マスターの西村勝さん。
マスターの西村勝さん。

入り口が分からない。店の体をなしているのは営業中の看板のみ。恐る恐る階段脇のドアを開けると、急に酒場の喧騒(けんそう)がサラウンドで広がった。マスターからは「いらっしゃい」と威勢のいい声。

小さな店でもエンタメが大事。 「酒場ってのはテーマパークじゃなきゃ」by勝の父。
小さな店でもエンタメが大事。 「酒場ってのはテーマパークじゃなきゃ」by勝の父。
日本酒は受け皿にこぼれまくり! 痛風鍋はあん肝どっさり!
日本酒は受け皿にこぼれまくり! 痛風鍋はあん肝どっさり!
ヒラメなどお父さん(写真)の釣果が出ることも!
ヒラメなどお父さん(写真)の釣果が出ることも!

マスターの勝さんは、昨春、『居酒屋きまぐれ』を開業した。

「昔、相続のトラブルに巻き込まれ、二束三文になったんです。ゼロからのスタートを決意し、築地と豊洲で十数年働きました」

いまも倉庫の作業は続けながら店を回す、超人・勝。

「家族連れものんべえも大切さ」と勝さん。
「家族連れものんべえも大切さ」と勝さん。
老若男女、いろんな人を受け入れる場所。ただし「ガラ悪いのは出禁!」。
老若男女、いろんな人を受け入れる場所。ただし「ガラ悪いのは出禁!」。

自分の実力を試したく、あえてローカル駅の不利な物件で勝負をかけた。その力は刺し身を頼めば歴然。5点盛りより安いおまかせ盛り1650円を頼むとほぼ10点盛りだし、焼き鳥は一切れが唐揚げサイズ!

「やったらやり通す」を貫く勝さんの努力が実り、1年で千客万来に。君も約15畳の濃厚空間で、勝節(まさるぶし)を堪能せよ!

この日は大間のマグロに佐渡の天然ブリ。
この日は大間のマグロに佐渡の天然ブリ。
豊洲での仕事経験を生かし、魚には絶対の自信。「割烹に負けない。僕、負けるの大嫌いなんで」。
豊洲での仕事経験を生かし、魚には絶対の自信。「割烹に負けない。僕、負けるの大嫌いなんで」。
「集中集中!」とスタッフに檄(げき)を飛ばし、鍋を振り、魚をさばく。客の注文も聞き逃さない。「千手観音と聖徳太子を足したのが、僕」と勝さん。
「集中集中!」とスタッフに檄(げき)を飛ばし、鍋を振り、魚をさばく。客の注文も聞き逃さない。「千手観音と聖徳太子を足したのが、僕」と勝さん。
「お客さんはメニュー見ない、それが僕にとって宝。僕の料理を信頼してくれているから。それがうれしいの」。常連の前にパパッと刺し身と煮貝が。
「お客さんはメニュー見ない、それが僕にとって宝。僕の料理を信頼してくれているから。それがうれしいの」。常連の前にパパッと刺し身と煮貝が。
住所:埼玉県春日部市牛島18- 4 1F/営業時間:17:30~22:00/定休日:日(不定あり)/アクセス:東武鉄道東武アーバンパークライン藤の牛島駅から徒歩3分

写真・文=鈴木健太
『散歩の達人』2026年3月号より