あなたのその淹れ方、本当にあってますか?

おはようございます。編集部のコーヒー伝道師こと武田です。

突然ですが、私は断然コーヒー派です。朝食後は、かならず『おかえりモネ』を見ながら一杯のコーヒーを飲みます。焙煎所で買ってきたばかりの豆を毎朝ミルで挽いて、ペーパードリップで淹れてます。

とはいえまだ初心者です。本格的にコーヒーに目覚めてからまだ1年。それまでも近所で挽いた豆を買って淹れるぐらいことはやってましたが、正直あまりまじめにやってませんでした。

コロナ禍でおうち時間が長くなり、近所の焙煎所をそれまで以上によく探すようになり、いくつかおいしい豆に出合って、いつの間にかはまっていた……という次第です。また探してみると最近は本当にいろんな焙煎所があるもので、取材などで出かけた際、都内各所の焙煎所に立ち寄るようになりました。

結果、コーヒーの味を一番変えるのは豆だということはわかりました。淹れ方がある程度下手でも、いい豆を使っていれば、それなりに美味しく入るのがコーヒーというものなのだということも。

参考にしたのは3つのメーカーの無料動画

しかし、自己流だと不安が残るも確か。そこで、各メーカーが提供している淹れ方の動画ザーッとおさらいしてみました。基本に立ち返って素直に見てみると、私のような素人は必ずいくつかの間違いを犯しているものです。

やはり思った通りでした。自分ではそれなりに完璧に淹れているつもりでしたが、決定的な間違いがいくつかあり、豆の味を十分に引き出せていなかったことがわかりました。まあ、つまり、へたくそだったのでした。

ということで、私に初歩的な間違いを教えてくれた、3つの動画を紹介します。誰でも知っているような有名なコーヒー豆メーカーが提供する、コーヒーの淹れ方の基本中の基本です。

自分の淹れるコーヒーの味に今一つ納得してない人、あるいは自分の腕に自信がある人も、だまされたと思って一度見てみませんか。全部見ても10分かかりません。何か発見があれば儲けもんです。

でも、多分あると思いますよ。

その1_カルディコーヒーファーム~ホットコーヒーのおいしい淹れ方

ミニマムにまとめた淹れ方の基本

このわずか1分15秒の動画で、ハンドドリップの流れは概ねつかめると思います。

「用意するもの」→「ペーパーの折り方」→「1~2分置いた湯を用意」→「20秒蒸らす」→「何度かに分けて円を描くようにお湯を注ぐ」など基本中の基本がわかります。

ちょっと注目なのは、15秒あたりに出てくるペーパーの折り方。下部も横部も折り目よりずいぶん内側で折っています。なぜでしょうか?

その直後のドリッパーにセットするときのキャプション「ドリッパー密着するようにセット」で理由がわかるような気がしました。つまりぺーパーとドリッパーのサイズというのは、同一規格ではないようなのです。

一番大事なことはドリッパーとペーパーがちゃんと密着すること、そうじゃないとお湯が側面から落ちすぎる。安定しない時は、ドリッパに併せて折り方を変えてくださいね、というメッセージを読み取るべきなのでしょう。

その2_UCCコーヒー

「グラニュー糖ぐらい」に納得!

3分18秒。なかなか充実の動画です。カルディで見た基本の流れにプラスして、ペーパーフィルターは「中細挽きがよくて、それはグラニュー糖と同じぐらい」とか、注ぐお湯の量は「20g+80g+40g+20g」など、なかなか細かい指導が入ります。正直に書くと、私はグラニュー糖よりもやや細かく挽いていました。そのせいでちょっと苦味が勝っていた気がしましたので、さっそく改めたところ、味に雑味が減りました。

また、「20g+80g+40g+20g」は、サラッと言っちゃってますが、なかなか高度なテクニックです。私は秤を使ってないので全くできておりません。まあ、だいたいです(笑)。

UCCの淹れ方サイトは、他のコンテンツも充実していて、読みごたえがあります。特にマイブレンドに挑戦するは、ブレンドに関する基本的な考え方が学べて重宝します。

その3_キーコーヒー

最後のひと手間に目からウロコ!

こちらは2分52秒の動画。UCCよりもやや短いけれど、中身の充実度は互角と言っていいでしょう。注ぐお湯の量までは指定がありませんが、淹れ方にキーコーヒーならではのこだわりが二つ見えます。

一つめは、「あらかじめ多めのお湯を用意して、ドリッパーにお湯が残っていても、飲む量がとれたらサーバーを外す」という点。これはなかなか合理的な発想といえます。最後に残る雑味を回避するためにもいいアイデアです。

二つめは「コーヒーは淹れはじめと淹れ終わりにムラができるので、最後にサーバーを振って攪拌(かくはん)します」という点。これが私には目からウロコでした。恥ずかしながら、言われるまで全く気づきず、攪拌したこともありませんでした。1人分ならあまり問題ないんでしょうが、2人分以上淹れる場合は、味に差が出てくるでしょう。いれ終わったら、サーバーを軽く回して攪拌! 本当に簡単なひと手間ですが、肝に銘じておきましょう。

キーコーヒーの淹れ方サイトもUCCに劣らず大変充実しており、全体的にカラフルでわかりやすいのがうれしいです。

おまけ_オンライン・セミナーなど

キーコーヒーのコーヒーセミナーにはビギナーからプロまでが受講する、充実したプログラムが用意されていますが、現在はコロナ禍で休止中。代わって登場したのがオンラインセミナーです。ビデオコンテンツ(各1100円ほか無料コンテンツあり)とオンラインライブセミナー(3300円)がありますが、前者のビデオコンテンツの充実は目を見張るものがあります。

おすすめは「ペーパードリップを学ぶ」全23チャプター53分。

1つ穴と3つ穴の両ドリッパーの淹れ方紹介のほか、売っているコーヒー豆のラベルの見方、ミルの種類、硬水と軟水の違い、豆の保存方法など、「ほほ~!」の連続。かゆいところに手の届く内容となっています。有料ではありますが、これで1100円は安すぎます。私はこれを見てから、ライブセミナーを受けましたが、絶対見てからの方がいいと思います。ひと通りの知識を頭に入れて、ライブセミナーで講師にいろいろ質問するというのが道筋だと思いました。

また、UCCも、初心者からプロ用までさまざまな対象向けにコーヒーアカデミーを用意しています。こちらも歴史が古く、本当にさまざまなコンテンツが用意されていますが、基本的に講義形式となります。

以上、同じことを言っているように見えて、意外に三社三様なメーカーの淹れ方動画。

コーヒーの淹れ方に正解はないとよく言われます。確かにそうかもしれませんが、何事もまずは基本をしっかり押さえるのがスキルアップの近道ともいえるでしょう。

基本の3本で間違いをチェック、それからそれぞれのいいとこどりをして、自分なりの淹れ方を見つけていこうではありませんか。

取材・文=武田憲人(編集部)