下北線路街に誕生した注目のカフェ
ここ数年で再開発が進み、姿を変える下北沢駅の周辺エリア。そのなかで新しく誕生したエリア、下北線路街の一角にたたずむのが『適温』だ。
同じく下北沢に店舗を展開する『肉ナリ焼くナリ』『カレーの惑星』『胃袋にズキュン』などの姉妹店にあたる。
『適温』はカフェとして利用できるだけではない。カフェメニューのほか、日本全国から選りすぐった素材を丁寧に調理した本格的な料理を提供しているのだ。
モーニングには1日の元気をチャージしてくれるプレート、ランチは具材たっぷりのオープンサンド、ディナーにはお酒に合うバルメニューなど、時間帯によって多彩なメニューを展開しているため何度訪れても飽きがこない。
「『適温』はお客様の日常に寄り添うというコンセプトのもと、料理も空間もすべて楽しめる店になっています。料理のほか、国産の茶葉で淹れたお茶や自家製ジェラートもおすすめですよ」と話すのは、店のオープンからスタッフとして働く関あおいさん。
「昔からジェラートを作るのが夢で、この店でジェラート作りに関われたことがうれしいです」と優しく笑う。関さんをはじめ、スタッフの物腰のやわらかさから、居心地のよい空間を作りあげたいという想いが伝わってくる。
自家製のキャラメルソースがたっぷり。人気No.1のプリン
カフェメニューで一番の人気を誇るのが、自家製クリームキャラメル(プリン)740円。四角いフォルムのプリンに、キャラメルソースがあふれるほどかけられており、見た目にも印象的だ。
口に入れた瞬間からほどけていくなめらかプリンの生地は、ほろ苦いキャラメルソースとのバランスを考えて作られており、きび砂糖を使って優しい甘さに仕上げられている。ソースと絡めながら大切に味わいたくなる、ご褒感のあるプリンだ。トッピングのフルーツは季節によって変わるため、見た目の変化も楽しめる。
プリンと一緒に味わいおすすめのドリンクが、自家栽培ほうじ茶とスパイスの和チャイ630円。自然栽培の生姜と黒糖、無農薬のほうじ茶を使ったこだわりの一杯だ。チャイにたっぷりと振りかけられたガラムマサラは、姉妹店のカレー店でカレーに使われているスパイスの中からブレンドした自家製スパイス。
一口目からスパイスの香りがふわっと鼻を抜け、スパイスが主役といっても過言ではないくらい味わいと香りを存分に楽しめる。今まで飲んできたチャイのイメージが変わる、インパクトのあるチャイだ。甘いプリンとチャイのスパイシーな組み合わせは間違いない。
関さんが「個人的にはこちらもおすすめです」と教えてくれたのが、月替わりの旅するお茶。旅好きのオーナーが全国を旅するなかで出合ったおいしいお茶を、定期的に種類を変えて提供している。
取材時に提供していたのは2種類で、今回は北海道滝上町産の和種ハッカを使ったほうじハッカ茶740円を注文してみた。
ほうじハッカ茶は、ほうじ茶の香ばしさとハッカの爽快感を感じられる新感覚の味わいだった。温かいお茶だが、暑い季節にも飲みたくなる爽やかさ。食後のお口直しにもぴったりだ。飲み終えたら急須にお湯を足して、二煎目を楽しめるのもうれしい。
作家の手仕事に囲まれた空間を楽しむ
料理を楽しみながら、ぜひ店内も見渡してみてほしい。国内外の作家が手掛けた、丁寧な手仕事を感じられる作品が空間になじんでいる。ハイセンスなのにどこか安心感と温もりにあふれた作品の数々は、カフェタイムを豊かに彩ってくれるだろう。
「日常の中で、店内の雰囲気まですべて楽しんでいただけるカフェを目指しています。素材からこだわって選び、シェフのオーナーが振る舞うビストロ寄りの本格的な料理もお楽しみください。農家さんに毎週届けてもらう野菜のおいしさを感じられますよ。朝9時から始まるモーニングの時間は、比較的お席に余裕があるためおすすめです」と関さん。
便利な立地にあるため、気軽に心のこもった手仕事と触れ合える。まさに『適温』という店名の通り、日常にちょうど良くフィットするカフェだ。ここに来れば、せわしない毎日の中でも自分のペースを自然と取り戻せるだろう。
取材・文・撮影=稲垣恵美