千歳鶴:北海道
1872年(明治5)に創業した札幌市初の『柴田酒造店』。それを前身として、今でも、市内唯一の酒蔵として酒造りを続けている『日本清酒』の看板銘酒。豊かで良質な水で造られた一品です。
赤武:岩手県
岩手県盛岡市の『赤武酒造』の銘柄。もとは岩手県大槌町に蔵を構えていましたが、2011年3月11日に発生した東日本大震災による津波で甚大な被害を受け、現在の場所に移転。その後建てられた新蔵で同酒造最年少杜氏の古舘龍之介さんが醸造した新銘柄です。
楯野川:山形県
『楯野川酒造』の看板で、実に江戸時代から造られている歴史深い酒。国内のみならず海外でも評価が高く、様々な賞でも受賞しています。一方、ラベルにマスコットキャラクター「たてにゃん」が描かれるものもあるなど、お茶目な一面も。
伯楽星:宮城県
実に140年の歴史を持つ新澤醸造店が造る「究極の食中酒」のキャッチコピーを冠する酒。食事を引き立てつつ、風味の深さにも定評のあるこの酒には、「一杯のインパクトより究極の3杯目を目指す」という造り手の想いが込められています。
楽器正宗:福島県
1865年(慶応元年)に創業した『大木代吉本店』の銘酒。君が代の作曲者とされる奥好義(おく よしいさ)氏が蔵を訪れた際、「酒造りも楽器を奏でることも、元は同じく神様への捧げもの」と言ったことからこの名がついたといわれています。
鳳凰美田:栃木県
栃木県随一の米の名産地で知られる美田村に醸造元の『小林酒造』があったことから命名された酒。ほとんどの酒を大吟醸と同じ「しずく搾り」という手法で上槽していて、豊かな味・香りを持たせています。
仙禽:栃木県
醸造元は栃木県さくら市の酒造『せんきん』。酒造りの原料として使う酒米の亀ノ尾、山田錦、雄町は、蔵の地下水と同じ水脈で栽培しています。伝統的な仕込み方法で造られた自然派の日本酒です。
磯自慢:静岡県
静岡県は焼津の『磯自慢酒造』の銘酒。静岡県内における吟醸蔵の先駆とも言われ、2008年の北海道洞爺湖サミットや、2016年の伊勢志摩サミットで各国の首脳に振る舞われるなど、今や日本を代表する銘柄として知られています。
加茂錦:新潟県
1893年(明治26)創業の『加茂錦酒造』の看板銘柄。新進気鋭の杜氏・田中悠一さんの醸すフレッシュな風味は、従来の新潟酒とは一線を画す新しいスタイルであると注目を集めています。
醴泉:岐阜県
名水でその名を知られる岐阜県西部の養老町に蔵を構える『玉泉酒造』の銘柄。養老山系を源とした仕込み水で醸す酒は、ミネラル分が少なくやわらかな味わいです。
作(ざく):三重県
『清水清三郎商店』の人気銘柄です。銘柄が某有名アニメに登場する機動兵器と同じ響きだったことからアニメファンの間で知名度が上がり、一躍人気を獲得した逸話を持ちます。
みむろ杉:奈良県
「酒の神が鎮まる地」との呼び声が高い奈良県の三輪で1660(万治3)年に創業した『今西酒造』。360年以上経った現代でも酒造りを行っています。「みむろ杉」と「三諸杉」、ふたつの表記があり、漢字のものは奈良県内でしか手に取ることができない希少な品です。
松の司:滋賀県
滋賀県蒲生郡竜王町の『松瀬酒造』が醸造する酒です。地元産の酒米にこだわり、契約栽培されたものを中心に使用。近年では、竜王町の多様な土壌で栽培される山田錦の個性を表現する「土壌別仕込み」も注目を集めています。
酔鯨:高知県
1872年に創業した『酔鯨酒造』の看板銘酒。2018年からは最新設備を導入した新たな蔵、「土佐蔵」で、さらにクオリティの高い醸造を行っています。数多くの企業とコラボレーションをしてきた酒であるということも特徴のひとつ。また、酔鯨の技術の粋を集めたブランドである「HIGH END COLLECTION」は海外でも人気です。
美丈夫:高知県
高知県の『濵川商店』の銘柄です。最高峰の酒米と言われている兵庫県産山田錦を使用。さらに、酒造りには向かないと言われている国内屈指の超軟水を杜氏の知識と経験、感覚で醸し出していることが特徴です。
宝剣:広島県
蔵内に湧く「宝剣銘水」を使用した『宝剣酒造』の銘酒。杜氏の土井鉄矢さんは酒造組合の杜氏が主催する「全国利き酒選手権」で20代ながらチャンピオンとなるほどの卓越した味覚の持ち主。「広島に宝剣あり。土井鉄矢あり」と称されたと言われています。
雨後の月:広島県
呉市の東。三つの山と瀬戸内海に挟まれ、名水に恵まれた仁方町で1875年に創業した『相原酒造』の酒です。銘柄は随筆「自然と人生」の一節から由来し、“澄みきってうつくしい酒”を醸したいという思いから命名。その名の通り、透明感があって上品な風味の、広島を代表する銘柄です。
天美:山口県
「名水の里」として知られる菊川町で2020年、新たに誕生した酒蔵『長岡酒造』の銘柄で、女性杜氏として数々の酒蔵で経験を積んだ藤岡美樹さんが醸造を任されています。銘柄の「天美」は、太陽を照らす「天照」と酒を讃える「美禄」から一文字ずつとったことが由来です。
東洋美人:山口県
「奇をてらわない王道の日本酒造り」をテーマに、味わいと品質両面で日本人の味覚に響くような酒造りにこだわる『澄川酒造場』の銘柄。地元契約栽培の山田錦のほか、西都の雫、酒未来、愛山、雄町など、さまざまな酒米を使用し、同じ銘柄でも様々なバリエーションを取り揃えています。
東一:佐賀県
醸造元は『五町田酒造』。1988年、当時佐賀県では手に入らなかった山田錦の栽培に挑戦。試行錯誤の末、収穫に成功して以来、自社栽培の米で酒を造り続けています。米から育てる酒づくり「人・米・つくりが一体となって良酒を醸す」をモットーに造られた、の調和のとれた酒質が人気です。
取材・文:高橋健太(どてらい堂) 監修・取材協力・商品写真提供=はせがわ酒店