日本電気株式会社
カカオと米の栽培に対する適応策導入効果をAIで予測、持続可能な農業を推進
NECは、米国のスタートアップ企業であるClimateAi社(注1)と共同で、アフリカにおけるカカオおよび米の栽培に対する気候変動適応策の導入効果を推定するコンセプトモデルを構築しました。本プロジェクトでは、ClimateAi社の長期的な気候変動予測技術と、NECのアグリテックに関する知見を組み合わせ、気候変動が農業に与える影響を数値化し、適応策の投資対効果を明らかにしました。
なお、本成果は2025年8月20日~22日に横浜で開催される第9回アフリカ開発会議(TICAD9)のテーマ別イベントの一つ「TICAD Business Expo & Conference (Japan Fair)」で展示し(注2)、アフリカ農業の課題解決に向けたデジタル技術活用の意義を発信します。

画面は開発中のものです。
1. プロジェクトの背景と目的
世界では気候変動の影響を緩和するための温室効果ガスの排出量削減やクレジット取引が活発に行われていますが、気候変動による被害を回避・軽減させるための適応策の導入はまだ進んでいません。これは、適応策を導入することの投資対効果の算定が困難であることが原因の一つと考えられます。特に、農業分野は気候変動の影響を受けやすい産業でありながらも、農産物の生育に影響を与える要素が気温、水、土壌など多岐に渡ることから、適応策として導入し得る灌漑設備や、品種の変更といった施策の投資対効果を推定することが困難でした。NECとClimateAi社は、農産物の生育に影響する様々な要素をAIを用いて分析し、適応策導入の経済的な投資対効果を算出するコンセプトモデルを構築しました。このモデルを活用することにより、効果が見込まれる地域に集中して適応策の導入を行うことが可能となり、現地の農業を効率的、且つ持続的に推進することが可能になります。
2. 取り組みの詳細
コンセプトモデルでは、アフリカの複数地点を対象として、カカオ、及び米の栽培に対する適応策を対象とした分析を実施しました。アフリカは世界有数のカカオ生産地域であり、農業が主要産業の一つです。しかし、気候変動の影響により、カカオや米の栽培環境は今後数十年で大きく変化すると予測されています。本取り組みでは、以下の3つの適応策に焦点を当て、気候変動下での収量維持・向上と、経済的価値の創出を検証しました。
- 灌漑設備の導入
- 気候変動に適応した品種への変更
- 従来から栽培している品種の作付時期変更
これらの分析結果のうち、一部の結果は、インタラクティブに動作する画面を通じて確認することができます。本コンセプトモデルの用途の一例として、現地の農業支援を行う国際機関や開発銀行が、支援先の農地探索や適応策の導入効果推定に活用することを想定しています。本例に留まらず、農業に関わる多様なステークホルダーがデータに基づいた意志決定を行うことができるよう、ニーズに応じた仕組みを構築していきます。
3. 成果と今後の展開
AIを用いることで、様々な地域でのコメ栽培において、灌漑設備の導入や栽培品種の変更といった適応策に対する投資対効果の分析や、カカオ栽培への有効な適応策などを分析することができました。
農業領域における気候変動適応を進めるためには、多額の資金が必要です。国際機関や開発銀行、政府など公的機関からの資金支援だけではなく、民間からの投資の必要性が指摘されています。継続的に資金を供給するためには、適応策による投資対効果の定量化や適応策導入後の適切なモニタリングと介入が不可欠です。
今後、関連する事業者との連携も視野に入れつつ、本取り組みで示したデジタル技術のユースケースを活かした事業展開を行っていきます。気候変動適応策へのファイナンスを活性化する適応ファイナンス事業では、民間企業の参入障壁の低減に向けた農業収量のベースリスク把握や、ファイナンス先の事業性評価支援などへの展開を検討していきます。アグリテック事業では農業生産者・管理者への気候変動適応支援という価値の提供や、農業サプライチェーンの上流(種苗や農資材事業者)や下流(加工事業者など)の気候変動適応支援への拡大を図ります。また、気候変動適応は農業以外の産業でも重要な課題となっていることから、インフラ産業や製造業のサプライチェーンの気候変動適応への支援への拡大も目指していきます。
本取り組みの結果は、「TICAD Business Expo & Conference (Japan Fair)」などの場での発表を通じて市場の皆様の反応を集めつつ、事業化に向けて検討を進めていきます。NECとClimateAi社の連携により、気候変動が農業に与える影響を科学的に評価し、具体的な解決策を提示することで、持続可能な農業と、食の安全保障の実現を目指します。両社は、今後も技術革新とデータ活用を通じて、世界の農業課題の解決に貢献していきます。
NECの新規事業開発は、「仕掛けよう、未来。」をキーメッセージに、スタートアップやパートナー企業との多彩な共創を通じた「NEC Open Innovation」(注3)を推進しています。今回のClimateAi社との連携もその一環として取り組んでいるもので、革新的な技術と領域を超えた連携により、これからも社会価値を生み出し、新しい未来を創造していきます。
注1) ClimateAi, Inc. https://climate.ai/
本社:米国 カリフォルニア州、設立: 2017年、事業内容:ClimateAiは農業、食品、消費財分野向けに設計された気候適応とレジリエンスのプラットフォームを提供するスタートアップです。AI を活用した気象モデリングと生物季節データおよび水不足データを組み合わせて、短期、中期、長期にわたって、高度にローカライズされた作物固有の農業への影響に関する洞察を提供します。ClimateAi は、気候と農業の相互作用に関する深い専門知識と、農業および消費財を扱う多国籍企業や農業投資家にわたる顧客基盤を持ち、複雑な気候データを実用的な洞察に変換します。
注2) NEC、「TICAD Business Expo & Conference」とTICAD 9関連イベントに参加
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001016.000078149.html
注3) NEC Open Innovation
https://jpn.nec.com/innovation/index.html
<参考サイト>
NECデジタル適応ファイナンス https://jpn.nec.com/pcc/index.html
<本件のお問い合わせ先>
NEC ビジネスイノベーション統括部
E-Mail:[email protected]
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