吉田靖直(達人)の記事一覧

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罪と石段
以前、ネットの掲示板を見ていたら「中高時代の部活について語ろう」というスレッドがあった。それを見て驚いたのは、昔やっていた部活を「楽しかった思い出」として捉えている人が意外に多いことだ。なんだかんだ言っても今思えば楽しかった、という話ではなく、たとえば雨で部活が休みになったら落胆するほど当時から部活を毎日楽しみにしていたらしい。私には部活を楽しみに感じた経験がない。休みになればただただうれしかったし、そのままずっと休みになったとしても喜んで受け入れていただろう。そんなに嫌ならやめればいいじゃないかと思われるかもしれないが、そう簡単に割り切ることもできない。つらいのを我慢していれば時々は「続けていてよかったな」と思うことがあるんじゃないかと期待していたし、実際に何度かはあった。私にとって物事の継続とは我慢を強いられることであり、たまに楽しい出来事はあるにしろ基本的には苦しいのが当たり前なのだ。ただ、「これは続けていても楽しい」と思える物事に出会えるまでは、苦しくなったらすぐにやめて次を探すのもひとつの手だと今は思う。
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NHKからやってきた男
初夏。よく晴れたある日の午後、台所でコーヒーを飲んでいるとインターフォンが鳴った。こんな時間にやってくるのはどうせ不動産の営業か宗教の勧誘だ。無視しようかと思ったが、もし宅急便だったら出ないのは申し訳ない。面倒に思いながらも玄関の扉を開けると、おそらく私と同年輩、30代半ばに見える男が立っていた。白のポロシャツに紺のスラックス、首からは社員証をぶら下げている。これは話を聞いたところでこちらが得をすることはないタイプの来客だとすぐに察した。やっぱり無視すればよかったと後悔してももう遅い。半開きの扉から顔を出し「……なんでしょうか」と言うと、男は「こちらの世帯主の方ですか?」とたずねてきた。
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もしかしたら私も芸能人と付き合えるのではないか?
たまに地元の友人から「お前さあ、テレビとか出てるけど、女優さんと仲良くなって付き合えたりしないの?」と聞かれることがある。あいにくそのような経験はないが、その願望がないわけではない。ニュースで女性芸能人と一般的にあまり有名でない男性ミュージシャンが交際・結婚したなどと耳にするたび、「自分ももしかしたら芸能人と付き合えるのではないか」と淡い期待を抱いてしまう。
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「乃木坂駅のほうが近いですよ」と言えない理由
人と一緒にどこかへ向かうとき、ただ人に導かれるまま後ろをついていくだけになるパターンが多い。ついていくだけで目的地に着けば楽は楽だが、そんなことを繰り返していると「何もしない奴」としての存在が定着してしまい、いざという時に自分の意見が通りにくくなるという弊害がある。
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屋根修理業者の涙
春は眠り過ぎてしまう。3月の昼、インターホンの音で目が覚めた。そのまま寝ようとしたが、もし宅配便だったら再配達してもらうのは手間だし申し訳ない。気合いを入れ布団を抜け出し玄関を開けると扉の前には誰もいなかった。
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ロックと譜面台と私
学生時代に組んだバンドを気づけばもう10年以上続けている。その間、ボーカリストとして私は何百回と人前でライブを行ってきた。どういう心構えでライブに臨むべきなのか、未だ明確な答えは持っていないが、一応ライブをやる上でのマイルールがいくつかあってそれだけは守るようにしている。
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貼り方が超シビアなお札
早稲田に「穴八幡宮」という神社がある。学生時代は毎日ここの前を通った。当時は知らなかったが穴八幡宮はかなり有名な神社だったようだ。
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本物の家系ラーメン
深夜、友人と飲んだあと何か食べて帰ろうという話になった。近くでその時間開いている店をいくつか挙げ選択を委ねると友人が選んだのは家系ラーメン店だった。
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あの悪夢の連続は、出雲大社からのメッセージだったのか?
付き合っていた恋人と別れくさくさしていた時期、実姉が「5万円あげるから伊勢神宮に行ってきな」と電話をかけてきた。姉は昔からスピリチュアルに傾倒しており、しばしば私に神社や寺へ行くよう勧めてきた。姉に借りを作りたくなかった私は断ったが、何度断っても姉は折れず、結局5万円が振り込まれ、私はそのまま放置していた。
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呂布カルマに敗れたその夜、突如降ってきたもう一つの敗北
いちおう私はミュージシャンという肩書きで活動しているが、オファーがくれば割と何でもやる。大喜利イベントにラップバトル、役者やDJ、文筆業も。あまり自信がなくても誘ってもらったらとりあえずやることにしている。
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