中板橋商店街公認アイドル「へそりんちょ!」
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2018年、商店街の活性化を手伝うために結成。
中板橋の盛り上げ役としてさまざまなイベントに出演している。グループ名の由来は中板橋が板橋区の真ん中、へそだから。全員が“永遠の17歳”。
――今回はメンバー歴が一番長いあおいさん、代表でお答えください。まず、結成のきっかけを。
あおい 板橋区の三大祭りとされる「なかいたへそ祭り」の企画として行われたへそ娘コンテストですね。
――中板橋商店街の公認ということですが、商店街の印象は?
あおい 飲食店はもちろん、八百屋さん、お肉屋さん、お米屋さん、お総菜屋さんなど、ぶらぶら歩けば何でも揃うんです。昔から続いているお店も多いので、どこか懐かしい下町感を感じますね。
新旧の魅力あるお店のアピールをしていきたい
――公認アイドルということは商店街の方々との交流も生まれますね。
あおい 個人経営のお店が多くて、ご挨拶(あいさつ)に回ると、皆さん、昔からの知り合いみたいに接してくださって。本当にやさしいし、あったかいんです。人柄と温かさは他の商店街に絶対負けない自信があります。
―― 一方で、若い人たちの出店も増えていますか?
あおい はい。20代や30代の方がお店を出すケースが増えました。だから、ノスタルジックな部分と新しい部分という全体の魅力を私たちがアピールしていけたらと思います。
――オリジナル曲もあるそうで。
あおい 『拝啓、ここは中板橋です』、『NAKAITAで逢いましょう』など3曲あって、どれも中板橋をテーマにした歌詞になっています。
――どんな内容ですか?
あおい 「タバコ屋の角まがり 優しい畳の匂い」とか「ここは真ん中 世界の真ん中」とか。オリジナル曲はライブで必ず歌います。
――現在はどのような活動を?
あおい (2023年)7月9日に開催される「へそ祭り」では商店街の中にミニステージを作ってパフォーマンスをします。今はそれに向けて猛レッスン中です。ベリーダンス、沖縄のエイサー、お笑いライブなどもあるので、皆さん、ぜひ観に来てください!
いたばしプロレスリング代表「はやてさん」
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会社員からプロレスラーに転身後、みちのくプロレスなどを経て2014年にいたばしプロレスリングを設立。大会ではコミカルな演出で老若男女を楽しませる。コロナ前は年間10以上の興行を打っていた。プロレスを通じて街への貢献を目指す。
――大学卒業後は普通に就職されたんですよね。
はやて 大学時代に学生プロレスはやっていましたが、体格的にプロは無理だなと。でも、28歳の時にユニバーサルプロレスという団体で小柄なメキシコ人たちがバンバン動いているのを見て感動して。会社を辞めてレスラーの道を目指し始めました。
――どうなりましたか?
はやて 日本とメキシコを行ったり来たりしながら修業の日々でしたね。みちのくプロレスに所属していた時期に「はやて」になったんです。
所属レスラーは商店街、町会、企業から公認を受けている
――板橋区とのつながりは?
はやて 大学の終わりぐらいから現在までずっと暮らしています。「いたばしプロレス」の構想はずっと持っていたんですが、たまたま上板橋の商店街の人と知り合った縁で上板橋の公園、小学校の体育館、ショッピングモールといった場所で興行をさせてもらえるようになりました。
――板橋グリーンホールなどの大きな会場で大会を開くのはいつから?
はやて 2014年からで超満員でした。収益の一部は地域の振興のために区に寄付しています。うちのレスラーは基本的に板橋区内の商店街、町会、企業の公認を受けています。
――いたばしプロレスの特徴は?
はやて 高い技術を持っているのは大前提で、1試合15分、20分の中でお客さんに笑いと感動を与えること。いろんな苦しみや悲しみを抱えて生きている人たちが一瞬でも楽しかったと思える時間を作れればと思っています。うちはプロレスを知らない人が観ても楽しめる構成になっています。
――板橋区の魅力って何でしょう。
はやて とにかく人。人がいいのは間違いない。子育て世代が流入して人口も増えていますが、魅力がなくなると出て行ってしまう。「いたばしプロレス」がそれを引き止める要素の一つになればと思いながら必死に活動を続けています。
都内初の民間交番犬「こまる君」
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ときわ台駅南口にほど近い天祖神社の入り口にある「森の番所」(※)は都内でも珍しい民間交番。ここに毎朝“出勤”するのが、初代・まる君の跡を継いだ看板犬のこまる君。人懐こい性格から、通勤や通学で番所の前を通る住民に愛されている。
※森の番所は東武東上線ときわ台駅南口から徒歩2分の天祖神社横。
――飼い主である天祖神社の小林さん。「こまる」という名前の由来は?
小林 2018年まで森の番所にいた初代の看板犬、「まる」の跡を継いだのがこの子。引き取った当時は小さかったので「こまる」です。
――番所はどのような経緯で?
小林 ときわ台は北口に交番がありますが、こっちの南口にはないんです。警察に掛け合っても無理だと言われて。そんな時に民間交番という制度があることを知り、2006年に商店街の活性化プロジェクトの一環としてオープンしました。
若い女性やお子さん連れのママさんのファンが多い
――こまる君の生活はどんな感じ?
小林 神社の敷地内で暮らしていて、朝8時半から9時には通学、通勤の方々を見守るために森の番所に出勤します。若い女性やお子さん連れのママのファンが多いです。
――そうか、ずっとここにいるわけじゃないんですね。
小林 「こまるに会いたい」という人が来たら外に出しますが。
――パトロールもするそうですが、彼に防犯活動をしているという意識はあるんですかね?
小林 初代のまると違って警察犬の訓練を受けているわけではないので、散歩だと思っているでしょう。でも、町会の人と犬が歩いているだけで目立つので一定の防犯効果はあるはず。
――見送りタイム以降で森の番所に詰めるのはどんな方々ですか?
小林 以前は退職された学校の先生で毎日のように開けてくださっていた方がいましたが、7年前に引退されまして。今は地域の人が不定期で入ってくれています。
――開いていない日も多いと。
小林 そうなんですよ。でも、体験学習で訪れた中学生が「番所とワンちゃんのおかげで街を好きになった」などと言ってくれるので、地域の協力者を募って開ける頻度を増やしたいです。街の人とこまるの交流頻度も増えますからね。
取材・文=石原たきび 撮影=原 幹和
『散歩の達人』2023年6月号より