駐大阪韓国文化院
ソウル工芸博物館《螺鈿匠の図案室》展を再構成、大阪韓国文化院(大阪市北区東天満1-1-15)にて
◆ 図案から見る螺鈿漆工芸の作業過程と近代化の歴史
◆ 近現代の螺鈿職人、全成圭ら6人と同時代の作品まで110点紹介

螺鈿匠(職人)による実演イベントの様子
韓国の螺鈿(らでん)漆工芸の近代化を牽引した螺鈿匠(ナジョンジャン・らでんしょう)6人の作品世界と、螺鈿漆工芸の設計図である「螺鈿の図案」を一堂に集めた展覧会が、大阪で開催されます。駐大阪韓国文化院(院長 金蕙穗)とソウル工芸博物館(館長 パク・サンビン、ソウル市鍾路区)が共同で開催する《螺鈿匠の図案室》展が、8月20日(木)に文化院のミリネギャラリーで開幕しました。
本展は、2023年にソウル工芸博物館で披露された特別企画展を再構成したもので、螺鈿漆工芸の制作過程を理解する核心資料である「図案」に着目しています。螺鈿匠たちが実際に使用した希少な図案と、それをもとに制作された実際の作品をあわせて展示し、ひとつの文様がどのように設計され作品として具現化されるのかを比較しながら鑑賞できるように構成されています。

開会式の様子
展示では、近現代を代表する螺鈿匠たちの図案や作品から、現代の螺鈿漆工芸品まで計110点が披露されます。

開会式の様子
まず、1900年代初頭から現在に至るまで、韓国の螺鈿漆工芸をひとつの産業として成長させ大衆化をリードした近現代の螺鈿匠6人の作品世界を紹介します。全成圭(チョン・ソンギュ)をはじめ、金奉龍(キム・ボンリョン)、宋周安(ソン・ジュアン)、沈富吉(シム・ブギル)、閔鐘泰(ミン・ジョンテ)、金泰熙(キム・テヒ)など、韓国螺鈿漆工芸を牽引した職人たちが生涯をかけて蓄積してきた螺鈿の技法と美意識を確かめることができます。特に、今回紹介される全成圭の《螺鈿漆山水文卓子》は、今回の日本展にて初めて海外で公開される作品であり、彼の作品世界と美意識を伺い知ることができる主要な作品です。

開会式の様子
「螺鈿漆工芸」は、アワビや貝殻を薄く研磨して切り出したり細かくカットしたりして表面を装飾し、その上に漆塗りを繰り返して仕上げる韓国の代表的な伝統工芸で、高麗時代(10世紀)から受け継がれてきました。近代に入り、大量生産と標準化された工程のために「図案」が導入されましたが、これは貝殻を切り貼りして文様を作る過程の設計図であり、単なる下絵を超えて作品の構成と造形美を決定づける核心要素として機能しています。

螺鈿匠(職人)による実演イベントの様子
特に今回の日本巡回展では、韓日の螺鈿漆工芸の交流の歴史にもスポットを当てます。1920年代に全成圭、金奉龍、沈富吉、宋周安らが日本の富山県高岡市へ渡り「朝鮮之螺鈿社」で活動しながら、金属細工工具である「糸鋸」を螺鈿制作に導入し、それにより韓国螺鈿の絵画的表現を発展させた過程を紹介します。また、1970~80年代に閔鐘泰や金泰熙の「棗(なつめ)」や「香合」などが日本へ多数輸出され、日本の茶道文化と影響を与え合った事例もあわせて取り上げます。

《螺鈿匠の図案室》展の様子
また本展では、韓国の螺鈿漆工芸の現在と未来にも出会うことができます。金聖洙(キム・ソンス)、宋芳雄(ソン・バンウン)、李亨萬(イ・ヒョンマン)、孫大鉉(ソン・デヒョン)、崔相勲(チェ・サンフン)、金雪(キム・ソル)など、現在の韓国の人間国宝と称される螺鈿匠および螺鈿漆工芸作家たちが、伝統を基盤に現代的な感覚を具現化した多様な作品を披露します。これにより、近現代の螺鈿匠たちが構築した技術と美意識が、今日どのように継承され新しく解釈されているかをご覧いただけます。

《螺鈿匠の図案室》展の様子
なお、展示の開幕を記念して開会式と記念講演会も催されました。開幕当日には、工芸・美術界関係者や記者など主要関係者約50名が出席するなか開会式が開催されました。開会式には、日本の重要無形文化財「髹漆(きゅうしつ)」保持者などが出席し、韓日の工芸関係者が交流する場となりました。

《螺鈿匠の図案室》展の様子
続いて文化院のヌリホールでは、崔相勲・国家無形遺産螺鈿匠保持者による螺鈿実演が行われました。約160名の関係者や一般来場者が参加し、職人の繊細な螺鈿制作過程を見守り、伝統技術を守ってきた職人の歩みや作業に関する話に耳を傾けました。

《螺鈿匠の図案室》展の様子
金蕙穗 院長は、「《螺鈿匠の図案室》は、完成された作品のみならず、職人たちが作品を構想し設計した『図案』まであわせて見せるという点において、韓国の螺鈿漆工芸を新しい視点から理解できる展示です。今回の展示が、両国の伝統工芸における共通の美意識や、互いに影響を与え合いながら発展してきた歴史を理解し、今後の工芸交流をさらに広げていくきっかけになることを期待しています」と述べました。
本展は、韓国文化体育観光部と韓国国際文化交流振興院(KOFICE)が在外韓国文化院を拠点に韓国の多様な文化芸術プログラムの海外巡回を支援する「Touring K-Arts」プログラムの一環として推進されています。駐日韓国文化院(東京)で6月4日から8月8日まで開催されたのに続き、大阪にて巡回展を開催するものです。
今回の大阪展は、10月24日まで駐大阪韓国文化院 ミリネギャラリーにて開催されます。
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