◆散歩コース◆

体力度:★★★
難易度:★☆☆

  • 登山シーズン 3月~6月、10月~12月
  • 最高地点 494m(雷電山)
  • 登山開始地点 245m(軍畑駅)
  • 歩行時間 4時間55分
  • 歩行距離 約12km
スタート
軍畑駅
駅から線路を横切り、平溝川沿いに歩く。高水三山コースと同じ道。民家の脇を流れる川がきれいだ。

榎峠登山口
駅からほぼゆっくり歩いて30分で榎峠。車道からいきなりと登山道へ。そしてすぐ木段が現れる。

雷電山
延々と続く階段上りの苦行を終えると雷電山へ到着。でもご褒美はない。つまり展望はないということだ。

辛垣山
雷電山からは基本は下り。でもときどき登りもある。辛垣山へは分岐を左に。山城に興味がなければ直進も。

三方山
辛垣山からハイキングコースに戻り、名郷峠を越えると最初の展望所から西側の展望。三方山から矢倉台へ。

矢倉台
ここまでがけっこうアップダウンもあってきついところ。矢倉台からはもう地元のお散歩コースに変身する。

第二休憩所
ハイキングコース上には第一から第四までの休憩所がある。この辺は楽なので休むこともない。あとは駅へ。

ゴール
青梅駅

アクセス:
[行き]新宿駅からJR中央・青梅線で青梅駅へ。青梅駅からJR青梅線で軍畑駅へ、約1時間20分。
[帰り]青梅駅からJR中央・青梅線で新宿駅へ、約1時間20分。

道がはっきりしていて、迷うことがほとんどないことや、丘陵地帯で標高も低いという点で山歩き初心者に向いているコース。地元民にとってはかっこうの散歩コースにもなっていて、とくにコースの後半は、そんな地元の人たちをよくみかける。ただし丘陵、ハイキングというような軽めの名称がついているからといって、あまり侮ってはいけない。コース上にはピークが6カ所。ピークを巻けるところもあるが、巻けないピークのほうが多いので、アップダウンは低山のわりには多いのも特徴である。

距離は12㎞ほどなので長丁場になるが、途中には何本かのエスケープルートがあるので、万が一のときは下りてしまえばいい。

さて出発は青梅線の軍畑(いくさばた)駅。駅から線路沿いを歩いて、高水三山方面に行くときにたどる車道を歩く。民家の脇を流れる平溝川を見ながら緩い坂道を上がっていく。高水三山に行く道を左に分けてさらに進むと、榎峠に到着。ここから登山道に入る。

軍畑から榎峠に行く途中は、多摩川の支流の平溝川沿いに歩いていく。きれいな川で、川沿いに住む人がうらやましい。
軍畑から榎峠に行く途中は、多摩川の支流の平溝川沿いに歩いていく。きれいな川で、川沿いに住む人がうらやましい。

山に入るとすぐ急坂が始まる。のんびり尾根歩きと思っていたら予想は外れた。木段が次から次へと出てくる。ふうふう言いながらどうにか上がっていくと、本日最高峰の雷電山に着いた。最初に急坂がくると、なかなかつらいものがある。つまり体のエンジンがまだ温まらないのでつらいのである。雷電山からの展望は北側が少しあるだけで、あとは森の中。

榎峠の登山口から登山道に入ると、このような木段が何度も何度も出てくる。最初だけにやや苦しい。
榎峠の登山口から登山道に入ると、このような木段が何度も何度も出てくる。最初だけにやや苦しい。
雷電山の山頂。展望は北側だけが少しあるが、ほかは全くなし。あるのは低いお立ち台だけ。
雷電山の山頂。展望は北側だけが少しあるが、ほかは全くなし。あるのは低いお立ち台だけ。

