高さ3mの書き下ろし30点による巨大空間絵本が出現

色彩豊かないきものたちをのびのびと描く絵本作家・きくちちき氏。きくち氏が絵本作家になったきっかけは、骨董市で100 年前のフランスの絵本に出会ったことから。内容はもちろんのこと、その美しい装丁まで完成度の高さに衝撃を受け、自身も手づくりの絵本を作りはじめる。2012年にはデビュー作『しろねこくろねこ』(Gakken)を出版。翌年にブラチスラバ世界絵本原画展(BIB)の「金のりんご賞」を受賞。その後も国内外で数多くの作品が評価されている。

日々物語を作り、絵本を描いているきくち氏の作品づくりは独特だ。横約1mほどの大きな和紙に、絵筆を用いて水彩や墨で、下書きをせずに描く。ひとつの見開きのために100枚以上の絵を描くこともあり、気に入ったものが生まれるまで何枚も描き続けるスタイルで取り組んでいる。植物や虫、動物といったいきものをこよなく愛するユーモアとやさしさにあふれた絵が、次々と生まれ出る。

本展では新作のみならず、デビュー作『しろねこくろねこ』(Gakken)など、これまでの絵本の原画が大集結。きくちちき氏の描いたいきものたちの世界に飛び込んでみよう。

巨大原画が誘う絵本の世界へいざ

最大の見どころとなるのが、初公開となる新作『いきものRhapsody』だ。本展のために描き下ろされた高さ3m、幅1.8mの原画30点で構成される壮大な「空間絵本」が、『PLAY!MUSEUM』の大空間にずらりと並ぶ。そこにはきくち氏が制作する動物の木彫や陶芸作品も並べられ、その空間は、まるで地球上のすべてのいきものたちの生命をうたう、いきもの賛歌のようだ。

さらに、デビュー前の手づくりの絵本を含め、人気作『しろとくろ』『くろ』(いずれも講談社)など、これまでに制作した約80冊の絵本をすべて紹介。厳選された原画約150点も展示される。

また、赤、桃、白色の絵本原画で季節の移ろいを感じられる「季節の部屋」も登場。ここでは『もみじのてがみ』『さくらのふね』(小峰書店)、『ゆき』(ほるぷ出版)の3作品の原画によって季節の移り変わりが表現されている。自然やいきものを慈しむ、やさしい空間に包まれる。

開催概要

「絵本作家 きくちちき展 いきものRhapsody」

開催期間:2026年10月7日(水)~12月13日(日)
開催時間:10:00~17:00(土・日・祝は~18:00。入館は閉館30分前まで)
休館日:無
会場:PLAY! MUSEUM(東京都立川市緑町3-1 GREEN SPRINGS W3棟2F)
アクセス:JR立川駅から徒歩10分
入場料:一般1800円、大学生1200円、高校生1000円、中・小学生600円、未就学児無料

【問い合わせ先】
PLAY! MUSEUM☏042-518-9625
公式HP:https://play2020.jp/article/kikuchichiki/

 

取材・文=前田真紀 画像提供=PLAY! MUSEUM