再開発で目指す街の姿

江戸川区「JR小岩駅周辺地区まちづくり基本計画2019」より一部加工。
江戸川区「JR小岩駅周辺地区まちづくり基本計画2019」より一部加工。

小岩駅前、南口のフラワーロード東側に29階建ての高層マンションが現れたのは2015年。22年にはフラワーロード西側に22階建てが完成し、26年には並びに33階建て、27年には北口に30階建て、さらに31年度には昭和通りの入り口付近にも区内最高層の44階建てマンションが計画されている。でも、もともと小岩駅周辺は商店街が充実して便利なのに、なぜ再開発が計画されたのだろう。

「一つには商業の衰退。小岩は昭和初期より江戸川区の中心として、周辺の街からも人が集まるターミナルでしたが、時代と共に集客が分散し、商店街の活気が減りました。もう一つは昔ながらの街並み。関東大震災も太平洋戦争も被害が少なかった分、道幅の狭い道路が多く、老朽化した木造住宅も密集し、災害時の危険性が高い。それらの課題を機に、2007年から江戸川区と地域住民によるまちづくりの検討が始まりました」とは、一般社団法人小岩駅周辺地区エリアマネジメント(KOITTO)の代表理事・都築敏行さん。

再開発の目玉は、駅前の交通広場(ロータリー)と南北をつなぐ道の整備だ。南口は、複数の道が放射状に集まる上、交通広場のない北口に代わってバス路線の乗降を一手に引き受けているので交通が慢性的に大集中。そこで、北口に約6100平方mの交通広場を新たに作り、北口通りの道幅を9mから18mに拡幅。現在ある『イトーヨーカドー』はその北側に建設中の30階建てマンションの低層部に移る予定だ。一方、南口も、「リングロード」なる道を新設し、北口側からフラワーロード、昭和通り、中央通りまで通す。

3棟(中央は竣工前)の高層マンションが建つフラワーロードの裏に、「リングロード」予定地が広がる(2025年11月撮影)。
3棟(中央は竣工前)の高層マンションが建つフラワーロードの裏に、「リングロード」予定地が広がる(2025年11月撮影)。

北口、南口にはそれぞれ駅へとつながるペデストリアンデッキも設け、東側のバス通りであるサンロードの道幅も18mに拡幅。これらにより、駅の南北も含め各商店街が行き来しやすくなり、一層回遊できる街になるという。また、南北の高層マンションに生まれるという商業施設や交流施設も楽しみだ。

昭和通りには地面に「リングロード予定地」と記されている!
昭和通りには地面に「リングロード予定地」と記されている!

「観光地ではないので、他所から人が集まるというよりは、小岩の人たちが外に出なくても小岩で買い物も何でも事が足りる街を目指したいですね。ただ、もともと下町なので、新しく住む人も昔から住む人も道で会ったら『こんにちは』と言い合えるゆるい結びつきのある街でいてほしいなと思います」(都築さん)

完成は6年後(2031年)といわれるこの再開発。見える景色は今とは変わるだろうけど、よりよく進化した下町の未来を期待したい。

取材・文=下里康子 撮影=高野尚人
『散歩の達人』2026年1月号より