湯量豊富な温泉と自然を感じる広々とした露天風呂

平屋建ての建物で、中庭を囲むようにフロント、大浴場、岩盤浴、食事処などの建物が立ち、渡り廊下で結ばれている。
平屋建ての建物で、中庭を囲むようにフロント、大浴場、岩盤浴、食事処などの建物が立ち、渡り廊下で結ばれている。

最寄り駅は東武スカイツリーラインの東武動物公園駅。といっても駅から25分ほど歩くので徒歩では大変。東口から徒歩2~3分の古川橋のたもとに無料送迎バスの発着場がある。10時~21時30分の間、おおむね1時間に2本、毎時0分と30分に運行しているので、これを利用すれば5分で到着だ。

オープンは2012年4月。すると、全国約1万5000施設の中から選ばれる「ニフティ温泉年間ランキング」で翌年から5年連続して1位を獲得し大きな話題となった。その後、続々と規模の大きな施設や最新の設備を整えた施設がオープンしているが、いまなお上位にランキングしている。

魅力の要因は、源泉かけ流しの風呂と、自然に包まれた露天風呂の存在だろう。温泉は地下約1500mから湧出したナトリウム-塩化物強塩温泉で毎分250ℓの湧出量がある。豊富な塩分に加え、鉄分なども含まれ、鉄分が空気に触れることで透明な源泉が茶褐色のにごり湯になる。塩分と鉄分の香りのほか、ほのかに硫黄成分の香りも感じられる。泉温は約45℃あるため、源泉かけ流しの風呂があるのも高評価につながっているようだ。

趣向と湯温の異なる4つの源泉かけ流しの風呂

緑に包まれた庭園露天風呂エリアは広々とした心地よい空間で、森林浴気分も味わえる。
緑に包まれた庭園露天風呂エリアは広々とした心地よい空間で、森林浴気分も味わえる。

風呂は男女ほぼ同じ造りで種類も同じ。ここではまず、露天風呂をのぞいてみよう。屋敷林に隣接する露天風呂は広く、まるで庭園のような造り。木々には巣箱が置いてあり、鳥のさえずりも聞こえてくる。周囲に高い建造物がないので空が高い。この開放感も大きな魅力になっている。

45℃源泉をそのまま注いだ高温の風呂で、浸かると肌がピリピリとするような刺激がある。
45℃源泉をそのまま注いだ高温の風呂で、浸かると肌がピリピリとするような刺激がある。

中央部に位置する岩風呂はあつ湯とぬる湯の2槽に分かれ、あつ湯に注がれた源泉がオーバーフローしてぬる湯に注がれる仕組みだ。一段高いところに設置された高濃度炭酸泉にも温泉が使われている。大人10人ほどがゆっくり入れる広さで、38℃前後のぬる湯なので長湯好きにはたまらない。さらに源泉あつ湯とつぼ風呂があり、いずれも源泉かけ流し。露天エリアだけで4つの風呂が源泉使用というのだから、温泉好きに人気があるのもうなずける。

8人分の仕切りがある寝湯は、見上げれば樹木と空が広がり、森の中にいる気分。露天エリアの風呂は、38℃前後のぬる湯、40~42度の適温湯、42~45℃のあつ湯に分かれ、好みの湯温の風呂に入浴できるのもハシゴ湯好きにはうれしい配慮といえる。

一段高いところにある高濃度炭酸温泉は露天エリアを眺めながら入浴できる。浴槽の横には畳敷きの休憩処もある。
一段高いところにある高濃度炭酸温泉は露天エリアを眺めながら入浴できる。浴槽の横には畳敷きの休憩処もある。

何も足さない、何も引かない“生源泉”をかけ流し

やさしい湯触りで、美肌効果も期待できるシルク湯。
やさしい湯触りで、美肌効果も期待できるシルク湯。

内湯のメインとなるのは内湯生源泉湯。10人以上は入れそうな大きな風呂で、浴槽の中央に円筒分水形の湯口があり、加水・循環・消毒せず、熱交換器によって湯温を調節する源泉をかけ流しにしている。

