに?
京葉通りに戻り、横断歩道をわたる。
向こう側の『カメイドクロック』に行ってみる。
こういった再開発されたところは、コジャレた雰囲気満載なので、デートのときはいいかもしれないしね。
念のためだが、「再開発」となると、そもそもそれに適した広大な土地が必要となる。
つまり空き地がないと、再開発もへったくれもない。
ということで、ここはそもそもなんだったのか。
この敷地には2016年3月まで「サンストリート亀戸」という商業施設があって、その前は時計の現・セイコーインスツルの東京工場があったんだとか。
そんな由緒を承継しようということなのでしょう。
「この地の記憶を紡ぎ、みんなが集まり、みんなの日々を、亀戸の記憶を刻む場所」として『カメイドクロック』と名付けられたらしい。
そうか、記憶を刻む場所か。
まぁオレもこうして、なんだかんだ言いつつも、エルボーと街歩きを楽しんでいる。
エルボーの横顔をチラッと見る。
すまし顔の彼女。
彼女の記憶にも、オレたちの日々は残っているのだろうか。
そんなことを思いつつ、スマホで『カメイドクロック』のネット情報を見てみる。
厳密な真偽はアレだが、まとめると、以下。
・カメイドクロックの延べ床面積は約58,000㎡(5.8ヘクタール)。
・地上6階、地下1階で店舗数は136店舗。
・25階建で934戸のタワー型マンション「プラウドタワー亀戸クロス」が隣接し、カメイドクロックとデッキで接続されている。
・デベロッパーから江東区が用地の提供を受け、敷地南東部に隣接する第二亀戸小学校の増設棟を整備。
隣接しているタワー型マンションのほうに行ってみよう。
すると敷地にこのプレート。
「総合設計制度」と書いてある。
最近のタワー型マンションはこの制度を使って建てたものが多い。
ある程度の敷地規模があるという前提で、緑の公園など居住者以外でも出入り自由のオープンスペース(公開空地)を設けることを条件として、容積率の割増や斜線制限の緩和を認めるという制度。
まさにここだね。
「容積率の割増」によって延べ床面積が増えるので、そのぶん高層とすることができる。
「斜線制限の緩和」ということで、斜線勾配的な高さ制限がないので、スラッと空に高さを伸ばすことができる。
つまり、敷地を公開空地として一部開放してくれるんだったら、本来の階数とか高さの建築制限を受けることなく、どどーんとタワーを建てちゃっていいよ、という塩梅。
ちなみに、タワー型マンションなどの超高層ビルを建てる手法としては、総合設計制度以外にも、都市計画として「特定街区」「高度利用地区」「高層住居誘導地区」を指定するというのもあるけど、これらは、行政側の要請という体となり、都市計画決定というメンドーな手続きがあり弾力的に運営できない。
そこで生み出されたのが総合設計制度。
建築主(デベロッパー)サイドからの申請により、特定行政庁がその建築計画を個別に判断して高層ビルの建築を許可する。
ちょっと前になるけど、東京の湾岸エリアでバンバン建設されたタワー型マンションは、この総合設計制度によるものが多い。
高さを上積みして目もくらむような物件を建てて販売した大手デベロッパーが多数だったんだけど、でも粋なデベロッパーもあって、あえて総合設計制度を採用せず、いわゆる「素のまま」で勝負に出た物件もあった。上積みはないものの、敷地はマンション居住者だけという「プライベートゾーン」を強烈な売りにして、内装や設備面を充実させた結果、総合設計制度採用組に完全勝利。速攻で完売。あっぱれだった。
隣から越境する樹木は切っていいの?
さて。
あれ?
なんだこの道。
再開発でピカピカしている『カメイドクロック』の横に、何だか違和感というか素朴なというか、こんな道がある。
都内でもまれにこういう道に出くわすことがある。
「ねえ、あそこの道なんだか緑が綺麗だから通ってみよう!」
さすがエルボー、オレが気になるところに行ってくれるじゃないか。
緑から差し込む太陽の光が気持ちいい。
ここにも緑がいっぱいだ。
さて。
『カメイドクロック』にいったん戻り、美味しいコーヒーを飲んでから、オレたちは錦糸町方面まで散歩してみることにした。
我々のお目当ては「おいてけ堀」だ。
「おいてけ堀」は墨田区が舞台の怪談のひとつだ。
ざっくり言うと錦糸堀で魚を釣ると怪しい声で「おいてけ」という『怪しい声』が聞こえて、気がつくと釣ったはずの魚がどこにもいないという話。
“置いてけぼり”の語源なんだとか。
史跡案内板があるみたいなのでそこに向かってみる。
相隣関係とは?
都会のド真ん中でも、樹木は生い茂っていたりする。
亀戸から錦糸町方面に向かう京葉道路。
隣地の樹木の枝が越境してきている。
まぁこのくらいの越境だったらどうということもないが、これがもうちょっとはみ出てきたらどうでしょう。
たとえば、鉄道の線路敷地に隣地の木の枝が覆いかぶさってきたらどうしたもんか。
鉄道の運行に支障が生じる。
なので、枝を切ろう。
まぁそうなんだが、ここで問題。
問題:隣地から越境してきた樹木の枝を、勝手に切ることはできるでしょうか?
答え:できません。
この手のトラブル処理方法は民法に規定されていて、民法第233条ではこんなふうになっている。
「土地の所有者は、隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる」
つまり自分で勝手に切っちゃダメで、まず、竹木(樹木のこと)の所有者に切除してくれとお願いすることになる。
だがしかし、こんな場合もある。こんなときは、竹木を切除することができる。
- 竹木の所有者に枝を切除するよう催告したにもかかわらず、竹木の所有者が相当の期間内に切除しないとき。
- 竹木の所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき。
- 急迫の事情があるとき。
じつは昨今の改正でこのようになったのだが、特に②だね。
「竹木の所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき」
これって、そうなんですよ、いまなにかと世の中で話題となる「所有者不明土地」問題とからんでます。
竹木って、そりゃもちろん土地に生えているわけだから、竹木の所有者=土地の所有者というパターンが多かろう。
あとは「急迫の事情があるとき」というのも追加されました。
あ、そうだ。
枝じゃなくて根が越境してきたらどうするんでしょう。
たまに道路とかがモコモコとふくらんでたりしますよね。
歩きにくいといえば歩きにくい。
歩道だったまだいいけど、線路敷地に大木の根がモコモコしてきたら、運行に支障をきたすというか、危ない。脱線だ。
では「根」です。
「根」の場合はこちら。
「隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、その根を切り取ることができる」
根の場合は、どうぞご遠慮なく。
ギコギコ切っちゃってください。
そしてデートの最後は……
この日はまだ夏の気配が濃厚。
夕日を浴びながら、発見&到着。
「史跡案内板……。あっ!!中学校の前にあるんだね!」
「ねえGoogle Mapで見てみたら錦糸堀公園にも『おいてけ堀』の何かがあるみたいよ!」
え、錦糸堀公園…あのあたりラブホ街じゃん。
エルボーはそこに行きたいと言っている……。
「行ってみようか!!!」
オレは西日を浴びて元気になる。
光合成だ。
あはは。
夏の夕方のラブホ街。
いい感じだ(うずうず)。
あれ?
おいてかれた〜!!!
取材・文・撮影=宅建ダイナマイト合格スクール