海と日本プロジェクト広報事務局
2024年12月7日(土)【神奈川県中郡大磯町・大磯海岸】
ヨコハマ海洋市民大学実行委員会は、令和6年12月7日(土)に横浜の海が抱える社会課題の解決に挑戦する市民を養成する、ヨコハマ海洋市民大学2024年度第7回講座「冬の海の楽しみ方~焚火&映える写真講座」を開催いたしました。このイベントは、次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。
イベント概要
・ヨコハマ海洋市民大学実行委員会は「横浜の海が抱える社会課題を自ら考え、解決できる市民(海族・うみぞく)」を育成するヨコハマ海洋市民大学2024年度講座の第7回目を開催した(年10回開催)。
・開催日時:令和6年12月7日(土)13:30~
・開催場所:神奈川県中郡大磯町 大磯海岸
・参加人数:22名(受講生18名、講師・実行委員4名)
・共 催:海と日本プロジェクト
・後 援:横浜市・海洋都市横浜うみ協議会
講師自己紹介
今回の講師はヨコハマ海洋市民大学実行委員会の委員長でもある、かねきのぶひろ(金木伸浩)が講座を担当しました。委員長としての活動は今年11年目を迎えています。民間企業の社員として横浜港大さん橋国際客船ターミナルの指定管理者の業務に携わりながら、市民と港湾施設を繋ぐ事業としてヨコハマ海洋市民大学実行委員会の活動を始めました。その後指定管理者の契約終了に伴い実行委員会の解散を宣言しましたが参加者(市民)から継続を望む声が多くあり、業務とは別にプロボノとして実行委員会を継続し現在に至ります。また同時期にロックバランサー(またはロックバランシングアーティスト)としての活動も始め現在では神奈川県湘南エリアを中心に3万部発行されるフリーペーパー「海の近く」への石積みコラム連載(現在88回)やInstagramでの作品発表などの活動を続けています。
講師が紹介された番組 https://tokyo.uminohi.jp/program/aoiro2023_05/
講師のInstagram https://www.instagram.com/kaneki_nobuhiro/
解像度を上げよう
「今日は焚火と大磯の化石のこと、そして写真のことをお話しします」と講座が始まりました。そして「実は今日のためにキーワードを用意してきました。それは解像度を上げようという言葉です」と続きます。
解像度の低い写真は細部を見ようとしてもぼやけてしまい見ることができません。解像度の高い写真は画面の隅々までアップにしても画像をハッキリ見ることができます。これは情報量の違いです。日々の生活の中でたくさんのことに興味を持ち情報量を増やし、生活の解像度を上げることが大切だと講師は語ります。そしてヨコハマ海洋市民大学では受講生の海への解像度が上がるような講座作りを意識しているそうです。そして、それにも増してたくさんの時間を海辺で過ごすことが大切だとか。
焚火スタート
さあ、薪を拾いましょう!という掛け声で、受講生はそれぞれ焚火に使えそうな枝や流木を探して海岸を歩きます。10分もすると大小さまざまな薪が集まりました。受講生は海岸にある岩に腰掛け、薪の周りに集まります。講師は早速、着火用ライターを取り出し受講生の目の前で太めの流木をあぶりますが燃えません。
「このように太い薪に火を近づけたからと言って簡単に燃えるわけではありません。燃える条件があります。それは何でしょうか?」
受講生の中には分かっていて、頷いている人もいます。「そうですね、燃えるもの(薪)、熱(ライターや燃える温度)、そして酸素です。焚火をするにはこの三つを確保しないといけません。先ほどのように熱に対して太すぎる薪にライターを近づけても薪が熱を吸収してしまい燃える温度にはなりません。そのため細い薪から徐々に火力をあげていく必要があります。」と説明がありました。
講師は焚火用の道具(市販品の缶)を購入後、自分で鏨(たがね)や金属用のはさみを使い穴あけをしています。これは煙を少なく焚火をするために必要な穴なのだそうです。缶の中で薪が燃えると酸素を消費します。そのため、どんどん酸素(空気)を供給しないと酸欠で不完全燃焼となり白い煙になってしまうのです。自分がけむいだけでなく、これが近隣への迷惑になる可能性があります。それを缶の上部(円周上)にあけた穴で酸素を供給し不完全燃焼の白煙をも燃やしてしまおうという二次燃焼を目指したハイテク(?)な焚火缶だそうです。
集めた薪は三種類(細い焚き付け、腕くらいまでの太さの枝、腕の太さ以上の太薪)に分類します。着火はライターだけでもいいのですが、初めてだと時間がかかるので講師は灯油を少ししみこませた新聞紙を着火剤として用意していました。缶の底に着火剤、焚き付けと太めの枝を少々入れ、缶の下部に四角くあけた給気口からライターで着火します。無事に着火したあとは薪を入れすぎないように気を付けながら徐々に太い薪を入れていきます。空気の通り道が大事です。
講師自作の焚火缶の目的は二次燃焼以外にもう一つあります。それは焚火が終わった後、十分な水をかけて消火し、残った炭をそのまま自宅に持ち帰ることができるため海岸に燃えカスを残さないということだそうです(持ち帰った炭は可燃ごみで処分します)。
