国立大学法人岡山大学
2024(令和6)年 6月 23日
国立大学法人岡山大学
https://www.okayama-u.ac.jp/
<発表のポイント>
天然有機化合物であるスカブロライドFの化学合成に成功しました。
合成したスカブロライドFおよびその関連化合物が、タテジマフジツボ等の生物付着を阻害する効果を持ち、かつ毒性を示さないことを見出しました。
生物や環境に優しい新たな付着防汚剤の開発が期待されます。
◆概 要
国立大学法人岡山大学(本部:岡山市北区、学長:那須保友)の学術研究院環境生命自然科学学域(理)の高村浩由准教授、門田功教授、岡山大学大学院自然科学研究科の杉谷侑紀大学院生(研究当時)、森下諒平大学院生(研究当時)、兵庫県立大学自然・環境科学研究所の頼末武史准教授(兼 兵庫県立人と自然の博物館 主任研究員)らの研究グループは、天然有機化合物であるスカブロライドFの化学合成に成功しました。
さらに、合成したスカブロライドFが、タテジマフジツボの付着を阻害する効果を持つことを見出しました。
本研究成果は、2024年5月23日にイギリス王立化学会誌「Organic & Biomolecular Chemistry」のオンライン版に掲載されました。
付着生物による被害の防止は、世界規模での社会的な課題の1つです。スカブロライドFは、ソフトコーラルから単離された微量成分の天然有機化合物です。
今回、化学反応を用いることでスカブロライドFを人工的に合成することに成功しました。さらに、合成したスカブロライドFおよびその関連化合物を用いてタテジマフジツボに対する生物活性を評価したところ、これらは付着を阻害し、かつ毒性を示さないことを見出しました。
今後、本研究成果を基盤として、効果的で安全な環境に優しい新たな付着防汚剤が開発されることが期待されます。
なお本情報は、2024年6月21日に岡山大学から公開されました。
◆高村浩由准教授からのひとこと
顕微鏡をのぞいて、自分たちが合成した化合物が付着阻害の効果を持つことが分かった時は、とてもうれしかったです。これからも、化合物を道具として生物付着の問題解決に貢献したいと考えています。
◆論文情報
論 文 名:Total Synthesis and Structure-Antifouling Activity Relationship of Scabrolide F
邦題名「スカブロライドFの全合成および構造-付着阻害活性相関」
掲 載 紙:Organic & Biomolecular Chemistry
著 者:Hiroyoshi Takamura, Yuki Sugitani, Ryohei Morishita, Takefumi Yorisue, Isao Kadota
D O I:10.1039/d4ob00698d
U R L:https://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2024/ob/d4ob00698d
◆研究資金
本研究は、独立行政法人日本学術振興会「科学研究費助成事業」JP21H01938、JP23K21115(研究代表:高村浩由)、JP20K15576(研究代表:頼末武史)の支援を受けて実施しました。
◆詳しい研究内容について
船底に固着して抵抗増加を引き起こすフジツボ等の付着生物に対する新たな付着阻害剤の合成に成功!~効果的かつ毒性を示さない付着防汚剤の開発に期待~
https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r6/press20240621-2.pdf
◆参 考
・岡山大学 理学部 化学科 有機化学研究室
http://chem.okayama-u.ac.jp/~organic/homejpn.html
・岡山大学大学院環境生命自然科学研究科
https://www.elst.okayama-u.ac.jp/
◆本件お問い合わせ先
岡山大学 学術研究院 環境生命自然科学学域(理)准教授 高村浩由
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中3丁目1番1号 岡山大学津島キャンパス
TEL:086-251-7839
http://chem.okayama-u.ac.jp/~organic/homejpn.html
<岡山大学の産学官連携などに関するお問い合わせ先>
岡山大学研究・イノベーション共創機構 産学官連携本部
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
TEL:086-251-8463
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https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001935.000072793.html
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更新日:2024.06.23
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