池袋のコスパ最強ランチ、まんまる丼とは?
お昼時に池袋の街を歩くと、不思議とウキウキとしてくるだろう。オフィス街としても知られる街だけに、ランチ激戦区だけにお昼時ともなると各店がお得な価格で看板メニューを提供してくることもしばしば。スーツ姿のサラリーマンがこぞって集まるようなお店に入れば、たちまちおいしいランチに出くわすこともできるだろう。
そんな池袋のランチで、「コスパ最強」と称されているのが、川魚問屋直営店うなぎ居酒屋『まんまる』の、ランチタイム20食限定で提供されるまんまる丼。形は不揃いではあるが、大ぶりなウナギのかば焼きがのっかって1200円というのだから、サラリーマンたちの間で人気を誇るのも頷ける。
「お店はオープンして2022年で24年目。ランチはオープン当時からやっていましたが……お客さん自体が少なかったんですよねぇ」。
……当時を振り返り、しみじみと語ってくれたのは副店長の小路永啓介さん。アルバイト時代からこの店を知る人物だからこそ、この言葉には深みがある。
そもそもウナギと言えば、ごちそうとも言うべきメニューのひとつ。ちょっとした専門店でうな丼を食べようと思えば、相場は実に2000円前後。うな重ともなればさらに高額になり、ランチで食べるにはちょっと手が出しにくくなってくる。
しかし、そんなうな丼がもしリーズナブルな価格で食べられたら……というお客さん側の願いを叶えたのが、このまんまる丼である。
ウナギのかば焼きをリーズナブルに提供できるわけ
『まんまる』でランチタイムに提供される通常のうな丼は1800円。これでも十分リーズナブルに感じるが、まんまる丼はさらに安い1200円。その差はいったいどこに?と疑問に思うが……小路永さんによると、「訳あり」のウナギを使用しているからだという。
「当店では“五代目鰻の目利き”が選出したウナギを使用しているので、品質には絶対の自信を持ち、安全安心なウナギを提供しています。まんまる丼に使うウナギは、自社で加工をする際に未来の鰻職人や、うなぎ屋さんの後継者が技術継承の為に捌いたもの。その中で規格に合わず、卸売りできない“訳あり”のウナギを使用する事で、通常のよりも安く提供できるんです」。
まさに川魚問屋でウナギを自社加工するからできる「訳あり」のウナギを使ったお値打ちどんぶりだが、実際のまんまる丼を見ると、大ぶりなかば焼きが2切れも乗っかり、通常のうな丼よりもウナギの量は多い。しかもウナギそのものは通常と同じなので味は全く変わらない。これを1200円で食べられたら確かにありがたい。
驚く筆者に対し「これ、撮影用だからって大きいわけじゃないですからね!」と、答えてくれた小路永さんだが、実際にお客さんでもこの大きさに驚く方が多いという。炊き立ての国産米と合わせたかば焼きを一口頬張ると、そのおいしさについつい笑顔になってしまうことだろう。更に有難い事にご飯大盛り無料! ランチでお腹いっぱいうな丼が食べれる。
さらに、ウナギの味わいをより引き立ててくれるのが常備されている山椒。ウナギとの相性を考え、和歌山県産のブドウ山椒と呼ばれるものを使用している。清涼感のある香りでウナギの味わいをさらに引き上げてくれる。気が付けばどんぶりに顔をうずめ、まんまる丼を完食しているほどだった。
老若男女に愛されて池袋の街に根付く
問屋の強みを生かしたことでリーズナブルな価格でウナギのかば焼きを提供し、人気ランチメニューを考案した『まんまる』。限定20食の制限があるため、この味わいを知る常連客は開店前より集まり、整理券をもらいにやって来るという。
そうした常連客には近場で働くサラリーマンはもちろん、一人で来店される女性客もいるという。『まんまる』があらゆる年代のお客さんに愛されている所以とも言えるだろう。
「ウナギのお店で『ビートルズ』をBGMにしているお店ってうちくらいじゃないですかね(笑)。でも、その分居心地はいいと思うので、一度来てもらえるとうれしいです」。
リーズナブルにウナギを食べるなら、整理券を頂きにいざ『まんまる』へ行ってみたい。
構成=フリート 取材・文・撮影=福嶌弘