長崎で被爆しながらも生き残った柿の木に平和への思いを託す
1945年、長崎で被爆しながらも奇跡的に生き残った一本の柿の木。「時の蘇生・柿の木プロジェクト」は、その木から生まれた「被爆柿の木2世」の苗木を世界中の子供たちに手渡し、柿の木をテーマにしたアート表現をしながら育ててもらおうというアートプロジェクトだ。
代表は、現代美術家の宮島達男氏。本展の会場には大きな柿の木が描かれ、その木に訪れた一人一人が思いを綴り柿の実や葉っぱを貼り付けていくことで、平和と命の大切さを学ぶことができる内容となっている。
ギャラリーの代表・長澤章生さんは、「観客参加型の展示で、ご来廊いただいた方に柿の実や葉っぱのカードに平和へのメッセージを書いてもらい、ギャラリー壁面に描かれた柿の木の枝に1枚1枚貼っていただいています。展示が終わる頃には平和への思いであふれた柿の木の姿が現れるでしょう」と語ってくれた。また、会場ではこの木の里親も募集している。
ぜひ訪れて、参加者の平和への思いに触れ、自分自身のメッセージを柿の木に残してみてはいかがだろう。
プロジェクトを手掛けるのは現代美術家の宮島達男氏
「それは変化し続ける」、「それはあらゆるものと関係を結ぶ」、「それは永遠に続く」という3つのコンセプトに基づいたデジタルカウンター(L.E.D.)に代表される作品で知られる現代美術家・宮島達男氏。
1995年、「被爆柿の木2世」の苗木を平和の象徴として長崎を訪れる子供たちに配っていた樹木医の海老沼正幸氏の活動を知った宮島氏。海老沼氏の活動をアーティストとして応援するため、展覧会で苗木を展示し、里親を募集した。こうした過程の中、「時の蘇生・柿の木プロジェクト」というアートプロジェクトを構想し、同実行委員会を立ち上げた。翌1996年に、「時の蘇生・柿の木プロジェクト」を推進。「被爆柿の木2世」がプロジェクトの第1号として、旧柳北小学校(東京)に植樹。以来、活動は世界各地に広がり、少しずつ柿の木が育ち始めている。
柿の木の植樹地について知る関連イベント、「柿の木トーク」
イタリアと日本の植樹地での活動を紹介するイベント「柿の木トーク」が、8月24日(土)13時30分~15時30分(13時15分開場)に開催。主な植樹地であるイタリアに訪問し、柿の木の成長を見てきた実行委員会によるレポートや、日本でも地道に活動をする人々の姿を伝えるほか、参加する子供たちは柿の実折り紙を折ったり、平和のメッセージを描いたりと、平和へのアクションをシェアすることができる。対象・定員は小学生から大人まで(小さなお子様連れも歓迎)、30名(事前予約不要、先着順)。参加無料。
開催事項
「時の蘇生・柿の木プロジェクト」
開催期間:2024年8月1日(木)~31日(土)
開催時間:11:00~19:00
休廊日:日・月・祝
※夏季休廊8月11日(日)~18日(日)※19日(月)は定休日
会場:Akio Nagasawa Gallery Ginza(東京都中央区銀座4-9-5 銀昭ビル6F)
アクセス: 地下鉄日比谷線・浅草線東銀座駅から徒歩1分・地下鉄銀座駅から徒歩2分
入場:無料
【問い合わせ先】
公式HP https://www.akionagasawa.com/jp/exhibition/kaki-tree-project/
柿の木プロジェクト https://kakitreeproject.com/
取材・文=前田真紀 画像提供=Akio Nagasawa Gallery