世界のデザイン市場を激変させたコンランとは何者か?
日本初出店となった西新宿の『ザ・コンランショップ』が30年周年迎えた2024年、テレンス・コンランの軌跡を辿る日本で初めての展覧会が開催される。
戦後まもなくテキスタイルや食器のパターン・デザイナーとして活動を始めたコンランは、1960年代、ホームスタイリングを提案する画期的なショップ『ハビタ』をチェーン化して成功を収め、起業家としての手腕を発揮。1970 年代から展開した『ザ・コンランショップ』では、セレクトショップという概念を知らしめ、日本を含む世界のデザイン市場を激変させた。
一方、コンランは1950 年代からは高級レストランからカジュアルなカフェまで50店舗以上のレストラン事業も手がけ、モダン・ブリティッシュと称される新しい料理スタイルをイギリスの食文化に定着させるなど、一ジャンルにとどまらない活躍ぶりを発揮していた。
担当学芸員の柚花文さんは、「『ザ・コンランショップ』でおなじみのテレンス・コンランが、生涯にこんなにも幅広い仕事を手がけていたのかと驚かされる展示内容です。展示空間もいつもとはがらりを雰囲気を変え、工夫とデザインが凝らされているので合わせてお楽しみください」と、見どころを語る。
多彩なジャンルで才能を開花させたコンランの美学に迫る
展示の構成は、「デザイナー、コンランのはじまり」から。第二次世界大戦後のイギリスでブリティッシュ・ポップアートが生まれたころ、コンランはその先導者であるエドゥアルド・パオロッツィからテキスタイル・デザインを学ぶ。彼が手がけたテキスタイルや食器のパターン・デザインは注目されるようになり、また家具の輸入販売に加え、鉄・木・藤を用いた椅子やキャビネットの制作販売を行い、テイストメイカーとしての評価も得ていく。
「起業の志:ハビタとコンランショップ」では、『ハビタ』で大成功をおさめ、『ザ・コンランショップ』で世界のデザイン市場に大きなインパクトを与えた当時を、資料を通して紹介する。
さらに、「食とレストラン」では、高級レストランからカジュアルなカフェまでさまざまな食体験の場を提供し、「モダン・ブリティッシュ」の料理スタイルをイギリスに定着させていった手腕に迫る。
また、赤坂の『アークヒルズ』内の「アークヒルズクラブ」内装デザイン、リゾートホテル「二期倶楽部」や『六本木ヒルズ』のレジデンス棟など「日本におけるプロジェクト」も見逃がせない。
彼が手掛けたさまざまな仕事ぶりに、大いに刺激を受けそうだ。
開催概要
「テレンス・コンラン モダン・ブリテンをデザインする」
開催期間:2024年10月12日(土)~2025年1月5日(日)
開催時間:10:00~18:00(金は~20:00。入館は閉館30分前まで)
休館日:月(ただし10月14日、11月4日、12月23日は開館)・10月15日(火)・11月5日(火)・12月29日(日)~1月1日(水)
会場:東京ステーションギャラリー(東京都千代田区丸の内1-9-1)
アクセス:JR東京駅丸の内北口直結
入場料:一般1500円、高校生・大学生1300円、中学生以下無料
※身体障害者手帳などの手帳をお持ちの方は200円引きその付添いの方(1名まで)無料。
【問い合わせ先】
東京ステーションギャラリー☏ 03-3212-2485
公式HP https://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/202410_conran.html
取材・文=前田真紀 ※画像は主催者提供