日本酒の定義とは
米や米麹、水から造られる酒を「清酒」と呼び、中でも「原料が日本産であること」、「日本国内で醸造された酒であること」、「アルコール度数22%未満の酒」というみっつの条件を満たしたものが、「日本酒」と呼ばれます。
原料を発酵させ、ドロドロ白濁した「醪(もろみ)」をつくり、それに圧力をかけて搾る「上槽」という行程を加えて完成。これがスタンダードな「清酒」、「日本酒」の造り方です。実は、「醪」の状態でも酒として飲むことは可能。「醪酒」、「どぶろく」などと呼ばれ、これらは「清酒」や「日本酒」とは別物です。また、圧搾したあとも「醪」が残って濁っている日本酒は「にごり酒」と呼ばれます。
甘酒やみりんは日本酒なのか?
縁日やお参りなどで目にすることの多い「甘酒」。これは、主に米こうじと米、あるいは酒粕を原料とする日本の伝統的な飲み物で、日本酒とは別の扱いです。製法はいくつかありますが、代表的なものはシンプルに「酒粕」をお湯で溶いたもの。微量のアルコールが含まれていることが多いので、運転手や妊婦、未成年などは注意が必要です。
スーパーやコンビニエンスストアで市販されているものは、パッケージのアルコール度数が1%未満であればソフトドリンク扱いをされています。
また、みりんはもち米と米麹、焼酎もしくは醸造アルコールを原料とした甘い酒で調味料に使われます。しかし、日本の酒税法では「混成酒」とされ、「醸造酒」である「清酒」、「日本酒」とは別の扱いです。
「地酒」ってどのようなものを指す?
実際には明確な定義があるわけではありませんが、「造られている地域が限定されている日本酒」のことを「地酒」と呼ぶ傾向があります。地酒と呼ばれる日本酒は、気候や風土、伝わってきた醸造法、原料などで各地域さまざまな特色が表れ、現地に行かなければ手に入らないものが数多く存在します。
ちなみに、現在は全国各地で醸造されている日本酒ですが、江戸時代は兵庫県の灘や京都府の伏見が主な醸造地で、そこを起点に全国に出回っていたと言われています。そういった歴史があるからか、現在でも灘と伏見は日本酒の本場とされ、地酒と呼ばれないことも多いそうです。
意外に知らないこともあったのではないでしょうか。知識をつければ、日本酒の楽しみ方も幅が広がりそう。基礎的知識を勉強して、日本酒をより深く楽しもう!
取材・文=高橋健太(どてらい堂) 監修・取材協力=はせがわ酒店