アジサイとカリフォルニアロール 2つの共通点とは?!

突然ですが、クイズです。梅雨を代表する花・アジサイ。そして、アボカドやツナが巻かれたカラフルな巻き寿司・カリフォルニアロール。

一見、なんの繋がりもなさそうな2つには、共通点があります。それは、どんなところでしょうか?

カリフォルニアロールは生魚が苦手な外国人に食べやすいように考案された寿司だといわれている。関連性はなさそうに思えるが……。
カリフォルニアロールは生魚が苦手な外国人に食べやすいように考案された寿司だといわれている。関連性はなさそうに思えるが……。

実は、どちらも日本で生まれたものが海外で進化し、「逆輸入」されたものなんです。

現在、国内で見られるアジサイの多くは、日本原産のガクアジサイがヨーロッパで品種改良された「ハイドランジア」と呼ばれる品種です。そして、日本のアジサイを世界に広めた立役者が、ドイツ生まれの医師・博物学者のシーボルトだといわれています。シーボルトは、江戸時代に西洋の最新医療を伝えるため来日し、アジサイにほれ込んで、日本で知り合った「オタキさん」という女性の名前を付けたという逸話も残っています。

梅雨に咲くアジサイ 本当の花はどこにある?

「アジサイの花を見たことはありますか?」このように聞かれたら皆さんはどう答えるでしょうか。何だかばかげた質問のように思えますが、あなたが花だと思っているものは、本当の花ではないのかもしれません。というのも、多くの人が花だと認識しているのは、こちらの大きな花びらのように見える部分ではないでしょうか?

大きな花びらのように見えるものは花ではない?!
大きな花びらのように見えるものは花ではない?!

こちらは「ガク」と呼ばれる装飾花(そうしょくか)で、本当の花は別のところにあります。

ガクを優しくかき分けると、ぶつぶつとした小さな実のようなものが見つかります。実は、これがアジサイの「真の花」なのです。

ガクを優しくかき分けて、小さな「真の花」を見つけてみよう。(赤丸は真の花が開花した状態)
ガクを優しくかき分けて、小さな「真の花」を見つけてみよう。(赤丸は真の花が開花した状態)

各地の気象台では、この真の花が2~3輪咲いた最初の日を「アジサイの開花日」として発表しています。私は大人になってから真の花の存在を知った時、衝撃を受けました。子どもの頃からずっと花だと思っていたものが、実は違っていたなんて……。驚きましたが、この話をすると誰もが「へえ~!」と感心してくれます。

アジサイの色は●●で決まる!

澄み切ったブルーに、可憐なピンク。最近は清楚な雰囲気を醸し出すホワイトのアジサイも人気ですよね。首都圏のアジサイの名所といえば、鎌倉の明月院ですが、ここでは「明月院ブルー」と呼ばれる青のアジサイが咲き誇り、蒸し暑い梅雨時に清涼感を与えてくれます。

鎌倉・明月院の清涼感あふれるブルーのアジサイ。蒸し暑さも吹き飛ぶ。
鎌倉・明月院の清涼感あふれるブルーのアジサイ。蒸し暑さも吹き飛ぶ。

アジサイには様々な色合いのものがありますが、色の違いはどのように生まれるのかご存じでしょうか?アジサイの色を決めるもの、それは土です。アジサイは育った土壌の性質によって色が変化します。

アジサイにはアントシアニンと呼ばれる色素が含まれていて、この色素と土の中に含まれるアルミニウムが結合すると、青系の色になります。アルミニウムは酸性の土壌でよく溶けるため、一般的に酸性が強い土壌では青、アルカリ性が強い土壌では紫やピンクのアジサイになりやすいといわれているのです。

都内の有名アジサイスポット・多摩川台公園ではかたつむりのオブジェがお出迎え。
都内の有名アジサイスポット・多摩川台公園ではかたつむりのオブジェがお出迎え。
色とりどりのアジサイ。美しさに思わず足を止めて見とれてしまう。
色とりどりのアジサイ。美しさに思わず足を止めて見とれてしまう。

じめじめと憂鬱な梅雨ですが、いまの季節にしか楽しめないアジサイを楽しみにお散歩するのはいかがでしょうか?

参考:「新 散歩の花図鑑」岩槻秀明(新星出版社)
神戸市立森林植物園 あじさい情報センター
https://www.kobe-park.or.jp/shinrin/ajisai/arekore/arekore07/

インターネット花キューピット
https://www.i879.com/mother/column/13/?grid=colmn_ranking

 

写真・文=片山美紀