地元の熊手商の呼びかけで始まった熊手市
商売繁盛や家内安全を願って、“福をかき込む”縁起物である飾り熊手を売る市が立つ酉の市。晩秋の風物詩として東京都内では11月の酉の日に開催されることが多いが、北区の王子神社では「熊手市」という名で毎年12月6日に行われている。「いつから始まったか正確なところは分かりませんが、明治時代から営む熊手商の『王子芝善』の先代から、王子でも酉の市をやりたいと声を掛けてもらったのがきっかけです」と話すのは王子神社の宮司・八木光重さん。11月は都内の他の酉の市で忙しいため、落ち着いた12月に王子神社で開かれるようになったのだという。
王子駅から徒歩3分という立地ながら普段は静寂に包まれた王子神社に、当日は『王子芝善』を含む数軒の熊手市が並ぶ。そのほか5、6軒の飲食の露店や、年によっては植木市も(2024年は植木市はなし)。熊手は大小さまざまで、1000円代から数十万円までがそろう。規模は決して大きくないものの昔から地域の人に愛されていて、王子らしくローカルな雰囲気にあふれている。
おかめの付いた熊手守りを頒布
神社では当日に限り熊手守りの頒布も。「神社が出す熊手守りにおかめの面が付いているのが昔は特徴的でしたが、今ではほかの神社でもおかめを付けているのでこれといった特徴はなくなってしまいました」と八木さんは苦笑い。それでもやさしくほほ笑むおかめが付いた熊手守りは御利益が十分にありそう。ぜひともチェックしたい。
「一言で言い表すのなら、小粒だけど味わいのある市」と八木さんが話す通り、都内の有名な神社の酉の市のような盛況ぶりはないが、ローカル感あふれる熊手市をのんびりと楽しむことができる。年末の風情を感じながら王子神社の熊手市に出かけよう。
開催概要
「王子熊手市」
開催日:2024年12月6日(金)
開催時間:10:00~21:00頃
会場:王子神社(東京都北区王子本町1-1-12)
アクセス:JR京浜東北線・地下鉄南北線王子駅から徒歩3分
【問い合わせ先】
王子神社☎03ー3907ー7808
公式HP:http://ojijinja.tokyo.jp/
取材・文=香取麻衣子 ※画像は主催者提供