日本初の健康ランドの系譜を紡ぐ開業30余年の歴史をもつ健康センター
1980年に誕生した「相模健康センター」(現在は閉店)は、温泉地に行かなくても手軽に湯治体験ができることをコンセプトにした日本初の健康ランド。『草加健康センター』は1988年に2号店として開業。多彩な風呂と朝までやっている長時間営業が特徴。
1階は男女の浴室と大広間、エステ、アカスリ、2階は女性専用岩盤浴、女性仮眠室、アロマリンパ、3階は休憩室、ボディケア、宴会場という構成。
ユニークなのが休憩室に設置された全190席のリクラニングシートが座席指定ということ。滞在中はいつでも自分専用席になるので空席を探す必要がないので、のんびり過ごしたいというなら利用をおすすめする。事前受付はなく、当日フロントでの受付となる。リクライニングシート指定料1500円(入浴・館内着含む。土日祝は1600円。深夜2:00~5:00の利用は+1350円)
名物は「効仙薬湯」。この風呂に入らなければここに来た意味がない
店一番自慢は「効仙薬湯(こうせんやくとう)」。「相模健康センター」開業から40年以上の長い歳月で培ったノウハウと研究の結晶ともいえるもので、8種類の薬草を独自配合して作り上げた薬湯風呂だ。
1日に6回、新しい薬草をもみ出しした湯を追加しており、常に一定の濃度と鮮度を保っている。湯船に入ると肌がピリピリするくらい濃密な湯で、風呂から出たあともずっと身体がポカポカする。薬効成分が強いため、長湯をすると湯当たりしてしまうこともあるので3~5分程度の入浴と休息をセットにして、3セットほど繰り返すのが効果的な入浴法だ。売店では家庭でも「効仙薬湯」を楽しめる入浴剤「救養草」を販売している。
炭酸濃度1300ppm以上という“濃い”炭酸泉で身体の芯から温まる
内風呂にある高濃度炭酸泉の人気も高い。炭酸泉は湯に溶け込んだ炭酸が体に入り込むことによって血流を促し、身体の痛みや肩こり、腰痛などを改善する効果が期待できる。1000ppm以上のものを高濃度炭酸泉というが、ここでは1300ppm以上という基準をはるかに上回る高濃度になっている。したがって、湯に浸かるとほどなく気泡が肌にまとわりつくのがわかる。熱くもなく、冷たくもない、体温に近い不惑温度といわれる35~37℃のぬる湯になっているので長湯をしても身体に負担が少ないので、じっくりと入浴するといい。
このほかスーパージェット、バイブラ湯、電子マッサージ風呂、白湯、水風呂があり、男湯には超音波風呂、女湯には4点ジェット風呂と、多彩な機能浴がそろうのでハシゴ湯を楽しみたい。
サウナーに人気が高い爆風ロウリュとキンキンに冷えた水風呂
『草加健康センター』は、サウナを題材にしたテレビ番組『サ道』でも紹介されたこともあり、サウナ好きにはよく知られたところ。男性は3段・40名、女性は4段・20名を収容できる天井の高いスタンダードタイプの高温サウナで、男性は温度96℃、女性は温度88℃の設定。
人気がを集めているのが爆風ロウリュだ。ロウリュは大タオルや団扇(うちわ)であおぐのが一般的だが、ここでは巨大掃除機のようなブロワーで風速80mの熱い爆風を送るというから熱波の勢いも想像を絶する。
男性サウナでは、照明を落とし、テレビも消した薄明かりの静かなサウナ室でアロマの香りの蒸気に包まれる「静寂のロウリュ」や、週末の早朝には大量の氷と団扇による「暁のロウリュ」などユニークなロウリュを実施している。また、女性サウナでは毎週木曜日のレディースDAYには「スペシャルロウリュ」を開催している。女湯には麦飯石サウナとは別に、塩サウナとして利用できる室温54℃のミストサウナもある。
氷が入った桶でマイボトルが冷やせるのもうれしいサービスだ。そして、水風呂はキンキンの15℃。強いバイブラも備わっているので一気にクールダウンできる。
2階の女性ロッカー室には10種類の岩盤を備えるり女性専用岩盤浴が併設されている。1時間200円、3時間300円(専用着をフロント返却にて50円返金)。
岩盤浴室では手軽なエクササイズとして人気が高いホットヨガを実施しているので、ぜひ体験してみよう。1レッスン60分・500円(ソフトドリンク券付き、レッスン終了後30分岩盤浴利用可)。
湯上がりは全席指定の有料リクライニングシートへ
湯上りに利用したいのが3階の休憩室。冒頭に書いたように全席指定の有料リクライニングシートがあり、全席テレビ、電源コンセントを完備。ここを確保しておけば、混雑時でも休む場所を探さなくてもいいから便利だ。
休憩室の最奥にはベッドを備え、ゆっくりと睡眠ができる男性専用プライベートブース(有料)もある。フィット感のあるマットは寝心地もよく、サイドテーブルには読書灯、コンセント、USBポートを備えている。昼間利用の「デイタイム」、10時から翌7時30分まで利用できる「ワンデイパック」などの料金プランがあるので、思い思いの過ごし方ができる。
3階の草加漫画センターには埼玉県内最大級となる4万冊のマンガがそろうので、休憩室などに持ち込んでマンガ三昧を楽しむこともできる。
極上の休日を過ごすならボディケア、フットケア、ヘッドスパ、ハンドケア、アロマリンパ、アカスリ、さらにエステ、ネイルケアなど、多彩にそろう美と健康のプログラムを体験するのもいい。
プロの料理人が作る手作り料理だから、味に自信あり!
スーパー銭湯の食事は「冷凍のできあいのものばかりだからあまり期待していない」という人も多いようだが、ここでは和・洋・中華・寿司など、それぞれに有名ホテルやレストラン、料亭で修業を積んだ職人たちが腕を振るう手作り料理を提供している。
テレビドラマ『サ道』でも紹介された名物のサウナ飯である「トマトサンラータンメン」は人気メニューの一つ。ざるそばは完全自家製の十割そば、ジューシーな豚ひき肉とたっぷりの野菜が包まれたジャンボ餃子はビールとともに味わいたい。
「薬湯、炭酸泉など豊富なお風呂と、好評をいただいている高温サウナでたっぷり汗を流した後は、職人による本格的な手作り料理を味わってください。全席指定のリクライニングシートも快適にお過ごしいただけます」。支配人の宇田川大輔さんが熱く語る。
最新施設を誇るスーパー銭湯が相次いで誕生する中で、ここは30余年の歴史をもつ健康センター。しかし、今なお変わらない人気を誇る要因は、「効仙薬湯」をはじめとするクオリティの高い風呂の数々と、サウナーを喜ばせるを高温サウナやロウリュの存在といえる。言い換えれば、本当の風呂好きに愛される施設といえるかもしれない。
取材・文=塙 広明、写真=湯乃泉 草加健康センター