天気図の基本をおさえよう。「高気圧」「低気圧」とは?

テレビなどの天気予報では、地上付近の気圧配置を表した天気図が使われることが多いです。

天気図上にある「低」や「高」のマークは、ご存じの方が多いと思いますが、これは「低気圧」「高気圧」です。一般的に、低気圧の近くでは上昇気流といって、上空へ向かう空気の流れが強まります。水蒸気を含んだ空気は上空で冷えると雲を生むため、低気圧がある場所では雲が広がり雨も降りやすくなります。反対に、高気圧のもとでは下降気流が強まり、晴れやすくなります。

では、気圧が何hPa(ヘクトパスカル)より低いと低気圧、何ヘクトパスカルより高いと高気圧と呼ぶのでしょうか?

実は、低気圧や高気圧の基準は特にありません。周りと比べて「相対的に」気圧が低いと低気圧、高いと高気圧とされます。

図1:「低気圧」「高気圧」は周りの気圧との比較で決まる(画像=ウェザーマップ)。
図1:「低気圧」「高気圧」は周りの気圧との比較で決まる(画像=ウェザーマップ)。

たくさん描かれている線は同じ気圧の場所を結んだ「等圧線」と呼ばれるものです。等圧線が込み合って間隔が狭いときは、気圧の差が大きくて空気の流れが速くなるため風が強まります。晴れていても風が強いときは散歩中に帽子が飛ばされるかもしれません。

お花見には高気圧にしっかりと覆われて等圧線の間隔が広くて風の弱い、おだやかな晴天がベストです。桜を見に散歩へ出かけるときにはチェックしてみてください。

図1の天気図の日(2022年4月6日)、京都市内は風が弱くお花見日和に。青空に映える満開の桜をばっちり見ることができました。
図1の天気図の日(2022年4月6日)、京都市内は風が弱くお花見日和に。青空に映える満開の桜をばっちり見ることができました。

前線は風がケンカする場所?4種類の前線に注目!

低気圧や高気圧のほかに、天気図で頻繁に登場するものといえば「前線」です。前線とは、暖かい空気と冷たい空気など違う性質を持つ空気がぶつかり合う境目のことです。種類が異なる空気を運ぶ風がぶつかっている場所とも考えられるので、「風がケンカをしているところ」というイメージをすると分かりやすいでしょうか。暖気と寒気がぶつかると、相対的に軽い暖気の方が上昇して雲を発生させるため、前線のある場所では曇りや雨になることが多くなります。

前線には4つの種類があり、前線によって雨の降り方が変わります。図2で赤い線と半円で描かれているのは「温暖前線」です。こちらは暖気が、寒気の上をはい上がるようにして進み発生します。温暖前線は、比較的広い範囲にシトシトとした弱い雨を降らせるのが特徴です。

図2:低気圧からのびる温暖前線と寒冷前線。前線の特徴を知って雨に備えたい(画像=ウェザーマップ)。
図2:低気圧からのびる温暖前線と寒冷前線。前線の特徴を知って雨に備えたい(画像=ウェザーマップ)。

同じく図2で青い線と三角形で構成されているのは「寒冷前線」です。寒冷前線は寒気が暖気の下に潜り込むことで発生します。勢力の強い寒気が勢いよく暖気を押し上げるので、背の高いモクモクとした雲が生まれます。この雲は積乱雲といって、大雨や雷、突風などの激しい現象をもたらすので、寒冷前線が通過するタイミングでは散歩は控えた方がよさそうです。

図3の「停滞前線」は異なる種類の空気の勢力がほぼ同じ時にできます。梅雨前線や秋雨前線も停滞前線の一種で、同じような場所にとどまり、数日に渡ってぐずぐずと雨を降らせます。図4の「閉塞前線」は動きの速い寒冷前線が温暖前線に追いついた時に発生します。閉塞前線がみられる時は、前線を伴う低気圧が発達のピークを迎えたサインです。

図3:梅雨をもたらす梅雨前線は、春の空気と夏の空気の境目に発生する(画像=ウェザーマップ)。
図3:梅雨をもたらす梅雨前線は、春の空気と夏の空気の境目に発生する(画像=ウェザーマップ)。
図4:閉塞前線は低気圧が発達のピークに達したサイン(画像=ウェザーマップ)。
図4:閉塞前線は低気圧が発達のピークに達したサイン(画像=ウェザーマップ)。

「晴れ」と「曇り」の境目って?知っておきたい天気のことば

天気予報では晴れといっていたのに、思っていたより雲が多い。そんな風に感じた経験はありませんか?「晴れ」の天気のイメージは人によって、かなり違うものですよね?

天気予報で使われる「晴れ」は、空全体を占める雲の量によって定義されています。

360度ぐるりと空を見渡して、雲の量が全体の1割以下なら「快晴」、2割以上8割以下だと「晴れ」、9割以上で「曇り」とされます。8割も雲があるのに晴れとなるのは、ちょっと意外ですよね。

これからの季節は、散歩しながら桜やチューリップなどのお花と空の風景を一緒に写真に収めたいという方も多いかもしれません。天気予報で使われることばにも注意しながら、空のイメージをしてみてください。

「晴れ」はどんな天気のイメージ?
「晴れ」はどんな天気のイメージ?

今回は基本的な地上天気図の見方や天気予報でよく使われる天気のことばを紹介しましたが、天気の専門家・気象予報士はより専門的な高層天気図(上空の大気の状態を表した天気図)を見て天気の予想をしています。

「天気図って面白い!もっと天気について知りたい!」と思った方は、気象予報士の勉強にチャレンジしてみてください。空模様を詳しく知れると、もっと散歩が面白くなるはずですよ。

文=片山美紀 写真=片山美紀、ウェザーマップ

参考資料:『気象予報士のしごと-未来の空を予想して-』/片山美紀(成山堂書店)

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