◆散歩コース◆

体力度:★☆☆
難易度:★☆☆

  • 登山シーズン 3月~11月
  • 最高地点 877m(女体山)
  • 歩行開始地点 205m(筑波山神社入口バス停)
  • 歩行時間 2時間10分
  • 歩行距離 約4km
スタート
筑波山神社入口バス停
大きな赤い鳥居を抜けて門前町に入る。左手に新しくなった大御堂(おおみどう)を見て、先に進むと筑波山神社の拝殿。脇の道から宮脇駅へ上がる。

筑波山ケーブルカー(宮脇駅/筑波山山頂駅)
所要8分で山頂駅。左手の男体山への登山道に入る。15分ほどで上がれるが、後半部に急な岩場あり。

男体山
山頂手前に展望のいい場所あり。山頂はいまいち。戻って御幸ヶ原から女体山へ。山頂手前はやや急な坂道。

女体山
展望を楽しんだら、いきなり急坂の岩場。大仏岩などを見てまた岩場を下る。北斗岩を過ぎると平坦な道に。

弁慶茶屋跡(分岐)
弁慶七戻りの岩の間を抜けると弁慶茶屋跡に。白雲橋コースを右に見て左手のつつじヶ丘コースを下る。

ゴール
つつじヶ丘バス停

アクセス:
[行き]つくばエクスプレス秋葉原駅からつくば駅/つくばセンターへ。筑波山ケーブルカー筑波山神社入口バス停/宮脇駅から山頂駅へ。片道約2時間
[帰り]筑波山シャトルつつじヶ丘バス停からつくばセンターへ。つくばエクスプレスつくば駅から秋葉原駅へ。片道約1時間40分

つくばエクスプレスを利用するなら「筑波山きっぷ」がおすすめ。発売駅からつくば駅までの1往復、直行筑波山シャトルバス、ケーブルカー、ロープウェイが乗り降り自由。秋葉原駅から4380円。

空気が澄んだ天気のいい日に奥多摩や埼玉の山に登り、広い関東平野を眺めると、遠くにポコッと山がひとつ浮かんでいる。それが筑波山である。

筑波山は昔から「西の富士、東の筑波」といわれるように名山として名高い。万葉集では筑波山に関して詠まれた歌は25首もある。特に容易に登れない西国の人には憧れの山だったのかもしれない。

その憧れの山は、現代では誰でも登れる観光の山となった。南側にはケーブルカーがあり、東側にはロープウェイが行き来する。つまり、ほとんど歩かなくても登れる山となった。足腰が弱くても大丈夫なのが現代の筑波山の特徴。両方利用すると、ただの散歩になるので、今回は片方だけ利用する。ケーブルカーで上り、下りは自分の足を使うことにした。

スタートは筑波山神社入口バス停。ちょっと寂れかかった門前町の中を抜けて、筑波山神社に寄ってから近くの宮脇駅へ。駅の右手には石の鳥居。ここをくぐって上がるのが本来の登山。上の御幸ヶ原(みゆきがはら)まではおよそ1時間30分の行程になる。

山頂駅のある御幸ヶ原で展望三昧

ケーブルカーでは、たったの8分で山頂駅。ここは男体山(なんたいさん)と女体山(にょたいさん)のちょうど中間地点で、まず西側に立つ男体山へと上がる。

御幸ヶ原から、すでに山頂の男体山御本殿が見える。ちょっとした岩場を上がって山頂へ。本殿は江戸城を向いているとか。徳川幕府の守護山としての任務についているということか。展望はまずまず。同じ道を下って、御幸ヶ原へと戻る。

ケーブルカーの山頂駅に着いたら、そこが御幸ヶ原。男体山はすぐだ。
ケーブルカーの山頂駅に着いたら、そこが御幸ヶ原。男体山はすぐだ。

御幸ヶ原には360度の大展望が自慢のコマ展望台や茶屋が数軒建っているが、まだ休むには早い。女体山へと向かう。途中にまた茶屋が出現。せきれい茶屋とある。まだ体が冷えていたので、暖かいお汁粉を一杯いただく。

御幸ヶ原から北方面の眺望。かつては筑波山脈ともいわれた加波山(かばさん)や足尾山(あしおさん)がある。
御幸ヶ原から北方面の眺望。かつては筑波山脈ともいわれた加波山(かばさん)や足尾山(あしおさん)がある。

