◆散歩コース◆

体力度:★★★
難易度:★☆☆

  • 登山シーズン 3月~6月、9月~11月
  • 最高地点 1252m(大山)
  • 歩行開始地点 761m(ヤビツ峠)
  • 歩行時間 4時間
  • 歩行距離 約7km

 

スタート
ヤビツ峠バス停
バス停からイタツミ尾根を登る。少し上がると右手に相模湾が見えてくる。分岐手前に富士山と丹沢の展望所。

25丁目の分岐
展望所からすぐ25丁目の分岐で表参道に合流。参道を上がると銅製の鳥居。これをくぐれば山頂はまもなく。

大山
山頂には茶屋あり。展望を楽しんだら下山。分岐の先に富士見台。蓑毛越分岐から道が荒れてくる。

西の峠
急坂を終えると西の峠。ここから左折して下って行くと下社の境内に入る。下社に参拝。

阿夫利神社下社
ケーブルカー乗り場の先、大山寺に行く石段。幅が狭く急なので注意して下ろう。コース上、一番の危険箇所。

大山寺
寺の先の道は緩やかな下り。男坂と合流する追分社の先が大山ケーブル駅。こま参道を歩いてバス停へ。

ゴール
大山ケーブルバス停


アクセス:
[行き]小田急小田原線新宿駅から秦野駅へ。秦野駅から神奈川中央交通バスでヤビツ峠バス停へ。片道約2時間10分
[帰り]大山ケーブルバス停から神奈川中央交通バスで伊勢原駅北口へ。小田急小田原線伊勢原駅から新宿駅へ。片道約1時間40分。

後半、急な石段を下るのが嫌な場合はケーブルカーを使おう。1時間に3便の運行で、最終便が平日は16時30分、土休日は17時ちょうど。

神奈川県の丹沢山塊で、一番多くの人が訪れるのがこの大山である。ただし全員が山頂へ行くわけではなく、ケーブルカーに乗って阿夫利神社下社まで、という人も多い。

それは昔から続く大山詣(おおやままいり)の名残かもしれない。大山は信仰登山というか、物見遊山も兼ねた、いわば観光登山の場所。講を組んでの大山詣は江戸時代に特に隆盛を極めたようで、現在も40軒ほどの宿坊が麓に残っている。明治初期のデータでは、総講数は1万5700。

その信仰の山へ。山頂へ行くルートは一般的には大山ケーブルカーを使って下社まで上がり、そこから山頂往復だろうか。今回は山頂に行く一番楽な方法をとることにする。ヤビツ峠までバスで上がる方法である。

峠の標高はすでに761m。山頂までの標高差は500m程度しかない。これは楽ちん大山詣となる。

バス停からイタツミ尾根を上がって行く。15分も歩くと右手に展望が開けてきた。相模湾が朝日に輝き、海には伊豆大島が見える。いい眺めだ。すぐ上には富士山の先っぽだけがちょこっと見える。まだこれでは満足できない。

ヤビツ峠のバス停。ここは大山のほか、三ノ塔、烏尾山、塔ノ岳方面の表尾根縦走コースの起点。
ヤビツ峠のバス停。ここは大山のほか、三ノ塔、烏尾山、塔ノ岳方面の表尾根縦走コースの起点。

丹沢山や塔ノ岳、富士山まで望める、穴場展望所へ

ヤビツ峠から1時間強、阿夫利神社下社から上がってくる表参道に合流する。その少し手前の地点が今回のお目当て。大山から富士山はそんなに近くはないが、丹沢の山々と富士山がセットになった展望は、なかなかのものだと思う。

表参道の合流地点から少し下った場所にも富士見台があるが、それよりもこちらのほうが上か。富士見好きなら、表参道で上がってきても、分岐から外れて一度立ち寄ることをおすすめする。

大山山頂からの眺望もいいが、表参道と合流する手前の眺望がおすすめ。表尾根の三ノ塔、塔ノ岳も見える。
大山山頂からの眺望もいいが、表参道と合流する手前の眺望がおすすめ。表尾根の三ノ塔、塔ノ岳も見える。

表参道から銅でできた鳥居をくぐって山頂へ。今日は山頂からの相模湾が最高である。ところで山頂が海の展望なら阿夫利山本社のあるここのおすすめは、奥社近くにあるトイレの裏側に行くと、穴場展望所があり、これは丹沢山や塔ノ岳、富士山がセットで見える。知らない人も多いかもしれない。

大山山頂。南東方面の展望。富士山より相模湾の眺望がいい。
大山山頂。南東方面の展望。富士山より相模湾の眺望がいい。
ヤビツ峠がすでに標高が高いので、ちょっと登っても高度感がある。伊豆大島も見える。
ヤビツ峠がすでに標高が高いので、ちょっと登っても高度感がある。伊豆大島も見える。

ヤビツ峠から登ったので、山頂までは楽だった。下山はどうか。これが予想外に苦労することになった。

表参道を下りて下社へ行く分岐点まで下る。ここで小休憩して蓑毛越(みのげごえ)方面へ行く裏参道を下った。この道が荒れているというか、もちろん下りられるのだが、ほぼ整備されていない。特に下りは嫌になるほど。

16丁目分岐から先の裏参道は、かなり道が荒れている。整備があまりされていないので、距離の割に体力を消耗する。
16丁目分岐から先の裏参道は、かなり道が荒れている。整備があまりされていないので、距離の割に体力を消耗する。

聞いた話だが、大山は神社が管轄している道はなかなか整備されないという。自治体が管理している道は歩きやすい。まさにその通りで、ヤビツ峠からの道は自治体管理なので、いい道だった。

下社からはケーブルを使わず女坂の石段を下りたが、これが急で足がふらふらに。大山寺が見えたときには、ほっとした。

山歩きメモ

どうしても帰りに温泉に入りたいという人は、山頂から見晴台方面に下りて、日向薬師へ参拝して、七沢温泉へ行くというコースがおすすめだ。ただし少々距離が長くなり、山頂から3時間以上かかるかもしれない。

アドバイス

ロープやクサリ場といった危険箇所はほとんどないので初心者でも十分可能なコース。ただし阿夫利神社下社から大山寺へ下りる石段が、かなりの勾配。ここは注意したい。

大山阿夫利神社下社と大山寺

古墳時代から続く山岳信仰の山

大山は古くから山岳信仰の山として信仰を集め、中世以降は修験道も盛んになり、江戸期には講が組織され、大山詣として庶民にも人気に。明治に入ると神仏分離で大山寺(下)は現在の地に移され、大山寺があった場所に阿夫利神社下社(上)ができた。

かんき楼

大山といえばやはり豆腐料理を食べたくなる

お豆腐コース1870円。夕食も事前に予約をすれば対応してもらえる。
お豆腐コース1870円。夕食も事前に予約をすれば対応してもらえる。

大山ケーブル駅の先にみやげ物屋や豆腐料理の店が並ぶこま参道がある。豆腐のお店は何軒もあるので迷ってしまうが、「かんき楼」は割と遅くまで開いているので利用しやすい。6代続くという老舗店で大山伝統の豆腐料理を堪能できる。

●9:00~17:00、不定休。大山ケーブルバス停から徒歩7分。☎0463-95-2005

取材・文=清野編集工房
『散歩の達人 日帰り山さんぽ』より