ゆる〜く続く、みんなで掃除をする会

お寺の朝の日課には、お経を読んだり、境内を掃除したり、私たちにとっては非日常の豊かな時間がある。特に掃除に着目する僧侶の松本紹圭(しょうけい)さん、「お坊さんだけで独占せずに、みんなで一緒にやろう!」と思い立った。「テンプルモーニング」と銘打ち始まった朝掃除の会は、ほぼ2週間ごとのペースで続き、70回を数える。
開催日の朝、『神谷町光明寺』に老若男女、宗派を超えていろんな人が集まってくる。本堂に入り、松本さんが挨拶をして、お経を読んだら、いよいよ掃除だ。境内に散らばって掃いたり拭いたり。その後、お話会と続く。
「よりよく生きたい、元気に健やかに暮らしたいとの思いを充足させるには、習慣を持つことが大事。朝のお寺で掃除するのはとても気持ちよく、頑張らなくても続けられます」と、松本さん。毎回参加する人に継続理由を聞いてみたら、「いつも忙しいけど、ここへ来れば自分を取り戻せるんです」。その生き生きとした表情、松本さんの話とつながる!

教本を手にお経を読む。自然に声が出る。
教本を手にお経を読む。自然に声が出る。
掃き掃除、拭き掃除、お墓掃除の3つに分担。黙々とする人、おしゃべりしながらの人、さまざま。
掃き掃除、拭き掃除、お墓掃除の3つに分担。黙々とする人、おしゃべりしながらの人、さまざま。
初参加の方。勤務先が近く、そのまま会社へ。
初参加の方。勤務先が近く、そのまま会社へ。
掃除後は輪になって、最近考えていることなどをおしゃべり。正面が松本さん。
掃除後は輪になって、最近考えていることなどをおしゃべり。正面が松本さん。

静寂と緊張感が心地よい、坐禅

朝の坐禅会を開くお寺も少なくない。『静勝寺』では、2〜3年前から若者の参加者が増えているという。初心者には住職・髙﨑忠道さんから説明がある。坐禅の基本は「調身・調息・調心」で、身体と呼吸と心を調えることだ。さらに、足の組み方、座り方、呼吸法などを教わったら、坐禅堂へ。背筋を伸ばして座り、目は半分開き斜め下45度の方向を見る。住職曰く、「坐禅すると自然の中に生きていることを実感でき、根を張って、自分が木になるような感覚になるんです」。通ったらいつしかそう思えるだろうか……。(2020年8月現在休止中)

歴史あるお寺で、自分と向き合う坐禅。「思い浮かんだことを受け入れ、無になろうと思わずに呼吸に集中して」と住職の言葉を思い出す。雨音が聞こえる坐禅の時間。
歴史あるお寺で、自分と向き合う坐禅。「思い浮かんだことを受け入れ、無になろうと思わずに呼吸に集中して」と住職の言葉を思い出す。雨音が聞こえる坐禅の時間。
坐禅後に堂内を歩く経行(きんひん)。歩く坐禅と言われ、一呼吸で半歩進む。
坐禅後に堂内を歩く経行(きんひん)。歩く坐禅と言われ、一呼吸で半歩進む。
坐禅後、「朝の会」でお経を読む。
坐禅後、「朝の会」でお経を読む。
最後に住職の法話。
最後に住職の法話。

「生活を調えたいときの行動の定番は、何といっても早起きでしょう」と、松本さん。お寺の朝の集いを目指せば、ごく自然に早起きになり、よき習慣が持てるというわけだ。
参加できる近くのお寺を探してみよう。

神谷町光明寺【神谷町】

オフィスビルに囲まれた浄土真宗の寺。2階の本堂前には、「神谷町オープンテラス」と呼ばれる広々とした空間がある、まさに都会のオアシス。斜面に造られた墓地、東京タワーを望むロケーションは、駅近とは思えないほどのびやかだ。お茶とお菓子を予約制で楽しめる「お寺のおもてなし」も開催。(2020年8月現在休止中)

住所:東京都港区虎ノ門3-25-1/営業時間:07:30〜17:00/定休日:無(神谷町オープンテラスは土・日・祝など法事等がある日は利用できない)/アクセス:地下鉄日比谷線神谷町駅1番出口から徒歩2分

静勝寺【赤羽】

曹洞宗に属する禅寺。開基はこの地に稲付城を築いた太田道灌で、東側から53段の石段を上がり山門をくぐると、正面に道灌堂がある。堂内には道灌の木像が祀られ、命日の7月26日にちなんで毎月26日朝7時から開扉となる。右奥の建物が坐禅をする弁天堂。もともとは本堂で、元禄時代の建築だ。

住所:東京都北区赤羽西1-21-17/営業時間:境内自由/アクセス:JR赤羽駅から徒歩3分

取材・文=松井一恵(teamまめ) 撮影=鈴木愛子
『散歩の達人』2020年8月号より