(写真左)製造管理主任 吉田充宏さん(写真右)取締役専務 小野澤俊明さん
(写真左)製造管理主任 吉田充宏さん(写真右)取締役専務 小野澤俊明さん

取締役専務の小野澤俊明さんと、製造管理主任の吉田充宏さんが迎えてくださいました。

小野澤さんの家では、小野澤さんの曽祖父のころから象牙などを使った「根付」を製作するなど、代々ものづくりを家業にしてきました。昭和59年には「小野澤製作所」として会社を設立。以来、荒川区で約40年にわたりキーホルダーやストラップ製作を行っています。

冒頭にご紹介した商品には小野澤製作所の目玉とも言える、ある“仕掛け”が隠されているものがあります。
例えば、こちらのミニチュアカメラ。上にある穴から中をのぞいてみましょう。

すると…!

浮かび上がったのは、ノスタルジックな風景写真!

実はキーホルダーの奥に、極小のフィルム写真が入った小型レンズが組み上げてあり、穴をのぞくと写真が浮かび上がって見えるしくみになっているのです。

「のぞきレンズ」と呼ばれるこの商品。小野澤さんによれば関西地方には多いものの、関東で製作しているところはほとんどなく、かなり珍しいのではないかといいます。

製造現場に潜入!

今回、この「のぞきレンズ」の製作過程を見せていただけることに。
まず紹介していただいたのが、こちらの機械です。

何やら、糸巻きのような部品が付いていて、ミシンにも見えますが…。

実はこの、細く伸びているのは8ミリフィルム。1950年代〜1970年代にかけて、いわゆるホームビデオのように広く使われていた8ミリ幅のフィルムです。

丸く抜いたフィルムの直径は3.9ミリ
丸く抜いたフィルムの直径は3.9ミリ

このフィルムには、のぞきレンズに入れるイラストが現像されています。
拡大鏡で見てみると、こんな感じ。

めでたい七福神の絵柄は、お寺や神社向けのキーホルダーとして人気だそうです。
これを機械で丸くパンチして切り抜き、筒状の小型レンズにはめて…

透明の小さな筒が「のぞきレンズ」
透明の小さな筒が「のぞきレンズ」

出来上がった小さな部品を、ひとつひとつ手作業でキーホルダーにはめていくのです。丁寧でかつ迅速な職人の技に惚れ惚れします。

※写真で作業しているのは、のぞかないタイプの商品です
※写真で作業しているのは、のぞかないタイプの商品です

このフィルムを切り抜く機械はおよそ30年もの。それゆえに、ある時困ったことが起きたといいます。

小野澤さん : すでに製造メーカーにも詳しい人がおらず、修理が困難になってしまったのです。たまたま近くに住んでおられる職人さんがこういった機械に詳しい方で、ご相談したところ快く直してくださいました。

以来、機械の調子が悪くなった際には修理をお願いしているのだそう。ものづくりが盛んな荒川区ならではの素敵なつながりですね。

小野澤さんと製造担当の吉田さんも、前職からの同僚という長い付き合い。
ときにはバチバチ熱い議論を戦わせながら、変わりゆく時代に合った商品を開発してきました。

そうして生まれたのが、食品そっくりのキーホルダーや、懐かしさいっぱいの文房具モチーフなどの商品。遊び心あふれるユニークなものばかりです。

吉田さん : お客様の要望に応えられるよう、アイデアを出し合ってさまざまなモチーフのキーホルダーを試作してきました。これまで作った試作品の数は1,000種類以上あるかもしれません。

作品を見せていただいた筆者も、手に取るたび「すごい」「かわいい」と連呼してしまうほど、再現度の高い造形。ものづくりへの情熱を感じます。

オリジナル製作も可能!

小野澤製作所では商品本体をオリジナルで製作したり、のぞきレンズを好きな写真やイラストにカスタマイズしたりすることもできます。これまで、作家やミュージシャンからも注文があったとか。世界に一つだけのアイテムをプロに作ってもらえるというのはかなり楽しそう!

小野澤さん: 商品本体のオリジナル製作や、のぞきレンズのオリジナル製作、もしくは両方とも同時にご依頼も可能ですので、お気軽にお問い合わせください。個人様でも会社様でもウェルカムです!些細なことでもぜひ構えずにご相談いただければ幸いです。

吉田さん : そばに置いて喜んでもらえる、みんなに喜んでもらえるものを作っていけたら嬉しいです。

それで大もうけできたらもっと嬉しいですね!と笑う吉田さんと笑顔の小野澤さん。お二人の言葉には「ものづくりへの愛」が溢れていました。

まだまだ伝えきれない魅力は、ホームページや、吉田さんがこまめに更新するTwitterでもご覧になれます。
ぜひ、チェックしてみてください。

<店舗情報>

店名:有限会社 小野澤製作所
住所:東京都荒川区西尾久4-15-2
電話:03-3893-9998
HP:https://onozawass.com/
Twitter:@onozawass

取材・文・撮影=荒川102