オギリマサホ(達人)の記事一覧

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現代「立小便禁止看板」考~次世代に伝えたい「立小便禁止鳥居」の意味
街はさまざまなことを禁じる看板であふれている。「喫煙禁止」「駐車禁止」「ゴミのポイ捨て禁止」「キャッチボール禁止」……。日本は注意放送が過剰な国であることは、哲学者の中島義道氏が『うるさい日本の私』(新潮文庫)で既に指摘している通りであるが、われわれは日々視覚の面でも「禁止」「禁止」の大洪水に晒されているのだ。
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消えゆく昭和の「マーケット」、その思い出とこれから
私が子供時代を過ごした1980年代前半、東京の街には既にスーパーが普及していた。しかしその一方で、八百屋や肉屋、魚屋、雑貨屋などが一カ所に集約された薄暗い「マーケット」もまだ健在だったのである。
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「都まんじゅう」とも「ロンドン焼」とも呼ばれる、店先で製作過程を見られるお菓子について
街を歩いていると、ふと足を止めて見入ってしまうものがある。たとえば浅草にある中華料理店『馬賊』の店先で、ビヨンビヨンと手打ち麺が伸ばされていく様子。川崎大師の参道で『タンタカタンタン』という歯切れのよいリズムに乗せて、飴が切られていく様子(川崎大師の場合、録音された音声に合わせて手だけを動かす飴切りロボットもいて、こちらも興味深いものではある)。結局私たちは、商品ができあがっていく過程を見るのが好きなのだ。高速道路のサービスエリアにある、ドリップコーヒーを注文すると「コーヒールンバ」のメロディに合わせて製造過程をモニターで見せてくれる自動販売機も、こうした心理に応えるために設置されたものだろう。そして目下のところ私がもっとも気になっているのは、八王子で見つけた「都まんじゅう」である。
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いつまでも残り続けてほしい、観光地の土産手ぬぐいの魅力
20代の頃、しばしばバイクで一人旅をしていた。その時に購入した自分用の土産物は、大抵手ぬぐいであった。リュックの中でかさばらず、雨に降られた時にも便利で、しかもすぐに乾く。家に帰ってからも、その土地ならではの絵柄や言葉が染め抜かれた手ぬぐいを見て、楽しかった旅の思い出を蘇らせることができる。かくして、タンスの中の手ぬぐいは次第に増えていった。
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「消防水利」「防火水槽」「消火栓」……消防系看板の意味、サビ、退色を味わいつつ、防災について考えよう
街を歩いていると、「消火栓」とか「防火水槽」などと書かれた赤い円形の標識を目にする。しかし「消防水利」と「防火水槽」と「消火栓」はそもそもどう違うのだろう? そしてあの赤色はどのように経年変化していくのだろう? などの疑問をきっかけに防災について興味を持ってもらうというのはどうだろう?
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【コロナ時代の散歩術】マスク姿になっている街中の可愛すぎる像たちを調査してみた
梅雨が明けて暑さが厳しくなってきた。例年であればマスクのマの字も話題に上らない季節であるが、今年は街行く人のほとんどがマスク姿である。マスク姿になっているのは生身の人間ばかりではない。こちらのコラムでは3月に、薬局の店頭にいるパンダ人形・ニーハオシンシンのマスク姿を調査した。その後4月16日に全国に緊急事態宣言が発令されると、シンシンばかりでなく、全国の銅像や店頭人形がこぞってマスクを着けはじめたのである。不要不急の外出を控えなければならない身としては、直接その姿を見に行くこともままならず、毎日のように地域ニュースで報じられる「○○像がマスク姿に」という情報をちまちまと収集していた。
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夜の街の「ネオン看板」よ永遠に!
私は夜の街が好きだ。と言っても、夜に営業する店に行くのが好きな訳ではない。きらびやかな照明に彩られた繁華街の風景を、ただぼんやり眺めるのが好きなだけである。逆に山奥の夜はあまり好きではない。真っ暗で怖いからだ。バイクで遠出をする時も、夜は必ず街に宿泊し、その土地で最も栄えている街をぶらつくことが多い。灯りに囲まれている方が安心できるのだ。光のある方にフラフラと引き寄せられる私は、前世が蛾か何かだったのかも知れない。
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「本物そっくり」を超越する、古びた食品サンプルの魅力
子どものころから「本物そっくりのニセモノ」が好きだった。ままごとで使うお金は葉っぱやおはじきでは納得できず、本物そっくりに作られた「子ども銀行券」をねだった。家族でドライブに出かける際は、高速道路の工事現場で旗を振る「安全太郎」人形に出会うことを何よりの楽しみとしていた。中でも私の心を惹きつけてやまなかったのが、レストランや喫茶店の店頭に飾られている食品サンプルであった。
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素敵な焼き印が押された、まんじゅうという名の小宇宙
まんじゅうの表面に焼き印を付ける仕事をしたいと思っていた。真っ白に蒸しあがった薯蕷(じょうよ)まんじゅうの表面にジュ―ッと焼きごてを押し当て、くっきりと印を刻む。その工程がたまらなく魅力的に思えたのだ。言うまでもなく、まんじゅうに焼き印を付けるだけの仕事などどこを探してもなく、また家庭で個人用焼きごてを用意するというのも非現実的であるため、断念して今に至る。 
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本物そっくりのイヌ・ネコ像(ガーデンオーナメント)を見て、思わず「ヨーシャシャシャ!」と話しかけてしまう場合とそうでもない場合
想像してみて欲しい。あなたが道を歩いていて、道端にトラ猫が丸くなっているのを発見した時のことを。あなたは恐らく「猫ちゃ~ん」と声をかけながらその猫に近づいていくだろう。ところがその猫はよくできた置物であった。あなたはキョロキョロと辺りを見回しながら、今の醜態が誰にも見られていなかったことを確認し、足早にその場を立ち去るに違いない。これは先日私の身に起きた実話である。
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