ここ赤城神社は「日本で一番おしゃれな神社」らしい。

確かに。新しいし普段馴染んでいる神社とはまた違った雰囲気だ。

 

赤城神社の神様、赤城姫命は女性の願い事を叶える女神様らしい。

今日エルボーは何を願っているのだろうか。

 

鳥居をくぐってまっすぐ進むと本殿がある。
鳥居をくぐってまっすぐ進むと本殿がある。

神社内の蛍雪天神は学業の神様、菅原道真公が祀られているそうだ。

そっかー。これから受験シーズンかあ。高校受験とか大学受験とか二度とできない自信がある。ついでにいうと、宅建試験も二度と合格しない自信もある(笑)。

この界隈だともう一個有名な神社があるよな。

歩いて行ってみよう。

話ながら歩いていたらエルボーがふと立ち止まった。

「ん?何ここ。」

街中に突如こうしてあらわる不思議な空き地。ここなんだろ?
街中に突如こうしてあらわる不思議な空き地。ここなんだろ?
道路予定地と書いてあるぞ!!
道路予定地と書いてあるぞ!!

当たり前なんだけど人や産業が集う都市には道路が必要で、でも普段はその重要性にあまり気が付かないんだけど、たとえば災害とかで幹線道路が寸断というような状況になると、とたんに大騒ぎになったりする。

物流ということで考えても、まぁこれはご存知の方も多いと思いますが、トラックが国内貨物輸送量の9割を運んでいるわけで、つまり道路が寸断されちゃうとトラックが被災地などの目的地にたどり着けないということになるわけですね。

さてでは問題。

道路は誰がどうやって作っているのでしょうか?

かようなことと次第で、世の中になくてはならない「道路」ですが、その道路は誰がどうやって作っているのでしょうか?

放っておいても、土地の所有者らが気を利かせて「オレの土地はみんなのために道路としよう」と思ったりするのでしょうか(笑)。

いろいろな方法があることはあるのだが、メジャーどころでいえば、都市計画法による都市計画事業としての道路建設だろうね。

で、この写真の街角は、右手方面から来ている幹線街路(放射街路)25号と手前からの補助線街路74号との交差点だ。

やっと道路になりそうだが、計画自体が策定されたのは1946年3月26日。

戦災復興都市計画です。

その都市計画に基づいて、70年くらいたってからなんでしょうね、こうして道路として陽の目をみることになりました。

都市計画のご担当者様、ほんとにおつかれさまです。

ということで、道路1本作るにはじつはとんでもなくまさに「長く険しい道のり」があるわけだ。

「朱色」がひときわ存在感を醸し出す。ご利益もたっぷりありそうだ。
「朱色」がひときわ存在感を醸し出す。ご利益もたっぷりありそうだ。

そうこうしてるうちに毘沙門天善國寺に到着。元々は馬喰町にあったのだが、度重なる火事が原因で神楽坂に移転したらしい。

それが神楽坂が華やかな街になるきっかけになったんだとか。

日枝神社には狛猿がいたが、ここは狛虎だ。毘沙門天が寅の年・寅の月・寅の日・寅の刻に誕生したかららしい。意外と狛犬以外もいるんだな。

土地の所有者なのに勝手に建築できない!?

この毘沙門天から神楽坂駅方面の街並みはこんな感じだ。

現状の道路に面してコジャレ系のお店が立ち並ぶのだが。
現状の道路に面してコジャレ系のお店が立ち並ぶのだが。

通りの法的な名称(都市計画上の名称)は「補助74号線」で、道路工事が完了しているところと、工事中のところがある。

この界隈はこれから事業化される計画地だ。

宅建ワンポイント的なデータを見てみると。
用途地域:商業地域
建蔽率:80%
容積率:500%

防火地域の指定もあるから、敷地に耐火建築物を建てるということだったら建蔽率は100%(制限なし)となって、敷地を目一杯使っての建築だったら5階建て。敷地を80%くらいとするのであれば6階建てくらいになろうか。

ではここでもう一度、界隈の風景を見てほしい。

なにかお気づきか?

都市計画法による建築制限のなせるワザなのだ。
都市計画法による建築制限のなせるワザなのだ。

なぜこういうことになっているかというと、この界隈が都市計画法での道路計画地になっているからだ。

ちょっとむずかしくいうと「都市計画施設の区域」という。

つまり都市計画で道路が計画されている区域ということなのだが、だからといって全面的に建築を禁止しているわけでもない。

正式に事業決定するまでは、暫定的に土地を使っていいよ、というようなニュアンスで、だから本来の建蔽率や容積率を使って、たとえば5階建てのビルを建てるとかはできなくなって、ごらんのとおり2階建て(都内だと3階建て)までとなる。

それも、容易に移転・除却ができることという制約付きでね。

さらに、この建築すら、都知事(県なら県知事)の許可がないと建築できない。

つまり、いまは道路の計画地だけど、それが事業化決定となれば実際に工事が始まることになるわけだから、土地の所有者といえども「勝手には建築させないぞ」ということだ。

道路を拡幅する計画あり。計画地は2階建てくらいだ。
道路を拡幅する計画あり。計画地は2階建てくらいだ。

まぁこういうことも、一般の人たちは知らない話だと思うし、そもそも、そういった意識で街を歩いていないから気がつかないかもしれないけど、ときたま、街の風景がちぐはぐになっているから、たまには見つけてみてくれたまえ。

そうこうしているうちに、だんだん日が暮れてきた。

前回のデートはちょっと終盤噛み合わなかったけど、今回はだいじょうぶそうだ。

エルボーの横顔も、どことなくまろやかだ。神楽坂にふくやさしい風が彼女をそうさせているのかもしれない。

するとエルボーは、なんと「寝たいな……」と言った。

 

え、え、え、なんだって!!!

 

もしそうなるんだったら、えーと、あれ、いつ以来だ。

 

うれしー!!
ちょーうれしー!!

ねぇ、とエルボーがこちらを見る。

「眠くなったから家帰って寝るわ」。

えー!!!!

今回も、二人の関係はちぐはぐで、計画倒れだぁー!

取材・文・撮影=宅建ダイナマイト執筆人