【第92回源頼朝旗挙げ武者行列】歴史が動いた出陣シーンを再現

<4月3日 >神奈川県湯河原町・五所神社~桜木公園

湯河原を本拠としていた武将・土肥実平(どいさねひら)。治承4年(1180)、源氏再興のために挙兵した源頼朝が石橋山の合戦で敗れた際、実平が頼朝をかくまったとされている。庇護された頼朝は、湯河原で軍備を整えて再起を図り、後に鎌倉幕府への道を開いたといわれる。そんな郷土の英雄・土肥実平の功績をたたえる祭りだ。

9時40分から湯河原小学校で出陣の儀と武士たちの名乗りが行われ、その後、11時から武者行列がスタートする。頼朝が戦勝祈願をしたと伝えられる五所神社から桜木公園まで約900mの道のりを約40分かけて練り歩く。地元有志による土肥会会員などによる手作りの鎧や兜を身にまとい、源頼朝・土肥実平の騎馬武者をはじめとする総勢100人にもおよぶ勇壮な隊列は迫力満点だ。

当日、土肥一族の菩提寺である城願寺では土肥祭も開催(13時40分~)。墓参りや法要、石橋山の合戦後に平家方に自分の館が焼かれるのを見た実平が舞ったという焼亡(じょうもう)の舞も披露される。

◎JR東海道本線湯河原駅徒歩13分(五所神社)。湯河原町観光課☎0465-63-2111。

【築地本願寺はなまつり】甘茶をかけてお釈迦様の誕生日を祝う

<4月10日>中央区・築地本願寺

4月8日はお釈迦様の誕生日といわれ、築地本願寺では毎年その前後の日曜に「はなまつり」を開催。お釈迦様が生まれた際、空から甘露の雨が降り注いだという言い伝えから、花御堂(はなみどう)に安置された誕生仏に甘茶をかけてお祝いをする(これを「灌仏会(かんぶつえ)」という。花御堂は4月1~10日の期間中、境内に設置される)。

祭りのメインは11時から行われる稚児行列。華やかな衣装で着飾ったかわいらしいお稚児さん150名が築地川公園脇から本願寺正門まで練り歩く。吹奏楽やバトン部、ボーイスカウト、築地警察署も参加し、にぎやかなパレードだ。最後尾に目を引くのはお釈迦様を載せた白い象。お母様であるマーヤ夫人の夢に白い象が現れてお釈迦様を身ごもったと伝えられていることから、はなまつりのシンボル的存在だ。

境内では飲食ブースをはじめ、自由に撮影できるフォトスポットやワークショップ、警察・消防コーナーなど、子どもが楽しめる催しが盛りだくさん(本年のステージイベントは中止)。「灌仏会を通して美しい仏教の行事に触れながら親子で楽しんでほしい」と築地本願寺の喜代多さん。

◎地下鉄日比谷線築地駅徒歩1分。築地本願寺コンタクトセンター☎0120-792-018(9:00~17:00)。

【第32回成田太鼓祭】迫力ある太鼓パフォーマンスに魅了される

<4月16・17日>成田市・成田山新勝寺および成田山表参道

関東三大本山のひとつ、成田山境内と成田山表参道で繰り広げられる日本屈指の太鼓の祭典。オープニングは両日とも10時より成田山大本堂前で行われる「千願華太鼓」。例年の800名より人数は減る予定だが、大勢の打ち手が一斉に太鼓を打ち鳴らし、気迫ある演奏を披露する。圧倒的なスケール感は鳥肌ものだ。

「参道ステージ」では周辺にステージが設置され、各団体のパフォーマンスが楽しめる。「荘厳な総欅造りの総門をバックに演奏が見られるのはここだけ」と教えてくれたのは成田市観光館の山下さん。さらに、弘恵会田町駐車場では、関東近県から集まった実力派の高校生専用ステージもあり、はつらつとした演奏で人気を博している。

初日17時からは夜のステージ「成田山千年夜舞台」も。成田山大本堂前の舞台にはかがり火が焚かれ、ロケーションは抜群。世界で活躍するプロの演奏家をはじめとするハイレベルな演奏を幽玄な雰囲気の中で楽しむことができる。

イベントのフィナーレを飾るのが、17日15時から行われる「千鼓万札(せんこばんれい)パレード」。約800m続く成田山参道で25~30団体による太鼓パレードが練り歩き、出演者も観客も一体となって盛り上がる。「演奏者と近い距離で楽しめるのがウリだが、コロナ対応で一定の距離を保たなければならない。それでも、迫力と躍動感にあふれる演奏を楽しんで」と山下さん。

◎JR成田線成田駅、京成本線京成成田駅徒歩10分。成田太鼓祭実行委員会事務局☎0476-24-3232。

【第35回照姫まつり】地元に伝わる悲劇のヒロインを偲ぶ

<4月24日>練馬区・都立石神井公園とその周辺

石神井公園の三宝寺池の南に石神井城跡があり、室町時代中期には武将・豊島泰経(としまやすつね)が石神井城を居城にして栄華を極めていたと伝わる。練馬二大まつりのひとつ、「照姫まつり」は豊島泰経とその娘と伝えられる照姫にまつわる伝説に由来するお祭りだ。

一番の見どころは照姫行列。照姫、豊島泰経、奥方の三役をはじめ豊島氏一族に扮した総勢約100名が豪華絢爛な時代衣装や甲冑に身を包み、石神井公園周辺を練り歩く。行列は13時過ぎに石神井公園を出発して石神井公園駅へ。駅前ステージでは三役を中心としたお披露目が行われ、再び公園へと戻り、野外ステージで帰還式が行われフィナーレを迎える。まるで過去にタイムスリップしたような趣だ。

また、もうひとつの見どころが12時から野外ステージで行われる舞台演技「照姫伝説」。照姫については諸説あるが、イベント内で演じられるストーリーでは、泰経は太田道灌との戦いに敗れて落城した際に三宝寺池に入水し、後を追うように照姫も池に身を投げて命を絶ったというもの。公園内の各広場には約70団体が模擬店を出店し、練馬区の名品や地方の特産品の販売も。また、公園内のはいから劇場や野外ステージでは約30団体による多彩な演目が披露され、一日中楽しめそうだ。

◎西武池袋線石神井公園駅徒歩7分。照姫まつり事務局☎03-6721-0061。

取材・文=香取麻衣子 ※写真は各主催者より提供。
『散歩の達人』2022年4月号より