真夜中に神輿を担いだことが由来

東京都府中市にある大國魂神社は1900年前に創建されたと伝わる東京屈指の古社。その例大祭である「くらやみ祭」は、かつて武蔵国府中に政治の拠点となる国府が置かれた頃に行われていた「国府祭」を起源とし、1000年以上の歴史があるといわれている。長い伝統と格式を誇ることからから東京都指定無形民俗文化財に認定されている。尊い神様が人の目に触れぬよう、町の明かりを消した深夜の暗闇の中で神輿を担いでいたことから「くらやみ祭」と呼ばれるようになった。

祭りは毎年4月30日の「品川海上禊祓式(みそぎはらえしき)」に始まり、5月6日までさまざまな行事が繰り広げられる。5月3日(土・祝)の見どころは、18時30分からけやき並木に10台の山車が勢ぞろいする「囃子の競演」と、20時から4頭の御神馬が旧甲州街道を駆ける姿を間近で見られる「競馬式(こまくらべ)」だ。「かつて周辺には牧が多数あり多くの良馬が産出したことから、朝廷に献上する馬を走らせて選定したという歴史に由来する古式ゆかしい神事です」と教えてくれたのは大國魂神社の北山さん。

旧甲州街道の約200mの距離を4頭の御神馬が3往復する「競馬式」。
旧甲州街道の約200mの距離を4頭の御神馬が3往復する「競馬式」。

どの行事も迫力があって見応え満点!

5月4日(日・祝)も注目の行事が目白押しだ。12時30分からは各町会が制作した万灯を振ってその美しさや出来栄えを競う「萬燈大会」、17時からは6張りの大太鼓が神社大鳥居前にそろう「太鼓の饗宴」、18時からは22台の山車が巡行する「山車行列」が行われる。

「萬燈大会では大きいもので約40㎏の万灯をひとりで操ります。万灯の鮮やかさはもちろん、バランスよく振れているかといった技やパワフルさにも注目してください。また、太鼓の饗宴では大太鼓の見た目の迫力もさることながら、地面が揺れるほど音もすごいんです。ぜひ現地で体感してみてください」(北山さん)

大太鼓は一番大きいもので直径約2.5m、重さ約2.5トンもあるのだとか!
大太鼓は一番大きいもので直径約2.5m、重さ約2.5トンもあるのだとか!

祭りのクライマックスは5月5日(月・祝)の18時から始まる神輿渡御。神輿は全部で8基あり、どれも重さ1トン以上の大きさ。白丁を身にまとった担ぎ手と6張りの大太鼓に導かれ御旅所(おたびしょ)まで渡御する。「担ぎ手の威勢のいい掛け声が響きわたり、街全体が祭りの雰囲気に包まれます」と北山さん。

1週間にわたり行われるくらやみ祭は見どころある行事がいっぱい! どれも伝統と格式を兼ね備え、迫力があって息を呑むものばかりだ。かつての武蔵国の時代から1000年以上も続く祭りに思いを馳せながら、多彩な行事を見学しよう。

5日(月・祝)の12時30分からは、神輿や太鼓が通る道をお祓いして歩く「道清め」の神事も。
5日(月・祝)の12時30分からは、神輿や太鼓が通る道をお祓いして歩く「道清め」の神事も。

開催概要

「くらやみ祭」

開催期間:2025年4月30日(水)~5月6日(火・休)
開催時間:競馬式は5月3日(土・祝)20:00~、太鼓の饗宴は4日(日・祝)17:00~18:00、神輿渡御は5日(月・祝)18:00~21:00
会場:大國魂神社(東京都府中市宮町3-1)
アクセス:JR南武線・武蔵野線府中本町駅、京王電鉄京王線府中駅から徒歩5分

【問い合わせ先】
大國魂神社☎042-362-2130
URL:https://www.ookunitamajinja.or.jp/

 

取材・文=香取麻衣子 ※画像は主催者提供