吉玉サキ(達人)の記事一覧

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神保町「ジャニス」に通っていたあの頃、オザケンっぽい彼との甘くて苦くて酸っぱい話
私にとって初めての「東京」は神保町だ。19歳で進学のため上京したのだが、学校が御茶ノ水にあったから、放課後はよく神保町で過ごした。その辺りには思い出の場所がいくつもある。そのうちのひとつが「ジャニス」というレンタルCDショップ。「ジャニス2」や「ジャニス3」もあって、私が通っていたのはどれだったか、建物がどの辺にあったかも覚えていない(調べてみたら何度か移転していて、私が通っていた店舗は閉店したらしい)。店内の光景と、黄色と緑の会員カードは覚えている。「ジャニス」のことを思い出すと、自動的に元恋人のことも思い出される。甘いと苦いと酸っぱいが同時に込み上げてくるような、妙な気分だ。
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方向音痴の就活。迷子になって面接に遅刻した日、意外な結末が待っていた
この連載で「迷うことも楽しい」と学んでから、たまに知らない道を歩くようになった。しかし、それは多少迷ってもかまわないプライベートでの話。仕事や大切な用事など、遅刻が許されない場面での迷子は命取りだ。慎重にならざるを得ないし緊張もする。私の場合もっとも緊張するのは、取材で初めての場所へ出かけるときだ。編集さんやカメラマンさんと駅で合流して取材先へ向かうならいいが、現地集合やひとりでの取材だと、着くまでの間ずっと「道に迷って遅刻したらどうしよう」とドキドキする。だから目的地に着いた時点で「あ~、よかった」とひと仕事終えた気持ちになる。しかし実際はそこからが本番なわけで、緊張のピークを二度味わうことになり、たいそう疲弊する。着いてドキドキ、本番でドキドキ。この感覚を最初に味わったのが、就職活動だった。
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民話の研究をする義弟から聞いた、あの老舗店と河童のつながり
この連載で地図研究家・今尾恵介さんとお話したとき、こんなエピソードを伺った。今尾さんが取材中、とある田舎町の田んぼで地元の人に地名の由来を尋ねたら、「あそこの家の人が詳しい」と教えられる。その家を訪ねると、家主は今尾さんを家の中に招き入れ、お茶でもてなしてくれたそうだ。今尾さんはじっくりと地名の由来を教わることができたと言う。その話を聞いて、義弟のことを思い出した。夫の弟である彼は民話の研究をライフワークにしている。最近はご時世的に難しいが、自由に移動できた頃は長期休みのたびに日本各地を飛び回っていた。民話の舞台となった土地へ行き取材するのだ。地元のお年寄りに民話について尋ねると、家に招いてくれたり、詳しい人を教えてくれたりすると言う。今回は、そんな義弟とイチオシの民話について。
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右折のタイミングがわからなくてイオンに入れない……人見知りならぬ“場所見知り”の母
この連載で何度か、「どうせ迷うんだろうなと思うと、知らない場所に行くのが億劫になる」と書いた。するとTwitterで「私も方向音痴ですが、迷うことを気にせずどんどん知らない場所へ出かけます」という声をたくさんいただいた。なるほど、もちろんそういう方もいるだろう。連載でお話を伺った地図研究家の今尾さんもそう仰っていた。ただ、同じ方向音痴といえど性格は人それぞれ。私は臆病かつ出不精なため、知らない場所に行く心理的ハードルがものすごく高い。「行ってみたいな」と思いつつ何年も行けていない場所が都内にもたくさんある。人に話すと「行けよ」の一言で済ませられるし、自分でもそう思うのだが、行く決意を固めるまでに時間とエネルギーを要するのだ。どうしてこうも腰が重いのか。それはおそらく、母に似たのだと思う。
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「店が動く」方向音痴の恐ろしき逸話、“執念”を感じる札幌の住所、無限に広がる空想地図の世界……地理人・今和泉隆行さんとおしゃべり【後編】
こんにちは、方向音痴ライターの吉玉サキです。私が方向音痴の克服を目指して右往左往する当連載、なんと本になりました。『方向音痴って、なおるんですか?』という書名で好評発売中です。さて今回は、空想地図作家・今和泉さんとの対談【後編】です。前編は「赤羽vs北千住」をテーマにおしゃべりしましたが、どんどん話が脱線。動くドラッグストアの話や、実はたくさんいる空想地図作家たちのこと、札幌の住所に見る“執念”などなど……そのはみ出した部分に今和泉さんの知識と感性が凝縮されていて面白かったので、こうして1つの記事にまとめました。方向音痴さんもそうじゃない人も、ぜひ地理人と方向音痴のおしゃべりを聞いてください!
