鉄道開業前後には、多くの画家たちがこぞって汽車や駅の姿を描いた。美術家たちの創作意欲を掻き立て、また移動手段として行動範囲をも広げた鉄道。やがて現代にかけて、彼らはさらに自由な発想で鉄道を描き、アートの舞台としてパフォーマンスを行うこともしばしば。「鉄道は美術を触発し、美術は鉄道を挑発する」。そんなスリリングな関係性こそが、本展の大きな見どころとなる。
展示される150作品には、アメリカから安政元年(1854)に贈られた蒸気機関車の模型を表した画巻、日比野克彦が2021年にデザインした電車のヘッドマーク、近年発見され話題となった鉄道構造物「高輪築堤」を描いた小林清親の《高輪牛町朧月景》などなど、近現代の傑作が勢揃い。美術を介して鉄道史を振り返るとき、どのような「歴史」が見えてくるのか? ぜひ展覧会に足を運んで、その答えを解き明かしてみてほしい。
東京ステーションギャラリー 「鉄道と美術の150年」
2023年1月9日まで。会期中一部展示替えあり。JR東京駅丸の内北口下車すぐ。10~18時(金は~20時。入館は閉館の30分前まで)、月休(会期中は12月29日~1月1日は休、1月2日は開館)。一般1400円。千代田区丸の内1-9-1 ☎03・3212・2485