戦後商業振興策として始まった七夕まつり

願い事を書いた短冊をカラフルな飾りとともに笹の葉に吊るす7月7日の七夕。江戸時代に庶民にも広まった年中行事で、現在もこの時期に合わせて(地域によっては旧暦の7月7日、現在の8月上旬ごろ)、各地で七夕まつりが行われている。その代表格として「仙台七夕まつり」が挙げられるが、関東地方では神奈川県平塚市の「湘南ひらつか七夕まつり」が特に有名だ。

平塚にはかつて海軍火薬廠があったことから、昭和20年(1945)7月の大空襲で壊滅的な打撃を受け、焼け野原と化した。しかし、戦後の復興は早く、昭和26年(1951)には戦後商業振興策として第1回七夕まつりを開催。回を重ねるごとに知名度が高まり、日本を代表する七夕まつりへと成長した。昨年は3日間でおよそ115万人が来場したという。

湘南ひらつか七夕まつりの特徴は、なんといっても七夕飾りの豪華さにある。中心商店街で合計約300本、そのうちメインとなる湘南スターモールや紅谷パールロードには、趣向を凝らした約100本の七夕飾りが頭上を埋め尽くす。なかには大型飾りや、スポーツ選手や人気のキャラクターといった流行りを取り入れたものもある。「さまざまな大きさや形の七夕飾りが空いっぱいに広がる、そんな圧巻の光景がこの祭りの魅力です」と教えてくれたのは実行委員会の担当者。さらに、電飾が仕込まれているのもめずらしく、夜になると七夕飾りが光り輝いて、昼間とは異なる風情が楽しめる。

 

また、初日の7月5日には、湘南スターモールで「七夕おどり千人パレード」も。七夕まつりのテーマソング「七夕おどり」に合わせ、市内外の市民団体や企業、学生など、多くの人々が踊り歩く姿は圧巻だ。

「湘南ひらつか織り姫」も参加する華やかな「七夕おどり千人パレード」。
「湘南ひらつか織り姫」も参加する華やかな「七夕おどり千人パレード」。

しかしながら、近年こういった問題も。「七夕飾りの作り手が減ったことにより、メイン通りの七夕飾りの減少が課題。その分、市民団体が制作を担っていますが、彼らの支援を行うためにふるさと納税制度を活用したクラウドファンディングを7月4日まで行っています」。関東有数の七夕まつりを応援して、ぜひ現地に足を運ぼう。

開催概要

「第72回湘南ひらつか七夕まつり」

開催日:2024年7月5日(金)~7日(日)
開催時間:10:00~20:00(7日は~19:00)
会場:JR平塚駅北口商店街、見附台公園ほか(神奈川県平塚市)
アクセス:JR東海道本線平塚駅から徒歩2分

【問い合わせ先】

湘南ひらつか七夕まつり実行委員会事務局☎0463-35-8107
公式HP:http://www.tanabata-hiratsuka.com/

 

取材・文=香取麻衣子 ※写真は(一社)平塚市観光協会より提供