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赤羽vs北千住、方向音痴に優しい街はどっち? 地理人・今和泉隆行さんとおしゃべりしました【前編】
こんにちは、方向音痴ライターの吉玉サキです。私が方向音痴の克服を目指して右往左往する当連載、なんと本になりました! 『方向音痴って、なおるんですか?』という書名で、本日発売です。さて今回は、本にも登場した空想地図作家・今和泉隆行さんが再登場。『散歩の達人』6月号では、大特集「赤羽vs北千住」番外編として、今和泉さんと吉玉が「どちらの街がより迷いやすいか」をテーマに対談しました。雑誌では迷いやすさを中心にまとめましたが、この対談では2つの街の魅力についても気ままにおしゃべり。話が脱線しまくりましたが、面白かったのでWeb限定のロングバージョンとして本記事でお届けします。赤羽・北千住に行ったことがない方も楽しめる内容ですよ!
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ある雨の日、道の真ん中で震えていた迷子のヨークシャーテリアを拾った
以前、本連載で御茶ノ水にある母校周辺を歩いたとき、私はこんなことを書いた。“この辺を歩いているといろいろな思い出がよみがえってきて、「あそこのロッテリア、放課後に友達とよく行ってました」「ここで犬を拾って交番に届けたことあります」などと、どうでもいい話ばかりしていました。そういうエッセイも書きたいな。”本筋と関係なかったので話を広げなかったが、郊外ならいざ知らず、都会で犬を拾うってあまりない経験じゃないだろうか。今回はそのめずらしい体験について詳しく書こうと思う。迷子になった犬の話だ。
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「ぼく道わかるよ!」と歩き出した3歳の甥っ子が、青ざめた顔で座り込んでしまった
方向音痴克服を目指して試行錯誤する本連載「グーグルマップを使っても迷子になってしまうあなたへ」。このたび、その連載を大幅に加筆修正した(文体をまるまる変えた)単行本が発売される運びとなった。その名も、『方向音痴って、なおるんですか?』。5月21日(金)発売だ。単行本には書き下ろしエッセイも収録しているが、入りきらなかったエピソードがあるのでここで書こうと思う。
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連載最終回! 方向音痴が街ブラに挑戦してみて分かったこと【後編】
こんにちは、ライターの吉玉サキです。方向音痴の克服を目指して一年と少し続けてきたこの連載。いよいよ今回が最終回です。前編に引き続き、憧れの下町・谷中を散歩しています。散歩って、誰でもできるようで実は向き不向きがあると思うんですよね。目的を決めずプラプラ歩くことを楽しめる人と、目的地が決まってないと落ち着かない人がいる。私はずっと、自分を後者だと思っていました。ですが、谷中を散歩してみると楽しいのなんの。意外と散歩に向いてるのかも……?方向音痴による散歩レポート後編、一緒に歩いてる気分でどうぞ。*2020年12月に取材・撮影しました。
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方向音痴克服企画の集大成!? 憧れの街・谷中で街ブラに挑戦します【前編】
こんにちは、ライターの吉玉サキです。あの手この手で方向音痴の克服を目指してきたこの連載、いよいよこの企画がラストです(今日はその前編)。この連載の初回、私はこんなことを書きました。“方向音痴の何が辛いって、知らない場所に行くのが怖くなってしまうことなんですよね。本当は知らない街にも出かけてみたいのに、「道に迷うんだろうな~」と思うと億劫になってしまい、ついつい知っている場所にばかり行ってしまうわけです。あぁ、一度でいいから好奇心の赴くままに知らない街を歩いてみたい……!”方向音痴は、迷子になって途方に暮れた経験が多いため、迷子リスクの高い行為を避けがちです。しかし、この連載を通して方向音痴と向き合ってきた結果、地図を見ることや方角を意識することに慣れ、だんだんと苦手意識が薄れてきました。また、インタビューした方々に「迷ってもいいから気ままに歩いてみて」と背中を押されたことも。そこで、最後はいよいよ街ブラに挑戦します! はたして、「迷子の達人」は「散歩の達人」になれるのでしょうか?
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