オギリマサホ(達人)の記事一覧

オギリマサホ
達人
オギリマサホ
イラストレータ―
1976年東京生まれ。シュールな人物画を中心に雑誌や書籍で活動する。趣味は特に目的を定めない街歩き。著書に『半径3メートルの倫理』(産業編集センター)、『斜め下からカープ論』(文春文庫)。
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チェーン店に血を通わせる「手作り宣伝」の魅力(コンビニ編)
全国チェーンを展開する飲食店やコンビニの存在は、街の風景を大きく変えた。地域の独自性は薄まり、日本全国どこへ行っても「なんか見たことあるような風景」になってしまったように感じる。どこにいても同じ内容のサービスを受けることができるという点ではありがたいが、画一的な風景に多少の物足りなさを感じるのも事実だ。ところがチェーン店でありながら、独自のカラーを打ち出している店がある。店員さんの手作りと思われる宣伝で、おすすめの商品をアピールしたり、親しみやすい店内にしたりしている場合だ。
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街に描かれたバイクの車種を当ててみたい
人はえてして、自分の興味のあることに目が行きがちな生き物だ。「ほら、あそこに模型屋があるでしょ」「え、あったっけ」といったように、他の人にとっては風景の一部になってしまうものが、好きだからこそクッキリと見えてしまうことがある。私にとってのそれは、「バイクの絵」である。バイクに乗り始めて四半世紀弱、街にバイクが描かれていると、どうにも目についてしまう。そうして見ているうちに、描かれるバイクの絵にもさまざまな種類があることに気が付いた。これら「描かれたバイク」の種類について追ってみたい(とはいえ、私もバイクの車種にそこまで精通しているわけでもないので、ぜひ詳しい方に教えていただきたいところである)。
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「ご自由にお持ちください」の美学
現代社会はモノに溢れている。不要になったモノは気軽に捨てるし、価値がありそうなものはフリマアプリで売ればよい。しかし街を歩けば、「ご自由にお持ちください」という張り紙が付けられたモノが、民家の玄関先などに置かれているのをしばしば見かけることがある。「フリマに出しても値はつかないだろうが、捨てるには忍びない」といったところか。そこには「使えるものは無駄にしない」「他の人の役に立ってほしい」という美徳があらわれているように思う。一体どういったものが「ご自由にお持ちください」と言われているのか、観察してみた。
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ひとの趣味に便乗する愉しみ~かわいいトラック考~
ある日、友人のMさんが「ミニストップのトラックがかわいくて、写真に撮りたいのだけれど、なかなかチャンスがない」と言った。私はそれまで、「トラックがかわいい」という気持ちをついぞ抱いたことがなかったので、その言葉に少なからず戸惑った。Mさんが言うには、ミニストップのトラックは、ピンク色の背景にソフトクリームが車体に描かれていて、なんともかわいいデザインなのだという。
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街のシャッター、それは一つのキャンバスである
商店にとって「シャッターが閉まっている」という状態は、あまり望ましいことではないのではないだろうか。空き店舗が目立つ衰退した商店街を「シャッター通り」と呼ぶように、そこには一抹の寂しさが付きまとう。しかし、そのシャッターに絵が描かれている場合はどうか。寂しげなシャッターが一転、華やかな壁画に早変わりする。そうした街のシャッター絵を鑑賞してみよう。
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銅像定点観測のススメ~着衣銅像のバリエーションを追っていきたい~
人物や動物をモチーフとした銅像は、今や多くの街に設置され、風景の一部として馴染んでいる。こうした各街の銅像めぐりを趣味としている人もいるのではないだろうか。当然のことだが、銅像は動かない。一度見てしまえば再度確認しに行く必要はないだろう。ところが銅像の中には、日々変化をし続けるものたちが少なからずいるのである。設置者や有志などにより、銅像に服が着せられるケースがそれだ。今回はこうした「変化する着衣銅像たち」を定点観測して、その奥深さに迫っていきたい。
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「ソフトクリームのあの子」に会いに行こう~日本全国の行楽地でがんばるニックン&セイチャン~
子どもの頃、夏になるとアイスクリームの移動販売車が家の近所に来ていた。母はそこでバニラアイスとコーンを買い求め、しばらくはそれがおやつになるというのが我が家の定番だった。そのコーンの箱には、巨大なソフトクリームを舐める金髪の男の子の絵が描かれていたことを覚えている。
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街の片隅でハイホー、ハイホー~こびと達はなぜ花壇に置かれるのか~
以前、当コラムで動物の置物を取り上げた。庭や玄関先に置かれる動物の置物は、よりリアルな造形を目指して作られているように見える。一方、現実には存在しなさそうなモチーフの置物というのもある。その代表格が「こびと」ではないだろうか。ブカッとした帽子をかぶり、ヒゲをたくわえたこびと達。妖精の一種で、山や森に暮らすと言われている。確かに、草花の間から顔を覗かせるこびとの存在は、庭を一気に童話の世界に変えてくれる。置物のモチーフにこびとが多用されるのもわからない話ではない。
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タバコ屋のデザインに魅せられて
幼いころから、狭いところに入るのが好きであった。家に新しいテレビが来た時も、テレビ本体より、そのテレビが入っていた段ボールをもらえることを喜ぶ子どもだったのである。この段ボールは内部を改造し、しばらく秘密基地として使っていた。そんな私が子ども心に「あれは面白そうな仕事だぞ」と思っていたのが、「タバコ屋の店番」である。
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「消えたフン」の謎を追え~色あせた犬フン看板を読み解く~
2020年4月に東京に緊急事態宣言が発出された際、なんとも気持ちが落ち着かず、歩ける範囲の地域をひたすら散歩していたことがあった。健康維持のための散歩は推奨されていたからだ。その散歩中に目についたのが、犬のフンを片付けるよう呼びかける看板、「犬フン看板」である。飼い主にあの手この手で訴えかけようとしているせいか、自治体によりデザインもさまざまで、見ていて飽きない。いつしか「緊急事態宣言下の散歩」は、「さまざまな犬フン看板を探す散歩」へと目的を変えていき、「犬フン看板」フォルダは撮影した画像で溢れた。
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