あえて困難なコースで辛垣山を目指す

雷電山を過ぎれば、これ以上高い山はないので気分的に楽なのだが、この先アップダウンがどのくらいあるか。次に目指すピークは辛垣(からかい)山。手前に分岐があり、本来のハイキングコースは辛垣山には行かずに平坦な道を進むが、今回は困難なほうを選ぶ。

辛垣山には辛垣城という山城があった。16世紀後半に近くの勝沼城から移ってきた田綱秀が築城したという山城で、北条氏照に攻められて落城したという。

辛垣山の標識がある。山城の空堀や土塁などは少し残っているようだが、全体的にわかりにくい。
辛垣山の標識がある。山城の空堀や土塁などは少し残っているようだが、全体的にわかりにくい。

城の遺構はあまりない。というのも、一帯が江戸時代以降に採石場として使われたので、遺構が不明となったようだ。この先の物見山から尾根を下って行ったところにある支城になる桝形山城のほうが山城らしい遺構が残っている。

辛垣山から下山してくると山城の虎口のような場所だが。でもここは江戸期から大正にかけて石灰石を採掘したところなので城の遺構はほとんどない。
辛垣山から下山してくると山城の虎口のような場所だが。でもここは江戸期から大正にかけて石灰石を採掘したところなので城の遺構はほとんどない。

辛垣山の先からハイキングコースに合流して縦走は続く。途中、ようやく名郷峠の先で南西側が開け、二俣尾の街並みの展望が得られる。この先、また展望はなくなる。物見山、マスガタ山、三方山とピークは続く。アップダウンもそれなりにあり、だんだんと疲れがたまってくる。

名郷峠を過ぎて少し行った右手に視界が開けたところがある。おそらく木々を伐採したのだろう。西側が見え、二俣尾の家並みや奥多摩の山々。
名郷峠を過ぎて少し行った右手に視界が開けたところがある。おそらく木々を伐採したのだろう。西側が見え、二俣尾の家並みや奥多摩の山々。

展望のいい矢倉台へ着いたときは、スタートからすでに4時間以上経っていた。少し長い休憩をとってから、青梅市街に向けて後半戦を開始。

矢倉台からの南東方面尾眺望。中央下に見える川は多摩川。奥に見えるのはあきる野市の低山の連なり。
矢倉台からの南東方面尾眺望。中央下に見える川は多摩川。奥に見えるのはあきる野市の低山の連なり。
展望のいい矢倉台には東屋があり休憩所になっている。物見櫓とも。辛垣城の物見の場所として戦略上重要なところだったらしい。
展望のいい矢倉台には東屋があり休憩所になっている。物見櫓とも。辛垣城の物見の場所として戦略上重要なところだったらしい。

第四から第一休憩所まである後半線の道は平坦なので、やっと丘陵ハイキングの気分になって終了。

山歩きメモ

物見山の下の尾根には辛垣城の支城だった桝形城跡がある。この支城のほうが本丸などが残っているので、寄ってみたい人は物見山から尾根を下りるといい。標識などはないが、わかりやすい。

アドバイス

名称がハイキングコースのわりには距離が長く、巻道はないのでけっこう疲れる。それも矢倉台までだが、エスケープルートがいくつもあるので、途中で下山も可能だ。逆コースのほうが楽かもしれない。

銀嶺

名物のおでんと焼き鳥で下山後はひとり反省会

おでんは冬はもちろん夏でもいつでもおいてある。
おでんは冬はもちろん夏でもいつでもおいてある。
でっかい焼き鳥や焼きとんがグッド。
でっかい焼き鳥や焼きとんがグッド。

戦後まもなくの1949年創業という青梅屈指の老舗居酒屋が『銀嶺』。もちろん現在の女将ではなく、お父さんが創業。地元の人にも人気で狭い店内にいつもぎゅうぎゅう。とにかく長居してしまう居ごこちのいい店だ。

●15:30~22:00、火休。JR青梅線青梅駅から徒歩5分 ☏0428・22・4719

取材・文=清野編集工房
『散歩の達人 日帰り山さんぽ 低山をきわめる!』より