ポーラ ミュージアム アネックス
10月3日(金)から

写真:(左) Light of Other Days:吉田理容室壁に設えた大きな3枚の鏡 2020 H. 160×W. 380×D. 92cm Photo by Shinya Kigure Courtesy of Arts Maebashi (C)Nozomi Suzuki 写真:(中央) Other Days, Other Eyes:高山邸2階廊下の窓 2017 H. 110×W. 55×D. 5cm Photo by Shinya Kigure (C)Nozomi Suzuki 写真:(右) Light of Other Days:白河二丁目町会会館勝手口の扉 2018 H. 170×W. 71×D. 16.5cm (C)Nozomi Suzuki
ポーラ ミュージアム アネックス(東京・中央区銀座)では、写真の原理を通して事物に宿る記憶の顕在化を試みている鈴木のぞみの展覧会『Slow Glass―The Mirror, the Window, and the Door』を 2025 年 10 月 3 日(金)から 10 月26 日(日)まで開催します。
鈴木のぞみは、東京造形大学で絵画を学んだのち、独学で写真表現を習得し、2022年に東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程を修了。近年は国内外の展覧会やレジデンスプログラムへの参加を通じて、表現の可能性を広げ続けているアーティストです。
鈴木の作品は、日常の中でふと目にした光の痕跡を起点とします。その一瞬を、そこに存在したものや過ぎ去った時間の記憶として捉え、作品へと昇華させています。代表作《Other Days, Other Eyes》(「窓」のシリーズ)では、かつてその窓から見えていたであろう景色を想像しながら、窓そのものに写真乳剤を塗布し、直接焼き付ける独自の技法を用います。そこに現れる像は、移ろいゆく光と空間の関係を写し取り、見過ごされがちな時間の層を静かに積み重ねたかのようです。
本展では、この「窓」のシリーズをはじめ、「鏡」や「扉」をモチーフとした新作を含む、約15点を展示いたします。光と時間が織りなす不可視の記憶を、鈴木の視点を通じてご体感ください。
∥ 展覧会概要 ∥
タイトル 鈴木のぞみ 『Slow Glass - The Mirror, the Window, and the Door』
会期 2025年10月3日(金)から10月26日(日) *会期中無休
主 催 株式会社ポーラ・オルビスホールディングス
会 場 ポーラ ミュージアム アネックス (〒104-0061 中央区銀座1-7-7 ポーラ銀座ビル3階)
時 間 11:00 - 19:00 (入場は18:30まで)
※10月17日(金)のみ18:00まで (入場は閉館30分前まで)
入場料 無料
※諸事情により内容が変更になる場合がございます。ギャラリーホームページ( https://www.po-holdings.co.jp/m-annex/ )で最新情報をご確認のうえ、ご来場をお願いいたします。
∥ トークイベント ∥ 鈴木のぞみ × 伊藤俊治(美術史家)
日 程 2025年10月17日(金) 18:30 -19:30
会 場 ポーラ ミュージアム アネックス (〒104-0061 中央区銀座1-7-7 ポーラ銀座ビル3階)
参加費 無料
※詳細・お申込みはギャラリーホームページ(https://www.po-holdings.co.jp/m-annex/)よりお願いいたします。
作家プロフィール
1983年埼玉県生まれ。2007年東京造形大学造形学部美術学科絵画専攻卒業。2015年東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻修士課程修了。2022年、同大学院博士後期課程修了。2025年「第41回 写真の町東川賞」新人作家賞受賞。2018年度ポーラ美術振興財団在外研修員(イギリス)。2016年「VOCA展2016 現代美術の展望―新しい平面の作家たち」VOCA奨励賞受賞。主な個展に「HIRAKU Project Vol.16 鈴木のぞみ『The Mirror, the Window, and the Telescope』」ポーラ美術館 アトリウム ギャラリー(神奈川、2024年)がある他、「潜在景色」アーツ前橋(群馬、2022年)、「無垢と経験の写真 日本の新進作家 vol.14」東京都写真美術館(2017年)、「NEW VISION SAITAMA 5 迫り出す身体」埼玉県立近代美術館(2016年)などのグループ展に参加。2022年、作品集『LIGHT OF OTHER DAYS』(rin art association)を刊行。作品は東京都写真美術館、アーツ前橋などに収蔵されている。
<ステートメント>
写真の原理を通して、光の諸現象が事物に宿す記憶の顕在化を試みています。そのような潜像は、例えば、日常に潜む小穴投影現象による倒立像、光がもたらす影、滑面への光の反射、ガラスにおける光の透過や屈折など、私たちの身近な事物のそこかしこに見出すことができます。それらの現象は、物理的であると同時に、私たちの視覚や記憶に深く関わるものです。私はイメージを生成した作者というよりも、媒介者、あるいは翻訳者として〈事物の記憶〉を可視化することで、人間中心に構築された世界を見つめ直す視点を模索しています。
「Slow Glass」とは、イギリスのSF作家ボブ・ショウが短編集『Other Days, Other Eyes』(1966)に描いた、過去の光を遅れて届ける空想上のガラスです。その性質は、光を受けとめ、時間を経て像を現す写真の根本的な原理と似ています。
近代において写真は、産業革命とともに登場し、窓、鏡、扉といった視覚的な装置や建築的な境界と深く結びつきながら、私たちの知覚や世界像を形づくってきました。窓は外界を切り取るフレームとして、鏡は自己像を映す媒体として、扉は内と外をつなぐ境界として、それぞれが私たちの視覚と記憶の在り方に影響を与えてきたと考えられます。
本展では、窓越しの眺め、鏡に映る室内、扉の向こう側の風景といった、私たちの身近な〈境界〉に宿る記憶を提示します。これらの写真が定着された事物が「Slow Glass」として作用するとき、過ぎ去った時間を想起し、現在との新たな接続を生み出す契機となることを願っています。
トークイベント対談 : 伊藤俊治 プロフィール
美術史家。1953年秋田生まれ。東京大学文学部美術史学科卒業、東京大学大学院人文科学研究科修了(西洋美術史専攻)。多摩美術大学情報デザイン学科教授を経て東京藝術大学先端芸術学科教授。現在、東京藝術大学名誉教授、多摩美術大学客員教授、京都芸術大学大学院教授を務める。著書は『写真都市』(冬樹社)『ジオラマ論』(リブロポート)『機械美術論』(岩波書店)『電子美術論』(NTT出版)など百冊を超える。
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