講評をくださったのは とんかつさん

とんかつ/役に立たない情報サイトのハイエナズクラブ(hyenasclubs.org)所属、建築歴25年、現在は職人を束ねる会の副会長を務める。趣味はセーターあつめ。
とんかつ/役に立たない情報サイトのハイエナズクラブ(hyenasclubs.org)所属、建築歴25年、現在は職人を束ねる会の副会長を務める。趣味はセーターあつめ。

編集部員その1 白瀧綾夏(27)

「竹下通りで遊んだ高校時代が蘇ります」

これぞクリスマスアグリーセーターといった王道スタイル。袖に散らされた雪が可愛らしい。
これぞクリスマスアグリーセーターといった王道スタイル。袖に散らされた雪が可愛らしい。

本人コメント
個性的な服といえば原宿だろう、とあたりを付け「原宿 アグリーセーター」で検索したら一発で出てきた『パナマボーイ原宿店』さんで購入。生地がしっかりしていて着心地良く、スパンコールと毛糸製のツリーが華やか。しかも輸入品の一点ものである。「おっ、クリスマスだな!」とすぐに分かるデザインもポイントだ。装飾品は竹下通りで売られていたものを手当たり次第に購入。ロックもゴシックもファンシーも受け入れる、原宿・竹下通りの懐の広さを表現した。

とんかつ講評
まずUgly christmas sweaterの起源は「祖母からクリスマスプレゼントとして贈られた手編みのセーター」であり「クリスマスツリー」「トナカイ」「サンタクロース」そして「自分の名前」などモチーフとして用いられるのが一般的です。そういった意味で白瀧様には是非「白瀧 綾夏」の文字をセーターに追加でプリントして頂きたいと思います。

編集部員その2 長岡彩香(28)

「私はディテールにこだわるタイプなんですよ(笑)」

クマのキャラクターに長岡自らサンタ帽子を縫い付けたらしい。これは変化球だ。
クマのキャラクターに長岡自らサンタ帽子を縫い付けたらしい。これは変化球だ。

本人コメント
浅草寺裏手の奥山おまいりみち商店街にある『メンズカジュアル石山商店』のショーウインドーに飾られていた、浅草の粋なおじさんが着ていそうなセーター5500円を購入した。決め手は胸元のクマ(名称不明)さん刺繍。店主に聞いたところ、レシュロムスポーツという日本のブランドのオリジナルキャラらしい……。このセーターには“クリスマスなんかより、有馬記念”コーデを。縮んだ小さ目のマスク、キャップ、赤ペン、競馬新聞、カップ酒を持てば、浅草式ダサセーター、いっちょあがり!

とんかつ講評
素晴らしいセーターです。長岡様ご自身で熊に取り付けたサンタ帽によりアシッドフォーク系デザインのセーターがデス渋谷系のデザインに化学変化を起こしています。ひし形の柄は「アーガイル柄」と呼ばれなんかよくゴルフのセーターに用いられますが、このトラディショナルな柄に「デッサンの狂ったゴルファー」の絵がついていたりすると我々の業界(ダサセーター業)では高ポイントです。

編集部員その3 田代咲紀(22)

「サンタは鍵閉めないタイプなんですかね」

チェック柄かと思いきや、タイルの模様になっている。
チェック柄かと思いきや、タイルの模様になっている。

本人コメント
月刊1月号「明治神宮と神宮外苑」特集の取材がてら、原宿で買いました。上野、秋葉原といろいろ探し回ったのですが、なかなかピンとくるものがなくて。やっぱり原宿はファッションの街ですね。可愛らしいものから奇抜なものまで、いろんなニーズに応えるセーターを見かけました。街の特徴というのもあるかもしれないですが、女性ものがほとんどでしたね。男性はこういうもの着てパーティーとかしないんでしょうか。まあ、今回のチョイスは82点ってところです。

とんかつ講評
これは「FunQi Gifts」社の名作「Toilet santa ugly christmas sweater」ですね。模倣品(恐竜がトイレに入っている)も出る程の人気作です。我々のツイッターアカウント(@dasasweater)で「クリスマスの翌日のサンタのセーター」と紹介させていただいたところ、グリーンランド国際サンタクロース協会公認、アジア初の公式サンタクロースであるラテン音楽家パラダイス山元様より「サンタクロースはサンタ服を着たままトイレに入らない」とのご指摘を賜りまして、大変恐縮いたしました。田代様にはトイレの際是非このセーターは脱いで入っていただきますようお願い申し上げます。

編集部員その4 中村こより(26)

「チャームポイントは背中の虫食いです……」

おそらく手縫いなのか、よく見るとポイントそれぞれ作りが異なる。それにしても襟が大きい。
おそらく手縫いなのか、よく見るとポイントそれぞれ作りが異なる。それにしても襟が大きい。

本人コメント
高円寺に住む売れないバンドマンが、お金に困って御茶ノ水でギターを売ってきた帰り道。服もほとんど売り払い、カバンもないのでディスクユニオンの袋で代用。昔、ばあさんが編んでくれたこのセーターだけが、唯一手元に残っている。しわくちゃで、やたら襟がデカくて、謎の赤いインコがいて、背中には虫食いもあるが、これだけは手放すことができない。ダサくてダメダメだけど、実は心優しい男なのだ。