大磯海岸の岩礁
講座の会場として選んだ海岸は砂浜です。ただこの場所(海岸)にはめずらしく岩が露出しています。ペットの犬と散歩をする住民もたくさんいて、毎日のようにこの砂から顔を出す岩の上を歩いています。案外知られていないのは400万年くらい昔、東日本が隆起して島から陸地になったころの岩盤がここに露出しているらしいということなのです。地層が横倒しになっていたり、泥が固まってできた泥岩、細かいさまざまな石粒が混じった礫岩などが50cmから1mの間隔で積み重なっていて大きく地層が動いていた形跡がわかります。台風の大波が海岸の砂を沖合に移動させると横幅数百メートルの磯が出現するのもこの場所の面白いところです。磯が大きく露出した報道があると化石採取を楽しみにしている人たちがあちこちからやってきます。普段砂の下で掘ることのできない岩が現れるからです。
講師はここでも解像度という言葉を使っていました。普段気にすることもないただの岩も地球の歴史に焦点をあてて解像度を上げると全国から化石マニアが集まってくるような場所なのがわかります。「ここで知り合った化石を掘る人が親指の爪くらいのサメの歯を掘るのを見たことがある。」と講師は語ります。この場所は、陸地だった時期、海底だった時期を何度も繰り返していたそうで、淡水と海水の両方の植物や生物の化石を見ることができるとのこと。そして十数万年前は海底だったというお話もあるそうです。
そうやって様々な情報に触れることで生活の解像度が上がり、いろいろなことがよりクリアに見えてくる、そんな海族としての生活をしたいと講師は語っていました。
映える写真講座
「意識しなくてもいい写真が撮れる天才型の人もいれば私のように凡才型もいます。なので凡才講師はまず、操作方法の解像度を上げていくことでいい写真に近づこうとしています。」と写真講座が始まります。
スマホ写真のアプリについて、画面上のグリッド線を表示させ自分が感動したものを画面のどこに配置するのかを意識すること、アプリに用意されているカラーモードから映える設定を見つけること、焦点(フォーカス)と露出(画面の明るさ)をロックする操作を覚え、その上で写真全体の明るさを自分でコントロールすることの説明がありました。カメラ持参者にはその風景のどこに感動してどこにピントを合わせるのか、そしてスマホ同様に露出(明るさ)を自分で補正する方法を確認し、なるべくすべてをカメラ任せにしないために必要な操作方法の確認をしました。
もぐもぐタイム
まだ夕景には時間があったので休憩して間食の準備です。焼き芋は新聞紙でグルグル巻きにして海水につけアルミホイルで包みます。そしてそのまま焚火のなかへ。約30分で出来上がりです。大磯老舗のさつまあげを頬張り、地元焙煎屋さんのコーヒーを飲み、地元スーパーで購入したウインナーを焼き、小腹を満たしているうちに夕焼けが始まります。
海岸で焚火をするために薪を拾い集めていると、実はプラスチックごみの多いことに気づきます。解像度を上げるというのはこれまで意識していなかったことに気づき、興味を持ち掘り下げて情報を集めるということです。このごみはどこから来たのか、放置したらどこに行くのか。そして何が起きるのか。
多くの人が気にせず歩いている海岸の岩も地球の歴史として見ると興味深く観察することができ、生活の楽しみが増えていきます。スマホのカメラ設定も構図も改めて意識して自分でコントロールするようになれば海岸での風景を意識して見ることになり、漠然と海で過ごすだけではない、海族(うみぞく)としての生活を送れるようになるのではと講師は語っていました。
それゆえの今年度テーマである「さあ、海へ行こう」なのです。
※ロックバランシングの講座は風が強くなり実施しませんでした。
参加者の声
・大磯海岸で化石を見ることができるのを知らなかった
・こどもたちとのんびり過ごす時間の使い方を学べた
・最近は半日も海にいるということがほとんどなかったのでとても新鮮だった
・やはり海岸のプラスチックごみが目についた
<団体概要>
団体名称:ヨコハマ海洋市民大学実行委員会
URL:https://yokohamakaiyouniv.wixsite.com/kaiyo/
活動内容:横浜市民が横浜の海が抱える社会課題を自ら考え解決に向けて行動できる海族(うみぞく)になるための養成講座を年10回(コロナ禍以前は年20回)開催している。座学だけではなく実際に海や海を学べる野外講座も開催している。
日本財団「海と日本プロジェクト」
さまざまなかたちで日本人の暮らしを支え、時に心の安らぎやワクワク、ひらめきを与えてくれる海。そんな海で進行している環境の悪化などの現状を、子どもたちをはじめ全国の人が「自分ごと」としてとらえ、海を未来へ引き継ぐアクションの輪を広げていくため、オールジャパンで推進するプロジェクトです。
https://uminohi.jp/
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