海底に眠るプラットホーム。関東大震災で沈んだ根府川駅の遺構をスクーバダイビングで巡る
今回は11年前、2011年に訪れた関東大震災の遺構です。震災遺構を廃なるもの(=廃墟)として括るのはどうなのかなとも考えてしまいますが、この読み物では戦争遺構も紹介しており、歴史の遺構の括りとして紹介します(では城跡は?というと収拾つかなくなるので、明治以降の近代遺構としています) 。今回の場所は地上ではなく、ましてや空からでもなく……海です。11年前の撮影ですが、おそらく現在も変化ないでしょう。JR東海道本線根府川駅は相模湾に迫り出す山腹にあります。ホームからは大海原が望め、温暖な気候と相まって長閑な空気に包まれている大幹線の駅です。駅は大正11(1922)年、東海道本線の前身である熱海線開通と共に誕生しました。駅舎は大正13(1924)年築。その間には関東大震災がありました。大正12(1923)年9月1日の関東大震災は、多くの被害がありました。熱海線の被害も甚大で、数箇所で山津波や地滑りによって、鉄橋を含む線路設備がズタズタに破壊されました。中でも根府川駅は、ちょうど進入してきた下り旅客列車と駅が地滑りによって海中へ没する大惨事となってしまい、駅の西側に架かる白糸川橋梁も地震による土石流によって流され、駅周辺の集落も土石流に飲まれました。