とんかつ講評
さてセーターに虫食い、縮みはつきものです。私も「ダサセーター画像収集人」という肩書きでハイエナズクラブ(hyenarclubs.org)のメンバーに入れて貰った際「ユニクロで買った普通のセーター」を着ていったら大層がっかりされたのですが、脇の下に大きな穴が開いていたことは誰にも気づいてもらえませんでした。さて中村様のこのセーター、素晴らしいデザインなのでいっそのこと120分ぐらいコインランドリーの乾燥機にかけて縮みきったところを気功術よろしくエイヤと袖を通せば、エスパー伊東氏への道も開ける事だろうと存じます。

編集部員その5 伊藤真一(43)

「細かいことを気にしない。僕のモットーです」

クリスマスらしい要素は見当たらないものの、腕のボーダーがスタイリッシュ。大胆なデザインだ。
クリスマスらしい要素は見当たらないものの、腕のボーダーがスタイリッシュ。大胆なデザインだ。

本人コメント
蒲田駅西口の商店街、「サンライズ」「サンロード」の洋品店をめぐってセレクトしました。6~7軒見て回ったところで、他の人とは違いそうな色と一緒に探してくれた妻の「何あれ」のひと言で決定。お店の人も「変わった柄ですね~」と太鼓判。とはいえ、セーターなのになぜか夏感・海感が強いので、赤地に緑のツリー柄のネクタイでクリスマス感をプラスしました。自分で着る為にはLL以上というサイズ的選択肢のハンデがある中でベストを尽くせたと思います。

とんかつ講評
水色は素晴らし(くダサ)いセーターが産まれる奇跡の色です。最近でも傑作「鮫が貫通しているセーター」などで用いられています。恐らくは水色の持つポジティブなイメージが多くの人に「もうセーターの柄は海老でもカニでもいいか。」と思わせるのだろうと存じます。いよいよ伊藤様のセーターですが、錨柄ということもあり、アンカーの気概を感じます。えっもう1枚あるんですか。

編集長 武田憲人(55)

「埼玉でアグリーセーターは見つかりませんでした」

表情豊かなサンタがメイン。夜を思わせる黒地には、立体的な雪玉が付いている。
表情豊かなサンタがメイン。夜を思わせる黒地には、立体的な雪玉が付いている。

本人コメント
西川口在住なので、城北か南埼玉で探したが見つからず、結局国分寺マルイの催事コーナーに出ていた古着屋「マイフェバリット」(℡080-3358‐7237)で購入。ファッションセンスゼロなので、オーナー伊勢奈都美さんの「ちゃんとダサいですよ笑」という優しいひと言で決めました。右手には駒込が本社の「芥川チョコレート」。クリスマス用チョコもありますが、フツーの板チョコが一番でしょう。

とんかつ講評
メリークリスマース!さあいよいよ編集長にあらせられます武田様のセーターは国分寺でのご購入。東京の三多摩方面は傑作セーターの穴場であり、私もハードオフ三鷹店で買った「ホット・パンツがついているセーター」は家宝にしております。都内では他にも北千住が、ヴィンテージ物の素晴らしいセーターを発見できる街です。読者の皆さまも探しに出かけてみてはいかがでしょうか。さあそしていよいよ編集長様のセーター、「HO HO HO」のセリフが入ったセーターでは「HO HO HOMO」というセーターが一番ひどい(誉め言葉)ですがそれをチョイスしない御英断は感服いたします。
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「記念に」と佐藤七海先輩(月刊散歩の達人編集部)がくださったチェキ。オシャレなスクエアタイプだ。
「記念に」と佐藤七海先輩(月刊散歩の達人編集部)がくださったチェキ。オシャレなスクエアタイプだ。

さんたつ編集部が気の向くまま、深く考えずに選んだセーターたち。講評を胸に改めて見直してみると、立派に見えなくもない。いい買い物しましたね。

とんかつさん、ありがとうございました!

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お披露目会を終えて

普段着よりも断然ハイテンション!

気が緩むと笑ってしまいそうなので、感情を押し殺す編集部員たち。
気が緩むと笑ってしまいそうなので、感情を押し殺す編集部員たち。

この日、編集部員一同は初めて互いのセーターを見せ合った。予算はおよそ3000~5000円。買った場所もセーターの選択も十人十色。気恥ずかしさがゼロだったわけではない。しかし、実際に着てみればなんてことはなかった。普段できない格好をすることで、なんだか開放感すら感じられたような気がする。

お開きになりかけたところで、なんと差し入れが!
お開きになりかけたところで、なんと差し入れが!

撮影も終わり、そろそろお開き……というところで、サプライズが!
この記事の演出を担当した渡邉恵先輩(月刊散歩の達人編集部)が、みんなのセーターを象ったクリスマスケーキを差し入れてくれたのだ。睡眠時間を削って、仕事終わりにチョコのデコペンを駆使して手作りしたとか。ありがとうございます! おいしくいただきます!
でもちょっと働き過ぎじゃないですか? 倒れないでくださいね。
ではまた来年!

構成=田代咲紀 演出=渡邉 恵 撮影=佐藤七海 (月刊散歩の達人編集部)