田舎者の上京ブルース 〜地方出身者に贈るメランコリックなエピソード集〜
澄ました顔で携帯をいじっているそこのあなた。失礼ですが、ご出身は?おや、なかなか田舎ですね。東京に出てきて何年目ですか? もう慣れたもんだって?まーた、気取っちゃって。あ、悪く思わないでください。あなたをバカにしたいわけではないんです。かくいう私も、人より牛の数の方が多いド田舎出身。故郷は違えど、仲間です。私が言いたいのは、すっかり都会人ぶってるあなたにも東京ビギナーだった時代があって、驚いたり恥をかいたりした思い出があるでしょ、ということ。誰にだってあるはずなんです。疑ったことなんてなかった「常識」が覆される瞬間が。十数年慣れ親しんできた「あたりまえ」が、温暖化に瀕した氷山の如く目の前で崩れ落ちたことが。今日は、そんな田舎者たちの思い出を集めてきました。故郷を想うもよし、東京を愛でるもよし。もし、あなたが生粋の都会っ子なら、鼻で笑いながら読んだって構いやしません。ただ、田舎者たちの哀しくも可笑しいブルースに、いっとき耳を傾けていただきたいのです。