塩は酒飲みの終着駅

グラスのふちに塩をぬった塩ハイ。

最近、レモンもお茶も、割り材にするものがなんにもないとき、グラスのふちに塩をぬって飲んでいる。その名も塩ハイだ。酒飲みは塩をつまみにするっていうけど、面倒臭いからひとつにしちゃえばいいじゃん、と思ったのがきっかけで生まれた。塩で酒を飲むのが酒飲みの終着駅だとしたら、塩ハイはいわば折り返し運行一駅目である。酔っ払いは電車の始点と終点を往復する生き物なので、ちょうどいいドリンクともいえる。

いわずもがな、これまで紹介した酎ハイの中で最もシンプル。そしてお味もなかなか悪くないのだ。普段はなんの変哲もない塩で作っているが、“ちょっとお高い塩”で試してみる。

「全てをハイにする」とは??

「全てをハイにする」は、自粛期間中の“買い出し”を楽しむために思いついた遊びだ。「何に焼酎を入れると美味しいか」を考えながら、スーパーやコンビニへ行き、オリジナルの「〇〇ハイ」を作る。この遊びによって少し視点を変えるだけで、いつもの売り場が輝いて見え、どこへ行くのも立派な散歩。身も心もハイになれるのだ。

「全てをハイにする」の基本ルールは以下。

ルール①焼酎に入れたら美味しそうなもので割って飲んでみる
ルール②食べ物を粗末にしない

塩をなめてもらっちゃ困る

左からシャープな塩味を感じる順で並べてみた。

塩専門店で5種類の塩を買ってきた。シャープなしょっぱさを感じるものや、まろやかで甘みのあるものまで、このご時世にも関わらず、試食までさせてもらって決めた精鋭たちだ。

<買ってきた塩>※しょっぱいもの順(私調べ)
・死海産湖塩(イスラエル)
・白銀の塩(日本 久米島)
・ラウト バリ(インドネシア バリ島)
・雪塩(日本 宮古島)
・花塩(日本 与那国島)

こうしてみると、粒の大きさも様々。

お店でも驚いたのだが、どれも旨味がきちんと感じられて、これだけでつまみになる。舐めて味を比べているだけで、酒が飲みたくなってきた。

今回はしょっぱいもの順にご紹介する。
(ちなみに実際に飲み比べるときは甘いもの順がおすすめ)

まずは死海産湖塩

海産湖塩(イスラエル)。塩のつぶは少し大きめ。

死海産湖塩は、塩専門店のお姉さんに「一番シャープな塩味ならコレ」とすすめられて選んだ。ハイにしてみたが、後を引く強い塩味で顔がゆがむ。ミネラルっぽさもあり、塩自体は美味しいのだけど、直で塩をなめる酎ハイには不向きのようだ。ちなみに煮物に使うといいらしい。

日本酒にあう、白銀の塩

白銀の塩(日本 久米島)。味見したとき、これで塩おにぎりを作ろうと思った。

塩味とコクが強い白銀の塩は、お姉さんにすすめられた通り、日本酒のアテにもよさそうな味わい。後味のキレがよく、いろんな料理にマッチするオールマイティ型の塩ハイになった。

クセあり、苦みありのラウト バリ

ラウト バリ(インドネシア バリ島)。山菜や鯖などちょっとクセのある食材と相性がいいのだそう。

バリ海の海水を汲み上げて作るラウト バリは独特の風味や苦味があり、キャラ立ちした塩ハイが完成した。クセの少ない甲類焼酎をベースにしているので、塩のクセがうまく活きたのだ。粒子の大きさもちょうどよく、酒だけどアテみたいな無限ループ型の一杯である。

雪のような口どけの雪塩

雪塩(日本 宮古島)。粒子の細かいパウダータイプ。

うまみ調味料入ってる? と疑うほど旨みがある雪塩。ハイにすると、塩の粒感がなくスルスル飲めて、まろやかな塩味が口の中でふわ〜っと広がる。塩味よりも旨みや甘みが先にたつ華やかな味わいで万人ウケしそうだが、粒子が細かすぎて、グラスのふちに塗りにくいのが難点。

甘さを感じる花塩

花塩(日本 与那国島)。粒子がかなり大きいタイプを購入。

甘さを一番感じる花塩は、塩の粒子が大きいので酎ハイに混ぜて飲んでみた。数粒入れただけなのに、旨みと甘みが尾を引く、いい意味で予想を裏切られる塩ハイができた。

まずはおうちにある塩で

途中「花塩」を舐めながら「雪塩」の塩ハイを飲むなど、訳のわからないことをした。

塩ハイはシンプルながら、それぞれが個性的で終始楽しく飲み比べた。個人的なお気に入りは独特の風味がやみつきになるラウト バリ! (きっとウイスキー好きにもウケのいい塩だと思う。)

まずは家にある塩で、お口に合えばワンランク上の塩を使って試してみてほしい。

撮影・文=福井 晶