時代を創った表現者、夢二の多彩な作品が集結

画家であり、詩人、デザイナー、イラストレーターなど、いくつもの顔をもつ表現者として、明治の終わりから昭和のはじめにかけて活躍した竹久夢二。特に「夢二式」と呼ばれた女性像や、レトロモダンなデザインによって、大正ロマンを象徴する人物として知られている。夢二の作品は、雑誌や絵葉書、展覧会などを通して人々の共感を呼び、一世を風靡。また、暮らしを彩る日用雑貨のデザイン、子供のための本や雑誌作り、流行歌「宵待草」の作詩、関東大震災の記録など、時代をリードする仕事によって、続く世代にも大きな影響を与えた。

担当研究員の横山由季子さんは、「《黒船屋》が約40年ぶりに所蔵館である『竹久夢二伊香保記念館』の外の展覧会に出品されることに加え、《榛名山賦》(『竹久夢二伊香保記念館』)や《立田姫》(『夢二郷土美術館』)など、夢二の日本画の名品が勢揃いします。また、書籍の装幀や雑誌の表紙と挿絵、千代紙や絵封筒など日用品のデザイン、関東大震災のスケッチ、人形、スクラップブックなど、夢二の多岐にわたる仕事の全貌に迫る、過去最大規模の展覧会です」と見どころを語る。

美術という枠を超えて、流行を生み出し、多くの人々に愛され続ける竹久夢二の仕事を余すところなく紹介する内容になっている。

社会現象を巻き起こした「夢二式」の魅力に迫る

細身の体つきで黒目やまつげの強調された大きな目を持つ独特の女性像。「夢二式」と称され、それまでの浮世絵系の挿絵とは異なる新たな美意識の到来として若い人々に絶大な支持を得た。夢二が雑誌に寄せたコマ絵を集めた『夢二画集 春の巻』には、夢二式の女性が多数掲載されてベストセラーになり、街には夢二式の女性たちがあふれ、社会現象を巻き起こしたという。

本展では『竹久夢二伊香保記念館』、『夢二郷土美術館』、『金沢湯涌夢二館』、『竹久夢二美術館』、千代田区(龍星閣竹久夢二コレクション)といった全国の夢二コレクションから、代表作や知られざる名作をはじめ、約500点の作品や資料が集結。とりわけ、円熟期の日本画である《黒船屋》や《秋のいこい》《九連環》など見ごたえある作品が揃う。

また絵画だけでなく一世を風靡したレトロモダンな夢二のデザインが一挙に紹介されるのも見どころだ。本の装幀から雑誌や楽譜の表紙、ポスターなどのグラフィックデザインから、千代紙や絵封筒、手拭い、浴衣などの日用雑貨やファッションのデザインまで。それまでにない斬新なデザインのグッズは、大変な人気を博した。

大正時代の人々を魅了したレトロモダンなデザインが、100年以上経った今も色褪せない魅力を放っていることを実感できるはずだ。

開催概要

「竹久夢二 時代を創る表現者」

開催期間:2026年10月23日(金)~2027年1月11日(月・祝)
開催時間:10:00~17:00(金・土は~20:00、入館は閉館の30分前まで)
休館日:月(ただし11月23日・2027年1月11日は開館)、11月24日(火)、12月28日~2027年1月1日
会場:東京国立近代美術館 1F企画展ギャラリー(東京都千代田区北の丸公園3-1)
アクセス:地下鉄東西線竹橋駅から徒歩3分
入場料:一般2100円、大学生1200円、高校生700円
※当日に限り所蔵作品展「MOMAT コレクション」も観覧可

【問い合わせ先】
ハローダイヤル☏050-5541-8600
公式HP:https://yumeji2026-28.jp/

 

取材・文=前田真紀 画像提供=東京国立近代美術館