江戸っ子が揶揄した“だらだら祭り”

平安時代の寛弘2年(1005)に創建され、1000年以上の歴史をもつ芝大神宮。三重県伊勢市にある伊勢神宮のご祭神である天照大神(あまてらすおおみかみ)と豊受大神(とようけのおおかみ)を祀っていることから、古くから「関東のお伊勢さま」と称され崇拝されている。

江戸時代にお伊勢参りがブームになった際には、伊勢までの旅費が出せない多くの庶民は芝大神宮を参拝した。特に秋の収穫の時期には全国から参拝者が集まるようになり、人足が途絶えなかったため、例祭の開催期間が徐々に長くなっていった。あまりにもだらだらと長く続くので、口の悪い江戸っ子が「だらだら祭り」と呼び、それが浸透するようになった。

また「生姜まつり」という呼び名も。神社周辺でショウガが多く作られていたことから、神前にお供えされ、境内や参道でも盛んに売られたためだ。神社の二町四方にショウガの山ができ、それらが三日のうちに売り尽くされたというエピソードが残るほど、毒消しの効果があるショウガは健康や長寿を願う縁起物として江戸の人々にもてはやされた。

神社だけの縁起物に、迫力満点の各町神輿連合渡御も!

期間中は名物のショウガだけでなく、芝大神宮特有の縁起物「千木筥(ちぎばこ)」の頒布も。千木筥とはフジの花が描かれた三段重ねの箱で、「千木」が「千着」に通じることから、衣服が増え良縁に恵まれることを願って、女性がタンスの中に収める習慣もあったとか。祭礼では果物を載せた千木筥がお供えされているので、探してみるのも一興だ。

さらに、2019年以来の開催となる、15日(日)の氏子各町神輿連合渡御にも注目! 15基の神輿が14時に大門通りに集結し、芝大神宮に向けて次々にスタートする。「前回は一基ずつ神輿を上げていましたが、今回は14時に一斉に神輿が上がるので圧巻だと思います」と芝大神宮の城所さん。威勢のいい掛け声とともに列をなして練り歩く15基の神輿を間近で見学しよう。

15基の町会神輿が都心のオフィス街をにぎやかに練り歩く。
15基の町会神輿が都心のオフィス街をにぎやかに練り歩く。

開催概要

「芝大神宮例大祭(だらだら祭り)」

開催日:2024年9月11日(水)~21日(土)
開催時間:15日(日)の各町神輿連合渡御は14:00~16:00
会場:芝大神宮(東京都港区芝大門1-12-7)
アクセス:地下鉄浅草線・大江戸線大門駅から徒歩3分

【問い合わせ先】
芝大神宮☎03-3431-4802
公式HP:https://www.shibadaijingu.com/

取材・文=香取麻衣子 ※画像は主催者提供