これが散歩の達人なんだと思っている3冊

『午後三時にビールを 酒場作品集』
中央公論新社 編/中公文庫/924円

『ウヒョッ! 東京都北区赤羽』
清野とおる 著/双葉社/996円

『新参者』
東野圭吾 著/講談社文庫/880円

酒場(具体的な店名の記述あり)を舞台にした池波正太郎や太宰治ら文豪の観察眼(皆愛らしい)、赤羽という街にどんどん首をつっこんでいく清野とおるさんの勇敢さと描写力、日本橋小伝馬町で起こった殺人事件を追う「新参者」の刑事・加賀恭一郎(東野圭吾さんなのか)の鋭い洞察力。街を見て人を見る。これが散歩の達人。(平岩)

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それぞれの時代の「今」を体感する3冊

『未来散歩練習』
パク・ソルメ 著・斎藤真理子 訳/白水社/2310円

『Showa Style ―再編・建築写真文庫〈商業施設〉』
都築響一 編/彰国社/5500円

『私の東京地図』
佐多稲子 著/筑摩書房/990円

私たちは今この時代しか生きることができない。それでも、今歩いている道が分厚い歴史の層でできていることを、それぞれの今を生きた人が残したものから知ることはできる。散歩するリズムで韓国現代史を見つめる小説。喫茶店や洋食店、無名の建築を記録した写真。労働者である一人の女性が見た大正・昭和の東京。大事な体の一部になっています。(渡邉)

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「歩く」を通して内側を照らす3冊

『うろん紀行』
わかしょ文庫 著/代りに読む人/2420円

『カフェゴトーの記録』
後藤 進 語り・瀬谷薫子 文/大和書房/2970円

『歩くこと、または飼いならされずに詩的な人生を生きる術』
トマス・エスペダル 著・枇谷玲子 訳/河出書房新社/2915円

散歩には意識を内へ内へと導いてくれる効能もある。歩を進めて思考を深めながら新しい景色と出合ったり、文化をつくる人の哲学に触れたり。散歩を通して外的世界と内的世界を行き来することで、自分を知り、道標を見つけていけるのかも。そんな思いを与えてくれた3冊です。街だけでなく己と向き合いたいときに、ぜひ。(桑原)

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言葉や絵を通して気づきを与えてくれる3冊

『どこでもいいからどこかへ行きたい』
pha 著/幻冬舎/759円

『谷根千のイロハ』
森まゆみ 著/亜紀書房/1430円

『東京ホテル図鑑 実測水彩スケッチ集』
遠藤 慧 著/学芸出版社/2750円

どこかへ足を運ぶ意味を見つめ直したり、街の変遷について知り、その歴史の中を通り過ぎていった人々や景色に思いを馳せたり、建築の細部に気づかされ、実際に自分の目で確かめてみたくなったり……。漫然と散歩するだけに留めないために、それぞれの角度から気づきを与えてくれ、次の散歩へ誘ってくれる本たちです。(阿部)

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散歩っでどこまでも自由だ!な3冊

『生まれ変わるのが死んでからでは遅すぎる』
黒川隆介 著/実業之日本社/2600円

『スナック』
山田なおこ 著/リトルモア/4180円

『あなたに犬がそばにいた夏』
岡野大嗣 著・佐内正史 撮影/ナナロク社/2090円

今日はなにも持たずに歩こう。いや、ずっと気になっているあの店は行っておきたい。やっぱり財布は持っていこうか。コンビニに寄ってアイスでも食べながら帰ろっと。変わりゆく風景も、ずっと街の人々を支え続けるあの店も、湿った風も、夜道を照らす月も、全部自分のものにして歩きたい。散歩の自由さを感じられる3冊。(中島)

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現実・狭間・超現実を歩く3冊

『断片的なものの社会学』
岸 正彦 著/朝日出版社/1716円

『シブヤで目覚めて』
アンナ・ツィマ 著・阿部賢一、須藤輝彦 訳/河出書房新社/2970円

『死都調布』
斎藤潤一郎 著/リイド社/770円

外をトボトボ歩き“現実”的なものと触れ合うのが散歩と思っておりますが、その向こう側に行ける3冊です。日常を生きる人々のさまざまな側面を垣間見、夢か現実か分からないシブヤを彷徨(さまよ)い、彼方の超現実タウン・死都調布を訪れてフィニッシュ! 気がつけば、あなたの現実はさらに広々としているはずです。(守利)

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街を観察する3冊

『緑をみる人』
村田あやこ 著/雷鳥社/2640円

『路上觀察學入門』
赤瀬川原平 著・藤森照信、南伸坊 編/ちくま文庫/902円

『あたらしい散歩』
大北栄人、林雄司 著/Pヴァイン/2530円

歴史、建築、芸術、植物、動物、石ころ、看板、マンホール、学生服……。あらゆる視点から街を捉えることで、ごく身近にも無限の科学があると気付かされる3冊。世界を広くする、だけでなく、むしろ足元にある狭くて小さな世界にも着目する。普段往復している見慣れた道でさえも、きっと新しい発見が潜んでいます。(小野)

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いい意味でしつこい3冊

『西荻さんぽ』
目黒雅也 著/亜紀書房/2200円

『猫が歩いた近現代 化け猫が家族になるまで』
真辺将之 著/吉川弘文館/2090円

『つくもごみ』
panpanya 著/白泉社/1430円

何事にも“しつこい”くらいの本が好き。地元の記憶のすべてを書き(描き)留めようとする目黒さん。人間にずっと愛されてきたと思われている猫の定説に、真っ向から挑む真辺さん。誰もが既視感のある日常を舞台に、論理的に幻想世界を広げていくpanpanyaさん。みな、いい意味で執念深さが光っていて、その姿勢に刺激を受ける。(高橋)

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『ジュンク堂書店 池袋本店』で『散歩の達人』30周年フェア開催中!

『散歩の達人』創刊30周年を記念し、『ジュンク堂書店 池袋本店』1階にて「バックナンバー+編集部選書フェア」が開催中! 本誌バックナンバー販売のほか、本ページで紹介している“推しの散歩本”も販売!

実施期間:2026年3月21日(土)から約1カ月を予定

住所:東京都豊島区南池袋2-15-5/営業時間:10:00~22:00/定休日:無/アクセス:JR・私鉄・地下鉄池袋駅から徒歩2分

撮影=中島理菜(編集部)
『散歩の達人』2026年4月号より