今回頼んだこちらのラーメンは、なんとTRYラーメン大賞にて受賞歴のある一品。ラーメンを待つこと約7分。「お待たせしました」と笑顔で店主の谷地さん。さっそく頂きたいと思う。
古き伝統と店主の新たな技術が生んだ新感覚ハイブリッド中華そば
まずはスープをひと口頂くと、濃厚な烏賊のダシが口いっぱいにどっと染み渡る。中細のちぢれ麺はスープが絡まり箸が止まらない。
トッピングのゆずの風味と玉ねぎの食感がこれまたスープのアクセントになり、レンゲ一度置いたはずなのに、気づいたら何度もすすってしまう一杯。食べる前までは、烏賊の煮干しと背脂のミックスでこってり系だと思っていたが、燕三条系を軸とながらあっさりしていて、きりっと味がまとまっている。谷地さんの技術によって伝統と新しさが融合した渾身のラーメンだ。
高い食材を使用することに焦点をおかず、技術でいかに丁寧においしく作るかを意識しているという谷地さん。おいしさへのこだわりを伺うと「自分の技術次第で風味や旨味が変わってくるので、おいしいものをつくるという想いを一杯一杯に持つことを大切にしている」と話してくれた。そして、「2日間かけて作るスープの仕込みは、ラーメン屋さんのなかでも相当面倒くさい作り方をしています」と笑いながら説明してくれた谷地さん。労力をかけてつくるこだわりのスープには納得させられた。
「地域に愛されるお店であり続けたい」これからの想い
今後どういうお店でありたいかという筆者の質問に対して、谷地さんは、「今はまだ駆け出しで新しいものや限定メニューも今後増やしていきたいが、最終的な目標は地域に愛されるラーメン屋さんでありたいと決めている」と力強く話していただいた。「自己満足で作るのではなく、常にお客様の声や反応を1番に大切にして、お客様との対話をはかりながら自分の作りたいもの、地域に求められるものをすり合わせて料理を磨いていきたい」と続けて話してくださった。
お店の内装もこだわりがあり、家族連れや女性の方を含め地域の方が気軽に入れるような雰囲気づくりを意識しているそう。確かに実際に同店を訪れた際、居心地の良さが印象的だった。お店の雰囲気はとてもカジュアルで、1人でも全く気になることはなく、アメリカンポップの音楽が流れており、天井も高く開放感があったと感じた。
新感覚のラーメンを求めているなら、是非温かく出迎えてくれる『さん式』に足を運んでみてはいかかだろうか。
取材・文・撮影=内田陽