すぐガマ石。これは想像力を駆使しなくてもガマに見える。ほどなく女体山山頂の御本殿。裏側に回ると大展望が待っていた。関東平野が一望、左手には近くの霞ヶ浦の湖面も見える。

 

元は雄龍石といったが、永井兵助が「ガマの油売り口上」を考えだしたことでガマ石に。似ている。
元は雄龍石といったが、永井兵助が「ガマの油売り口上」を考えだしたことでガマ石に。似ている。
女体山山頂からの眺望。奥に霞ヶ浦の湖面が見える。手前下の建物はロープウェイ、つつじヶ丘駅。
女体山山頂からの眺望。奥に霞ヶ浦の湖面が見える。手前下の建物はロープウェイ、つつじヶ丘駅。
同じく女体山山頂から関東平野方面の眺望。
同じく女体山山頂から関東平野方面の眺望。

足腰の弱い人は、すぐ下にある女体山駅からロープウェイで降りたほうがいいかもしれない。この後、筑波山で一番厳しいルートが待っているのだ。そう、急な岩場の下り。登るより、はるかに危険。取材時は前日に降った雪が残っていたので特に状態は悪い。なんとか岩場を下りると大仏岩が上に聳(そび)えている。

 

女体山から下ってくると大仏岩が頭上に見える。高さが15mほど。
女体山から下ってくると大仏岩が頭上に見える。高さが15mほど。

ここから奇岩や巨石がいくつも現れる。これが古代から筑波山が霊山として崇められてきた理由なのかもしれない。

女体山からの下りは岩場が多く危険なので下山は要注意だ。北斗岩手前の岩場。
女体山からの下りは岩場が多く危険なので下山は要注意だ。北斗岩手前の岩場。
母の胎内くぐり。岩の中をくぐり抜けることで生まれた姿に立ち返るとか。ほかにも奇岩がいろいろある。
母の胎内くぐり。岩の中をくぐり抜けることで生まれた姿に立ち返るとか。ほかにも奇岩がいろいろある。
聖と俗を分ける門という意味で、石門と呼ばれていた弁慶七戻り。
聖と俗を分ける門という意味で、石門と呼ばれていた弁慶七戻り。

つつじヶ丘バス停からつくば駅へ戻らずに途中下車し、温泉へと足を向けた。筑波山の温泉には関東平野を見晴らせる露天風呂があるという。その温泉が筑波山さんぽ、最終目的である。

 

山歩きメモ

ケーブルカーに乗らずに御幸ヶ原まで登ればプラス1時間半。つつじヶ丘から筑波山神社まで迎場コースを下ればプラス50分。弁慶茶屋跡から神社へ下れば1時間程度。温泉に入るなら、つつじヶ丘から山頂へ上がる逆コースのほうがいいかも。

 

アドバイス

危険箇所は女体山山頂直下の岩場の下り。ロープもあるが、慎重に下ろう。筑波山神社入口バス停の手前に筑波山梅林がある。2月中旬から3月中旬までが見頃。

つくば道

筑波山神社参詣の表参道が古道として今も残る

筑波山の南側、北条の街から筑波山に行く、かつての表参道(神郡街道)が、「つくば道」として「日本の道100選」になっている。途中の神郡(かんごおり)集落には古い土蔵造りの家も残っている。旧筑波山郵便局がつくば道沿いにある。

筑波山神社

関東平野に人が住みはじめた頃から信仰を集めてきた

創建は古く約2000年以上前といわれる。写真は中腹にある拝殿で、御神体は筑波山そのもの。本殿は双耳峰の女体山と男体山山頂に2つ鎮座している。拝殿より上の山域がすべて境内で、面積は354haに及ぶという。

 

筑波山ホテル 青木屋

関東平野が一望のパノラマ露天風呂

門前町にある青木屋は、もとはみやげ物店がメインだったが、いつしか旅館業がメインに。2001年に筑波山に温泉が湧き、青木屋は屋上にパノラマ露天風呂を造った。関東平野の大展望を満喫しながらの入浴が最高だ。

  • 12:00~15:00、日帰り入浴1100円。不定休。筑波山神社入口バス停から徒歩3分 ☏029-866-0311。

取材・文=清野編集工房
『散歩の達人 日帰り山さんぽ』より