このほか、湯に溶け込んだ超微細な泡がシルクのような湯触りとなるシルク湯、ジェットバスを備えたアトラクション風呂がある。

内湯に併設されたサウナは一度に20人くらいは利用できる広い部屋。水風呂でクールダウンしたあとは露天エリアへ。ベンチ、デッキチェア、イスが置かれているので外気浴でひと休みするといい。

テレビを観たり、雑誌を読んだり、思い思いに過ごせるお休み処。
テレビを観たり、雑誌を読んだり、思い思いに過ごせるお休み処。

湯上がりは、椅子に座ってテレビや雑誌を見れるお休み処へ。ゴロ寝できるうたた寝処には男女共有スペースと女性専用スペースがある。中庭を眺めながらのんびりとくつろげる足湯(温泉)もあるので、ここでひと休みするのもおすすめだ。

植栽が美しい中庭に面した足湯。温泉なのでしばらくするとポカポカしてくる。
植栽が美しい中庭に面した足湯。温泉なのでしばらくするとポカポカしてくる。

岩盤浴で汗をかいたら、庭を眺めながらひと休み

華は男女共用10床、咲は男女共用10床・女性専用8床。岩盤処「楽癒」の利用は中学生以上。
華は男女共用10床、咲は男女共用10床・女性専用8床。岩盤処「楽癒」の利用は中学生以上。

岩盤処「楽癒(らくゆ)」は2部屋あり、約50℃の「咲」は麦飯石、ゲルマニウム石、黄土石、翠石(すいせき)の4種類の鉱石を敷き詰めた部屋で、女性専用スペースと男女共有スペースに分かれている。約65℃の「華」はミネラルをたっぷり含んだ岩塩を敷き詰めており、強い発汗効果やデトックス効果が期待できる。

庭を眺めながらくつろげる床暖房の「優」は岩盤浴専用休憩スペース。クールダウンするなら冷房空間のお休み処や庭に面したお休みテラスへ。岩盤浴550円(岩盤着付き。土・日・祝は650円)。

地元の農家や農業高校とコラボした料理の数々にも注目!

和食レストラン「みやび」の名物になっているたまふわ杉農うどん御膳は、地元の杉戸農業高校の生徒と共同で開発した人気ナンバー1メニュー。
和食レストラン「みやび」の名物になっているたまふわ杉農うどん御膳は、地元の杉戸農業高校の生徒と共同で開発した人気ナンバー1メニュー。

館内には和食レストランとビュッフェレストランの2つの食事処がある。和食を中心にそばやうどん、酒肴などバラエティ豊かなメニューがろうのがお食事処「みやび」。ここでは、地元の農業高校の生徒と共同開発した「たまふわ杉農うどん御膳」がマスコミでも紹介され話題になった。

地元・杉戸町の契約農家の野菜を使ったビュッフエレストラン「irodori(いろどり)」では、野菜料理を中心に国産十割そば、讃岐うどん、肉汁うどん、チキンカレー、デザートといった四季の旬の食材を使った和洋中の料理やスイーツがメニューに並ぶ。なかでも杉戸の契約農家のかぼちゃを使用したかぼちゃプリンは名物デザートになっている。

かぼちゃプリン480円は雅楽の湯の名物。2つの食事処で味わえる。
かぼちゃプリン480円は雅楽の湯の名物。2つの食事処で味わえる。

「源泉かけ流しの露天風呂・内湯、高濃度炭酸温泉(浮雲)、足湯などの温泉施設に加え、岩盤処、ビュッフェレストラン、和食レストラン、癒やし処(エステ、あかすり)など、一日ゆったりおくつろぎ頂ける空間をご用意致しましたので、ぜひお気軽にお越しください」と話すのは副店長の天野正明さん。

風呂だけでなく、食事や癒やしの空間などトータルで高評価を得ている『杉戸天然温泉 雅楽の湯』。今度の休みに小旅行気分で出かけてみてはどうだろう。

住所:埼玉県北葛飾郡杉戸町杉戸2517/営業時間:10:00~24:00(最終受付23:30)/定休日:不定/アクセス:東武鉄道スカイツリーライン東武動物公園駅から徒歩25分

取材・文=塙 広明 写真=杉戸天然温泉 雅楽の湯